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夜会で会いました

推し様はあまり夜会が好きではないらしく、夜会ではあまり見かけない。お父様情報によると、どうしても断れない夜会だけ参加するらしく、今回も事前に出席する夜会をお父様に聞き出してもらい、推し概念ドレスを纏って参加した。


お父様に挨拶に来た推し様に、緊張したけどなんとかご挨拶も出来た。それだけでもう来て良かった。今日まで生きてて良かった。お母様、生んでくれてありがとう。


社交に勤しむお父様と別れたあとは、今日も今日とて、推し活に余念がなく、壁の花になりながら推し様ウォッチングを行う。近くに寄ると眩くて溶けてしまいそうなので、ある程度離れた場所の大振りの花瓶の陰などから行うのが最適です。私、壁になるの得意なんです。前世からの夢だったしね。


先程私如きがご挨拶出来たのが信じられないくらいに、推し様は今日も輝いている。会場でも一際眩くてどこにいても見つけることができる。


今は庭に近いテーブルでいつもの(把握済み)ご友人の方々と談笑されている。微笑む推し、尊い…。

近くにはカースト上位であろうきらびやかなご令嬢方のグループが。あのご令嬢たちに紛れれば、もう少しは近付けるのになぁと思いながら見つめていると、パシャリ、なんと会話に夢中のご令嬢のグラスから傾き飛び出したシャンパンが推し様のジャケットにかかってしまった。シャンパンよ、推し様に飛び付きたい気持ちは確かに分かる。


ご令嬢たちは全く気が付いてないようで、推し様も気にした様子はなくご友人に断ってその場を離れ、自身のハンカチを出そうとしている。推し様のハンカチを汚させるわけにはいかない、寧ろそのハンカチ私にください!末代までの家宝にしますから!


勢いで花瓶の裏から飛び出しハンカチを握り締めて推し様に近付いたはいいけれど、緊張で笑う膝は崩れ落ちそうだし、震える手と滲む手汗は酷いし、心臓はあり得ない程にばくばくしている。それでも推し様の汚れは私が拭きたい。ええい、女は度胸だ!


「あっ、あの!こ、このハンカチ使ってくださいっ!」


推し様のイメージフラワーである白百合を刺繍したお手製のハンカチを震える手で押し付けて(少し指が触れてしまった、恥ずかしくて死ねる)引き留める推し様を振り切って情けなくもその場から逃げ出した。逃げるが勝ちって聞いたことがあるし。


ふあああ、自分から話しかけちゃったよ、なんてハレンチなことをしてしまったんだ私!しかし推し様今日も素敵だった〜!


とてもではないが冷静ではいられなそうだったので、給士に父への伝言を頼んで会場を後にした。


こんな時間に帰ってきたことに御者が驚くが、それどころではない私は御者に断って馬車に飛び込み推しくまちゃんに報告をする。


「推しくまちゃん!おおお推し様と話しちゃったし指に触れちゃったよどうしよう!はああ、絶対挙動不審だったよね、気持ち悪くて引かれてたらどうしよう…」


「それにしても相変わらず美しすぎたし、なんかいい匂いした…はぁ」


推し様を思い出して、推しくまちゃんを、むぎゅっと抱き締める。


暫く悶えていると、


「急に帰るってどうしたんだい」


私が会場をあとにしたことを聞き付けたお父様が慌てて馬車に戻ってきてくれた。


「おおおおお父様、どうしよう、私絶対に気持ち悪かった!」


ジャケットにシャンパンがかかってしまったのでハンカチを差し出したが、緊張のあまり挙動不審になってしまったこと、引き留められたのに振り切って帰ってしまったことも失礼だったのでは、と父親に話せば話すほど後悔から落ち込んでいく。


お父様に後日職場で会った時にフォローしておくよ、と言われ漸く少しだけ安心することができた。


あと当然なんだけど、狙っていた推し様のハンカチを貰うことは出来なかった。

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