第84話 幼馴染3
「レイ、どう思う?」
俺は俺の中に潜んでいる精霊に、語りかけた。
言葉を口に出せば周りからすれば独り言のように見えるだろうから、勿論口に出さず、俺の中で聞いた。
「お会いしてお話してみては如何でしょうか?」
「そんな事言ってもな…こう…自然に会って話をしたいんだ。
なのに、すれ違いもしないんだぞ」
「であれば、深く考えず成り行きに任せた方が良いのでは?」
レイの返答は本当その通り、無理矢理会う必要ないのだ。
だけど、会えない事に、モヤモヤとする。
「…はぁ……。
いや、俺が会いたいんだ。
急に会えないと違和感があるものだろ?」
「私は精霊なので、人の感情については分かり兼ねますが…何か違うと思います」
「違う?」
「ぁあ、そう言えば。
1つだけ方法が思い当たります。
ーーこれはこの学園にいる精霊から聞いたのですが」
その瞬間、俺はレイの実体を目の前に召還すると、そのまま声を出して話を続ける。
「けど、ラウル様には些か難しいかと」
「取り敢えず話を聞いてから判断しよう」
「朝早くから図書室でサリエル様が本を読んでいるとか」
「…サリーは本が好きだったな」
朝早くとなると、人も居なくて落ち着くのだろう。さも彼女が考えそうな事だ。
ぁあ、だからレイは俺には難しいと言ったのか。
朝が弱い人にしか分からないだろうが、俺は朝起きるのが本当に辛い。
つまり寝起きが悪い、レイが起こすもなかなか起きない。




