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聖女の私を悪女と誹るのなら、覚悟なさってね?  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中


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22/22

最終話:貴方と共に。

 



 トランク片手に城下町をフラフラと歩く。

 黒い髪は珍しいけれど、いなくはないので、帽子を被って誤魔化すくらいで大丈夫。


 今まで部屋にこっそりと貯めていたお金は全部持ってきた。

 聖女見習いの給料は、かなりいい。王城勤務の騎士たちよりちょっと多めなくらいもらえている。

 多忙の極みのおかげでその殆どを使わずに保管していただけだけど。

 

 ――――あ! 美味しそう!


 お腹が極限に空いていたこともあり、屋台に立ち寄りパニーニを買った。中身はチキンソテーとたっぷりのチーズ。

 

「んむむむ。おいひーい」


 あまりの美味しさに声が漏れた。

 五臓六腑に染み渡るとかいうけれど、本当なんだなぁと初めて実感したかもしれない。


「あっ、マリサ!」

「ギャァァァ! ママァァァ」

「あぁ……これは痛かったわね……」


 近くを楽しそうに走っていた女の子が盛大に転んだ。膝や掌からは血が滲み出て、とても痛そうだった。

 スッと近寄り傷に手をかざす。


「――――え?」

「あ、おでこも擦りむいてるわね。これでよし、もう痛いところはない?」

「うん! おねぇちゃんありあと! おねぇちゃん、せーじょさま?」

「どういたしまして。違うわ。ただの……」


 ただの、なんだろう?


「ただの旅人かな?」

「たびびとぉ?」

「そ! なーんにも縛られないで、自由に生きる人!」


 うん、それがいい!


「――――ラシェル、君がそう望むなら、叶える。だから、急に消えないでくれ」

「っ!?」


 真後ろから聞こえた声。振り向かなくても解る、ロベルト様だ。

 なんで? バレたの?


『君には、何も言わないけど、彼には言ったからね?』


 ――――チッ。


『ちょっと!? 神に舌打ちって! ほんと扱いが酷いなぁ』


 神が何かブツブツと文句を言っているけれど、文句を言いたいのは私のほうだ。いつもいつもいつもいつも! 勝手に頭の中を覗いて、勝手になんやかんや言って! 勝手に人の居場所バラして!


『まったく、天邪鬼だねぇ。彼に逢えて、心の中は花が舞うほどに喜んでるのに』


 ――――煩いです!


「……人違いです。失礼します」


 スッと立ち上がり、女の子に小さく手を振って、走って逃げた。


 町外れの丘に着いたところで、体力と腕力の限界が来た。

 とにかく荷物が重い。

 丘の頂上に座り込み、視線を来た方向に向ける。ちょっとだけ王城が小さく見える。さっきいた城下町は、まだ直ぐそこにあるけども。


「大丈夫か? 寒くないか?」


 先程から隣に座っているシルバーブロンドの人物は無視する。

 何故か肩にマントを掛けて来るし、抱きしめて来るけれど、無視する。


「…………」

「……」

「………………後遺症などは……無いですか?」


 沈黙に耐えられず、つい。気になっていたことを聞いてしまった。

 顎に手を添えられ、クイッと顔をロベルト様の方に向けられたと思ったら、唇に温かな感触。


「んっ……後遺症はない。ラシェルがしっかりと……癒やしてくれたから」

「……そう、ですか」


 会話をする間に、何度も重ねられる唇。ロベルト様の胸に両手を添えて、押し退けた。 


「……神にキスしろとでも言われたのですか?」


 神に居場所を教えられたから、迎えに来たんだと思う。

 王子様なのに、護衛も連れずに何をしているんだろうこの人は。


「私がしたいからしている」

「では、私はしたくありません」

「…………っ、ん」


 つい、見てしまったロベルト様のお顔は、泣きそうになっていた。

 今度は左手を取られ、薬指の付け根にキス。

 

「ラシェルがしたいことをしていい。ただ、そばにいさせて欲しい。私は、そのままの君を愛している」

「っ!」


 ロベルト様は私が旅をするのなら、ついてくるという。他国に行ったとしても、ついてくるという。身動きの取れない王族の地位など、捨てると。


 彼が王子としての矜持をしっかりと持っていると知っている。

 騎士団の統括として、市民を護る騎士の一人として、様々なことに尽力を注いでいると知っている。


 私がそれを断ち切るなんて嫌だった。

 私の存在で、ロベルト様が後ろ指を差されるのは嫌だった。

 でも、彼はそれでもいいから側にいたいと言ってくれた。


「ロベルト様が望むなら…………聖女、やってあげてもいいですよ?」


 私は悪女だから。

 彼に責任を持たせてしまおう。


「ふふっ。君は狡いな。そうやって、私に気を使っていると思わせないようにするのか」

「……また神ですか」

「ありがたいことに、君の真意らしき事を教えてくれる」

「はぁ……」


 ロベルト様がまた、顎に手を添えてきた。

 先程よりも長く、熱く、重なり合う唇。


「素直に言ってくれ、愛してると」

「嫌です」


 それが、悪女である私の矜持――――。


 今はまだエミリアンヌの余波が残っているので。

 二人で国を、教会を、聖女の立場を、変え終えたら伝えてあげよう。


 ロベルト様、ずっと愛していました、と。




 ―― fin ――




ということで、完結でございますヽ(=´▽`=)ノ

最後までお付き合いありがとうございました☆


ブクマ、評価、いいね、いただけますと作者のモチベーションになりますので、ぜひぜひじぇひっ!m(_ _)m

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