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四大天使の秘宝  作者: TERU
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第2話「赤毛のブラッド海賊団」

赤毛のブラッドとの出会いから五年。

一回り大きくなったティナが新しい冒険にでる。

力強い家族「赤毛のブラッド海賊団」と共に。

四大天使の秘宝


第二話「赤毛のブラッド海賊団」


 東方の島国『ジャンパー』に近付くに連れて、クルーも慌しくなってくる。ただ陸地を見つけただけでは上陸しない。入港前に情報を集めるのも必要な作業だ。

 島国と言っても『ジャンパー』は広い。秘宝の有りかが分かる有力な情報が入る土地に行かなければ、かなりの無駄足になってしまう。

しかも東方の島国『ジャンパー』の情報が極めて少ない。ガニシャ大陸最大帝国『シン』の近くの島国というのに、いまだに征服されていないのだ。回りの国々が統合されているのに、島国というだけの理由では説明が付かない。何か秘密があるのであろう。ブラッドは考えていた。

 近年ポートギース国の商船が、ジャンパーに入港した際に、船長の『マルコ』が黄金に輝く『棺』を担いで神殿に向う行列を発見した。その棺の神々しさに感激したそうだ。その後、マルコは黄金の棺について調べ『黄金の国ジャンパー』という著書を書いて、ポートギース国に伝えた。

 その一文に「黄金の棺には神を表わす太陽のマークが画かれていて、中には『三種の神器』が収められているとして人々は崇めていた」マルコ船長の著書に書いてある。

 その棺は二十年に一度、神殿の建替えのために、新しい神殿が出来上がるまで『天皇』がいる『京』の都まで運び出されると著書に書かれていた。

 それからマルコ船長が『ジャンパー』で、黄金の棺を見てから今年でちょうど二十年目となっていた。

 ブラッドは、『黄金の都』『黄金の棺』『太陽のマーク』『三種の神器』が気になり、ちょうど二十年目ということで、『ジャンパー』に向ったのだ。

 天使とはかけ離れている異教徒の文化である。部下達には反対されたがブラッドの好奇心が勝ってしまったのであろう。ブラッドは舵を東方の島国に向けたのであった。


 情報収集係として、二等航海士『スカー』、ドクター・副通信士『ヒューベリック』、副コック長『パリス』そして、航海士見習い『ティナ』が選ばれた。


 ここで少し『赤毛のブラッド海賊団』のクルーを紹介しておこう。


 船長は『赤毛のブラッド』、剣の達人で二本の剣を疾風の如く扱い切り裂く『二刀流』の使い手。彼の異名が付いたのは、二百人もの海軍を一人で疾風の如く切り裂き全滅に追いやった事件により伝説になった。その時に敵の返り血が髪にかかり、金髪の髪が赤く染まっていた事で『赤毛のブラッド』として間違って伝説が広まったのである。当の本人は笑いながら「みんな赤毛だと思っているから、町を歩いて遊んでいても気が付かないからラッキーだな」と喜んでいる。ティナを乗せたのは、自分に無い赤髪の少年に興味を持ったのであろう。因みに船長が赤毛になっている所を見た乗組員は少ない。何故なら『最強の軍団』がブラッドが出る前に、敵を片付けてしまうからである。船長の出番が殆どない。


 船長の傍らでいつも付き添っているのが、副船長であり奥さんの『ティアナ』である。森の種族と呼ばれる『エルフ』の女性で、年は三百歳位だと言われている。千年は生きると言われるエルフにとって、三百歳はまだ若い部類であろう。本当の年齢を聞くと、容赦なく海に放りこまれると噂が流れていて誰も聞かない。

 ブラッドが船長になる前に出会いずっと傍にいる。

 精霊の魔法を得意として、特に風の妖精『シルフィー』や『ウィンディー』を呼び寄せる事が出来る。 ただ海の上に森の種族である。結構大変である。超巨大ガリオン級の帆船である『ルシフェル』のブリッジの後ろに巨大なガラスハウスを作ってしまったのだ。そこは属名『緑の館』と呼ばれ、中に小さな森を作ってしまったのだ。風の妖精『シルフィー』にお願いして風の結界を作って守っている。野菜が取れてコックは大喜びだが、他のクルーは邪魔で文句を言っていた。

 しかし別の海賊船団と戦いになった時、敵の大砲が『シルフィー』の結界を破り『緑の館』が崩壊した事があった。怒ったティアナは、炎精霊『イーフリート』に風の精霊『ウィンディー』を呼び寄せ、一瞬にして辺り一面を火の海した。三隻もの巨大海賊船を海の藻くずにしてしまったのである。それ以来誰も『緑の館』の文句を言うクルーはいない。

 彼女の凄いのは、他に『経理』として才能があるという事だ。森の精霊で自由気ままなエルフであるが、ティアナは他のエルフとは違った。荒くれ者の『学』の無い海賊だけでは、いつも火の車(火の船)である。財宝の整理・分配、航海日数に合わせた仕込み、役割のスケジュールなど、すべてティアナの担当になっている。しかもティアナが恐いので誰も文句を言わない。

 組織の編成など、ブラッドが行ったが、経理・会計などはティアナのお陰で管理されて秩序が守られている。


 次に五人衆と呼ばれる最強の戦士達を紹介しておこう。

 彼らは幹部だ。その一人が一等航海士兼最強の剣士『バージ』。ブラッドの幼馴染で、一緒に剣術を習っている。ブラッドの旅の最初のパートナーである。『流星のバージ』の名で恐れられている。彼の突きは、一度に流星の如く飛んでくるらしい。敵が殆ど生きていない為、どれ程の突きがくるのか?分からないらしい。弟子の二等航海士『スカー』は一度バージと本気で手合わせしたが、かわしきれずに顔にキズを負った。それ以来二度と手合わせしたくないようだ。

 バージは航海士として約三十人の部下を纏めている。帆を張り、風を読み、海流を読んで、巨大ガリオン級『ルシフェル』を動かしているのだ。因みにティナは航海士見習いで属している。


 二人目が甲板長の『ゴルディバ』だ。身長230cm、体重170kg巨漢で、時折巨人族と間違われる。巨大なアックス(斧)を片手に、敵を真っ二つにする。弟の『ゴンゴ』は副甲板長を勤め、兄同様巨漢である。二人がアックス(斧)を持って立っていると、誰も近づけない。

 ただ彼らは優しい。小動物が好きで、サルやうさぎや小鳥などを飼っている。甘いものが好きで、フルーツなどには目が無い。しかも新しいもの好きで現代のコギャルなどと差ほど変りは無い。

 しかし彼らの別名は『狂戦士バーサーカー』である。一旦、戦いを始めると誰も近づけない。彼らの歩いた後は、死体しか残らないのである。荒くれ者の多い甲板員だがこの二人には何でもしたがう。

 悪戯好きのサルが、野放しになっているのは言うまでもない。

 甲板員は組織の中では一番人数が多く約四十名いる。甲板の整理・整備などを任されているが、一番の仕事は風が無い時に、一成にオールを漕いで巨大船を動かす。四十名以上の巨漢達がオールを漕ぐ姿は圧巻である。


 三人目は砲撃長『スチワート』である。名前は優しいし、いつもオチャラケテいる。しかし射撃の腕は世界一と言っても過言ではない。銃・弓・大砲など飛び道具には、絶対的な自信がある。また新兵器の作成が大好きで、いつも変な武器を作ってくる。海軍の大艦隊を目にして、新兵器のライフル銃を試し撃ちをして、五隻の艦隊のすべての船長を狙い撃ちた。驚いた海軍は直ぐに撤退させた。副砲撃長の『ニック』といつも変な新兵器を開発している。しかし艦隊戦となると、三十人の砲撃手を従えて、敵を殲滅してしまう。


 四人目は、通信長兼ドクターの『マシュー』である。魔法使いである。黒魔法、白魔法など最高位の実力を誇っている。現代には通信機器が揃っているが、この世界ではまだ機械が発展していない。その代わりに、町の「魔法グッズ」の店には、通信用の魔法増幅器が売っており、魔法使いはこれにより交信している。海軍などでは魔法使いを配属している艦隊は多いが、海賊として魔法使いを雇っているのは『ルシフェル』が初めてだろう。これにより『ルシフェル』は情報を征し、最強の戦艦として数々の海賊船を沈めていったのだ。

 ただ、普段は余り出番がないので、乗組員の健康管理をするドクターとしての役割の方が大きい。しかし助手の『ヒューベリック』が白魔法と薬学が得意な為、ほとんど彼に任している。彼とティアナと協同で作っている「薬」のお陰でマシューの出番が無いからである。

 仕事をヒューベリックに任せて、彼はいつも部屋にこもり新しい魔法の研究をしている。一度マシューの部屋が大爆発を起こし大惨事となった。新魔法の失敗である。その時にティアナの「緑の館」をもう少しで、吹っ飛ばすところであった。回りのクルーは、『魔法』と『精霊』の大戦争になると思い巻き込まれるのを恐れて避難した。

 そんなお茶目な大魔法使いは、約二十人魔法使いを育成しており。戦いとなると最強の魔法軍団として海賊団を守っている。


 最後の五人目は、コック長にして最強の武術家、『りゅう』である。ガニシャ大陸最大帝国『シン』の皇帝の三十六番目の息子である。なんと皇太子である。それが何故かブラッドとの出会い、彼に惚れ込み、海賊船に乗りそしてコック長になっているのであるからありえない話である。

劉家は代々『シン』の辺境の土地の一国でしかない。りゅうは皇帝の息子といえども余り力を発揮しない。母は人質として宮廷に入り、そこで皇帝に作らされた子供がりゅうなのである。因みに腹違いの兄弟が五十二人いる。本当の弟が一人いるので、彼は国を弟に任しブラッドについて行ったのである。彼には国のあり方など、退屈以外何物でもないのです。

 りゅうの武術師匠は、亀仙人と呼ばれる老人で、小さい時から武術修行に明け暮れていた。「シン国」での武術大会で、シン国軍最強の軍団長を一瞬のうちに打ちのめした。その逸話がシン国全土に広がった。評判は評判を呼び、最強の皇太子として第一位王位継承者を脅かしていた。しかしブラッドと出会い、世界の面白さを知った。そしてたった一日で祖国を弟に譲り、海に出たのである。

 初めて船に入り食事をしている時に逸話も残っている。余りにもマズイ料理に頭にきたりゅうは、当時のコック長を殴り飛ばし自分が料理を作り出した。するとなんと豪華で美味しい料理が次々と出来上がったのである。りゅうは宮廷内にて、最高の食事を食べている、最高のグルメでもあった。そして料理人として頭角を現し、現在では二十人以上も弟子を使って百人以上もいる『ルシフェル』のクルーの胃袋を満たしているのだ。ティナは同じ目を持つりゅうが大好きである。

 因みに殴り飛ばした、前コック長「パリス」は現在副コック長として働いており、りゅうの崇拝者となっている。料理人達は、りゅうに料理・武術を教わり、最強の戦うコック集団として組織されて行った。


 このように世界中の海軍・海賊が恐れる『赤毛のブラッド海賊団』は、船長ブラッドの元で組織化されている為、少数ながら最強を誇ったのである。経理もティアナが仕切っている為、無駄が無い。現代でいう大手大企業を打ち負かす、やり手の中小企業の社長のようである。三百人もの人手がいる、ガレー船最大級のガリアン型の海賊船『ルシフェル』をたった百数十人で操っているのだから、組織力は桁外れにずば抜けている。

 彼の実力・組織力もさる事ながら、最強の五人衆を引き連れる辺り、彼は結構人垂らしである。彼の包容力・強さ・優しさ・気配りなどは、ワンマンな海賊とは一線を引いている。しかもブラッドは海賊ではあるが、盗みや強奪などは一切やらない。宝探しが大好きな少年のような男なのだ。だから人が付いてくるのだろう。毎日ワクワクしながら行動している。そしていつの間にかクルーは彼のペースに引きずり込まれて行くのだ。男として、魅力的である。ティナも初めて出会った時に、彼の一言で突き動かされた。ブラッドはそういう男だ。



 情報収集に向けて小船を用意して乗り込んだティナとスカーとパリスとヒューベリックの4人の元に副砲撃手のニックが駆けつけた。

「砲撃長が面白い素材が無いか見て来いってさ。乗せてくれ」

 乗り遅れると思いニックが慌てて伝える。

「え〜ニックが来るといつもガラクタだらけになるじゃないか?」

「ガラクタとは失礼な。新兵器の部品だ」

 ティナの質問に、ニックは苦笑いをした。

「俺たち情報を取りに行くだけだよ。次に上陸した時でいいじゃないの?」

「バカだな〜こんなものは速めに情報を集めたほうがいい。ここは黄金の国だ!何があるか分からない」

「連れてやれ。」

 二人のやり取りに、二等航海士のスカーがティナに言う。上司であるスカーに言われると何も言えないティナ。しぶしぶ了解した。

「それじゃ〜黄金の国探索にいざ出発!!」

 何故かティアの号令で小船は出発した。


次回「黄金の国」をお楽しみに


キャスト

ティナ…赤髪に黒い目を持つ少年、この物語の主人公

ブラッド…「赤毛のブラッド」として海軍・海賊に恐れられている。海賊船「ルシフェル」の船長

ティアナ…海賊船ルシフェルの副船長兼経理担当。森の種族「エルフ」にしてブラッドの妻

バージ…五人衆の一人。ブラッドの幼馴染。一等航海士として舵を任されている。最強の剣士

ゴルディバ…五人衆の一人。甲板長。巨漢ながら性格は温厚。ただし戦いの時は狂戦士となる

スチワート…五人衆の一人。砲撃長。最高の狙撃手。新兵器開発が趣味

マシュー…五人衆の一人。通信長兼ドクター。白・黒魔術の最高位の魔術師。趣味の新魔術の研究

りゅう…五人衆の一人。コック長。武術の達人。その正体は、シン国の皇太子。

スカー…二等航海士、バージの弟子。槍術の達人

ゴンゴ…副甲板長、ゴルディバの弟。兄と同じ巨漢で狂戦士。

ニック…副砲撃長、狙撃手。スチワートと同じで新兵器開発が趣味

ヒューベリック…ドクター助手。白魔法・薬学の権威。マシューが研究ばかりしているので彼が働く

パリス…副料理長。武術家。りゅうを崇拝している。


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