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- 勝ちの行方

「わあ、怖い怖い。こんな恐ろしい化け猫がいる店に丸腰で向かわせる程、鴇は馬鹿ではない。この男は私が戴いた。二番手さんは引きなされ」

アサギはにっこりと勝ち誇った笑みを浮かべてあっちに行けと手を払った。それを見て家守は全身の毛を逆立てて牙を出す。

『お前諸共喰ってやる!』

「喰われたくはないから遣り合うことになるが、この店が木っ端微塵になっても構わぬのだな?」

木っ端微塵に、の言葉で家守が一瞬固まる。家守はこの店を守りながら店主である爺が少しでも快適に暮らせるよう毎日工夫を凝らしてこの建物を造り替えている。それを、木っ端微塵に…考えるだけでも嫌なのだろう、体を震わせている。そもそも、このアサギにそんな力があるかどうかだが恐らくない。頑張れば店先位は木っ端微塵にできなくもない。つまりはそういうこと。はったりである。意外な特技を発見したなぁ。

『どうするのだ?遣り合うか?』

アサギの堂々とした話し方に家守は頭の上の耳をしゅんと下げて首を振る。

『今回は、見逃してやる…のだ…』

アサギの勝利。正直大変助かった。

『だが、ユキ次第だ。ユキが喰ってもいいと許可をくれるかもしれんしな!』

「許可は出さんぞ」

爺が居間のさらに奥から盆に人数分の茶を載せてやってきた。

「ったく、座りもせず場所を取りやがって。お前ら無駄に図体がデカいんだからさっさと座ってスペースを開けろ」

爺に言われ私・依頼人・鳶の順で小さなちゃぶ台を囲んで座り淹れられた茶を有難くいただく。ここの茶は美味いんだよな、弟子を此処に茶汲み修行に来させようかと悩むくらいには。

「やっぱり爺が淹れる茶が一番美味ぇわ!手から旨味でも出してんじゃねえかと思っちまうな」

『そんなことは良いッ!許可は出さんとはどういう事なのだユキ!』

「そのままの意味だ。こんな辺鄙な地へわざわざ来た鴇と鳶の仕事を邪魔するな。お前が喰ったら仕事にならんだろうが」

『だがこの店から、ユキから絵葉書を盗んでいった盗人だ!ユキを困らせた悪い奴だ!』

爺の足元で縋りながら依頼人を指さして必死な家守の頭を撫でまわしながら爺はため息を吐く。

「まずは話を聞いてやろう…ありがとな」

家守は言い分が通用せずむっと不満げな、けれど撫でまわされて嬉しげな何とも言い難い顔をしていた。


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