第79話 マリエッタは見た2
破滅しかない彼女を救えるのは、前世の記憶を持つ私だけなんじゃ無いかって思っていた。
だけどー…
急にゲームにはなかった展開が私達を襲い、騒然とする中、結局は震えて何も出来ない私を助ける為に身を投げ出した彼女が、あっという間に空に消えて行くのが目に入った時、同時に海の中に消えた大切な人を思い出す。
「サ…
サリエル…さま、サリエルさまぁぁ!!!」
そう叫んだ後は、もう目の前が真っ暗で下を向いていたから何があったのか分からない。
だけど、サリエル様が居なくなったその直後、王国派遣部隊が到着して、少数ながらも魔法を駆使して次々と男達を捉えて行ったらしい。
気付けば私達特進科の生徒達は校舎ごと学園の敷地に戻されていた。
気絶させられていた生徒は担架に乗せられて病院へと送られ、他の生徒は今頃安堵して泣き出す者、怯えて兵士たちの手を払う者、様々で
私が茫然とその光景を見ている時、背後で兵士達ではない者達が来たのがわかった。
王太子を含めた総合特選科の生徒達だ。
ヒロインの「そんな…」と言う声と、攻略対象者の1人であるジルヴァンの「酷い有り様だな…」と言う話し声が聞こえる。
これはイベントか何かなのだろうか?
ふとそんな事を考えた。
兵士が王太子に状況説明をしている。
「ー・現在、無事を確認されているのは以上になります。恐らく全員無事かと…「女子生徒が1人…」
兵士の報告を遮って、とある男子生徒が口を開く。
ロンだ、ロンの声だわ。
そう言えば貴方一体何処にいたの?
「派遣部隊が来る直前、女子生徒が1人、あの男達のせいで空から落ちてしまいました。
その後、どうなりましたか?」
そうなのだ、サリエル様が落ちた直後に王国軍の派遣部隊が来た。
もしかしたらー…
私はゆっくりと、振り向いて、ロンに問いかけられた兵士を見たけれど、その兵士は気まずそうに視線を逸らして
「その件については…追って捜査致します」
そう答えた。




