「SNSでいつもカップルの実体験をあげてる人がいて、憧れるなーとか言いながら、携帯を弄ってる私にコーヒーを差し出して、微笑んで隣に座るイケメンで可愛い姉。でも実はそれを上げてるのは私で、その相手が姉」
「SNSでいつもカップルの実体験をあげてる人がいて、憧れるなーとか言いながら、携帯を弄ってる私にコーヒーを差し出して、微笑んで隣に座るイケメンで可愛い姉。でも実はそれを上げてるのは私で、その相手は姉」
「いいな」
リビングのソファで携帯を弄っていると、ドアから姉がうっとりとした顔で入ってきた。
「コーヒーでいいかい?」
「ありがと」
キッチンに入り、鼻歌まじりにコーヒーを淹れながら、話しかけてくる。
「話を聞いてくれるかい?」
「まあ、いいけど」
姉の趣味は、カップルの日常あるあるをSNSに上げる人を追いかける事だ。特に、お気に入りの人の話は饒舌だ。
「今日は登校する時に髪を整えてくれたらしい。その仕草が格好良くて……。憧れるなー」
そう言いながら、淹れたコーヒーをソファの前の机に置く。私が携帯を右手で弄ってるから、左手で取りやすいように置かれている。
「砂糖はいつも通りでいいかい?」
「ありがとう」
姉は、慣れた手付きで砂糖を淹れる。そして、ゆっくりと隣に座る。
「いつも話を聞いてくれてありがとう」
「別に。暇だし」
横目で見ると、優しい微笑みを浮かべている。
「隣にいるだけで落ち着くし、彼氏だったらなぁ」
「それはどうも」
本当に顔がいいから、そういうの女の子側で憧れているのだろう。外でもカッコいい姿だけだけど、家での姉はこんな感じ。
「じゃあ、家の事をしてくるよ。お風呂はいつもの時間で。ご飯は好きなシチューだよ」
「ん」
でも、正直それは女の子が憧れる男の子の姿なんだよなー。
「ということで、上げますか」
私は今あったことを文章にまとめ、SNSに上げる。姉は自分がしていることなのに、気づかずに楽しんで読んでいる。そこが可愛いところなんだけど。
「私も姉じゃなくて彼女だったらいいと思うのに」
今日もこれからの姉が愉しみだ。その恩返しにSNSを上げ続けるだろう。
噂をすれば、姉がリビングに戻ってくる。
「今また更新があったんだ。テーブルにコーヒーを置くときの気遣いが本当に格好良くて……。私もコーヒーを淹れあえる経験をしたいなー」
……私の姉は本当にイケメンで、本当に可愛い。
妹がイケメンのパターンも好きです。