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四大天使の秘宝  作者: TERU
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第3話「黄金の国」

ジャンパーに上陸した「ティナ」達は、異文化に驚きながらも楽しんでいたが・・・。

四大天使の秘宝


第三話「黄金の国」


 小舟に乗り、航海士見習『ティナ』と二等航海士『スカー』、副砲撃長『ニック』、ドクター『ヒューべリック』、副コック長『パリス』の五人は、黄金の国『シャンパー』に上陸した。

 しかし上陸したと言ってもここがどこなのか?お宝がどこにあるのかも検討が付かない。しかたないので近くの町を探し、地図と情報を得ることにした。


 しかしここは東方の異国、言葉も違うし、外見も違う。少々心配である。

だが彼らは世界を渡り歩いている海賊である。いつも度胸とジェスチャーと勢いで乗り切っている。

ただ詳しい情報を得るためにはそれでは困る。その為に魔術師であるヒューべリックが上陸したのである。何万冊もの本を読んでいる彼ら魔術師は、語学にも優れており数十カ国語に精通しており、古代文字も読むことが出来る。以前、ジャンパーの『陰陽道』という符術の研究で勉強をしたと言っていたので、彼が情報収集が係として任命されたのである。

 その他は護衛であるが、スカーは『サムライソード』が欲しいやら、ニックは新兵器の部品が欲しいやら、パリスは食材探しと動機がかなり不十分である。ティナは持ち物係である。


 五人は近くの『大鷲』という港町に辿り着いた。港には大きな漁船が立ち並び、市場は活気が溢れていた。回りの魚屋や料理屋には人が集まり、関連業者が所狭しと並んでいた。その先には遊郭街があり、夜になると『酒』と『食事』そして『女』と盛り上がるのであろう。ニックはもう夜の事を考えていた。

 一次産業が発展して、関連の企業、町・住民が潤う地方活性化のサイクルが出来ているいい町である。これはいい町を見つけたと思った。ただこの港には大き過ぎる『ルシフェル』の入港は無理だろうと思い情報収集だけに努めることにした。大型の船が入れるように整備すればもっと、発展する町だろうと話し合った。


 しかし東方の人間は小さい。大柄で金や赤の髪を持った異人は目立ち過ぎる、すぐに注目の的である。一行は取り合えず宿をとり、情報収集にあたろうという事になった。

宿を取った後、各自情報収集に当たった。だが他の三人は異国の珍しい物を買いあさりに行き、ヒューべリックとティナの二人が情報収集に当たった。


「ちぇ!やっぱりあいつら遊びに行ったよ。俺たちだけだよ、情報を探しているの」

「彼らは彼らなりに地元の人間と触れ合い、地元の国民性を見ているのですよ。それが情報となるのです。それは表には出ませんが、重要な情報なのですよティナ」

 ヒューべリックがティナを戒めた。

「そうなのかな・・・俺には遊びに行っているとしか思えないよ?」

「そのうちティナが大きくなればわかりますよ」

「そんなものかな?」

「そんなものです。じゃ〜地図を探して情報を集めましょう」


 ヒューべリックとティナは地図を購入して、『現在地』と『京の都』の位置、そして『三種の神器』が納められているとされる『伊予』の国を調べた。


 ちょうど今年は二十年に一度の神殿の建て替えの年である。三種の神器は京の都の天皇の元に移動しているとの事が分かった。ブラッドの言っている事は当たっていたのだ。

 一カ月後に都から伊予に向って三種の神器が移動されるらしい。その警備には将軍直属の精鋭部隊が一万人引連れて警護に当たるようだ。

「凄い警備だね。よっぽどの宝だね」

ティナは目を輝かせたが、ヒューべリックは胸騒ぎがしていた。


 集合の時間に宿に戻ると、部屋には誰もいない。あるのは『サムライソード』とガラクタの山、それに見たことの無い果実だ。

「ヒューべリック。これが情報収集なの?」

 ティナが言うと「ははは」とヒューべリックがわらっていた。


 案の定三人は遊郭で既に酒を飲みバカ騒ぎしていた。ただでさえ異人で目立つのにバカ騒ぎしていれば、すぐにわかる。

「お〜い。ここだ」

 ニックが叫ぶ

「もう飲んでるの、情報収集は?」

「やってきたぞ」

 ニックが酒を飲みながら言っている。

「あのガラクタとサムライソードと果物はなに?」

「ははは、あれは流れ。」

 ニックは高笑いである。まあ何十日と海の上にいて久しぶりの陸である。気持は分らないわけではないので、それ以上突っ込まない事にした。

「情報はわかったか?」

 スカーの一言で本題に入った。もちろん酒を飲みながら。ヒューべリックは一通りの情報を伝えて、他の三人の意見を待った。

「その三種の神器とはなんなんだ」

「情報によると、彼らの太陽の神様がこの国に使わした神器らしい。剣に勾玉に鏡の三つだそうだ」

 ニックの問にヒューベリックが答える。

「その太陽の神様が、四大天使の秘宝と関係あるのか?」

「分らない火を表す『大天使ミカエル』と『太陽神』は近い感じもするが・・・難しいな」

 パリスの問にヒューべリックが答える。

「ブラッドが興味を持ったのだから、俺たちは動くまで、それに今まで秘宝じゃなくてもたんまり財宝は手に入っただろう?」

 スカーが他の四人に言い聞かせた。事実、世界中で四大天使の秘宝を手にしたものはいない。伝説だろうとあきらめている海賊が殆どである。しかしブラッドは情報を頼りに、世界中を冒険している。

 四大天使の秘宝探しの副産物として、他の宝を発見して金銀財宝を集めている。その財宝管理を経理のティアナが平等に分配管理しているため、ルシフェルは経理上大黒字である。クルーからも文句が出ないのだ。経営の神様である。


「それではまずは伊予に向って、三種の神器の奪取のための計画を練らないと」

「伊予は大きな町ようで、ルシフェルが入港出来るかもしれない。明日戻りブラッドに伝えよう」

「話は明日だな。今日は飲むぞ。黄金の国と聞いて期待したが、黄金などどこにもない。ただ東方の女は魅力的だ、綺麗な黒い髪に黒い瞳はたまらない」

 酔っ払いのニックが話を終わらせる。

「でも言葉は通じないじゃないか?」

「男と女は言葉はいらない、目と目が合わさりボディータッチがあれば会話が出来るのさ。ティナにはもう少し先の話かな?」

「またバカにして。」

 ティナは拗ねたが、リリーの事を思い出し赤面していた。


 その楽しい晩餐を繰り広げている一行を、建物の暗闇から見つめる二つの眼が不気味に光っていた。


 その事にまだ誰も気付いていなかった。



 朝まで飲み続けていた一行は、昼ぐらいにようやく頭を抱えながら起きて宿を出発した。大量のガラクタの荷物を持たさて、ティナはブツブツ文句を言っていたが、航海士見習の彼は文句が言えない。ハリスなどは、自国にはいない『鰹』という魚を大量に仕入れて引きずっている。生臭いったらありゃしない。と思いながら一行は重い荷物を持って小舟を停泊している岸にむかった。


 森に入った頃に、スカーが小声で四人に伝えた。

「つけられている。」


 五人に一気に緊張が走る。相手は何人だ?何処にいる?神経を研ぎ澄ませながら前に進む。

「私が動揺を誘います。気配を感じて捕まえて下さい。」

ヒューベルトは呪文を唱え始めました。すると「さんさん」と照っていた太陽が陰り、森一面が霧に包まれました。『フォグ(霧)』の呪文である。それと同時に、スカー、パリス、ニックは三方向に飛んだ。

敵が動揺するのを待つのである。


 一行の後をつけていた男は、突然の霧に案の定動揺して動きが乱れた。その瞬間、一番近くにいたスカーが、買ったばかりのサムライソードを抜き男の背後にまわり剣を突き付けた。

五人が集まると霧がみるみる晴れて行った。他には敵はいないようだ。

「何者だ」

 スカーが問う。もちろんヒューべリックの通訳付きで。

「お前たちに言う必要無い早く殺せ」

「この者は忍だと思います。シンやジャンパーにいる闇の住人ですよ。」

 ヒューべリックが解説を付けた。

「その忍殿が、異人の俺たちに用があるなんてなんだろな」

 ニックは忍のマスクを取った。マスクの下は、まだティナと変わらない程の少年であった。しかしその目は人を突き刺すような鋭い目、それでいて冷たい目だった。冒険を楽しみながら毎日希望を持っているティナの目とは正反対である。

 ティナはその少年のネックレスに気が付いた。黄金に『水』のマークを型どったネックレスである。驚いたティナがそのネックレスを触った瞬間、少年が何かを地面に叩き付けた。煙幕弾である、一気に煙が立ち込めて、辺りが見えなくなった。


 煙が消えたころには、少年は姿を隠していた。

「何者だったんだ?これはちょっとやそっとではお宝は手に入らないな」

ニックが言う。その隣でハリスが鰹を見ながら何かアイデアを浮かべていた。


 その日の夕飯に『鰹のタタキ』という料理が出てきた。パリスが煙幕弾を見て考え付いた。煙幕弾の煙を見て、炭火で焼いた『鰹のタタキ』のアイデアを思いついたのだ。とにかくりゅうに仕込まれているだけあって凄い料理人である。


海賊船『ルシフェル』に乗り込み、ブラッドに情報と忍につけられていた経緯を話した。


「おもしろいな。ジャンパー!」

 ブラッドは笑っていた。しかしお土産が無い事に怒っていた。

「それでは伊予の町の名物でも食べに行くか」

「出発だ!」

 ブラッドは号令をかけた。しかしそんな理由でいいのか?疑いたくなる号令であった。


 夕飯の『鰹のタタキ』を食べた後、ティナはマストに登り、森であった少年の事を思い出していた。

夕日が海を赤く照らして輝いている、左手の黄金のブレスレットを眺めた。生まれた時から離れることのない黄金のブレスレット。そこには『火』の紋章にティナと書かれている。

 そして今日出会った少年には黄金のネックレスに『水』の紋章があった。あの煙幕弾が炸裂する瞬間、ティナはネックレスを触り『裏側』を見ていた。そこには名前が書かれていた。


「テル」ティナは呟き、沈みゆく夕陽を見つめていた。


 彼とは必ずもう一度出会う、そんな運命を感じながら…。


次回「神の住む町伊予」をお楽しみに。


キャスト

ティナ…赤髪に黒い目を持つ少年、この物語の主人公

ブラッド…「赤毛のブラッド」として海軍・海賊に恐れられている。海賊船「ルシフェル」の船長

スカー…二等航海士、バージの弟子。槍術の達人

ニック…副砲撃長、狙撃手。スチワートと同じで新兵器開発が趣味

ヒューベリック…ドクター助手。白魔法・薬学の権威。マシューが研究ばかりしているので彼が働く

パリス…副料理長。武術家。りゅうを崇拝している。


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