第75話 孤島4
「…貴方達の目的は何なの」
その問いには誰も答えようとはしない。
「こんな小娘1人に何をしているんだ」
そう言って1人の男が離れた所からサリエルに向けて銃を向けているのが目に入った。
「お…おい、銃は…」
「お前らと一緒にするな、狙いくらい定められる。
時間をかけ過ぎなんだよ、自分達がモルモットにされたいのか?」
(この距離なら…)
銃口をじっと見つめて、相手を鋭く睨みつけていると、辺りには銃声が響く。
サリエルに向けて撃たれた銃弾は壁にめり込み、数発撃たれた弾は当たる事なく、走りながら男と距離を詰めた。
袖に忍ばせていた小型ナイフを二本の指で出すと、銃口に投げて刺さした。
「…っこいつっ!」
男の喉元にナイフを突き立てようとしたときーー…
「そこまでだ」
横目で声の方に目を向けると、男の1人がへたり込んだマリエッタの首を掴んで持ち上げて
サリエルの方にかざしていた。
サリエルはゆっくりとナイフを下ろす。
「なかなか、面白いのが紛れているじゃないか。
おまえのような奴は、どうも甚振りたくなるんだよ」
「…なら、マリエッタを離して。
私の首を絞め上げたらどうなの」
「甚振るってのは、そいつの本当に嫌な事をするのが1番だよなぁ」
ニヤリと嫌な笑顔を向けてくる男に、背筋が凍りつく。
何…この男…。
周りの男達とも、何かが違う。
この中でも一際、嫌な感じがする。
その男は周りの男達が止めるのも「1人くらい大丈夫」と言って聞かず、マリエッタを割れた窓から投げようとしている姿が目に入ったとき、
ーーただ、前に足を踏み出して
サリエルはその男の元へと全力で走る。
マリエッタが外へ投げ出された瞬間、同時についたけれど、強風の影響を瞬時に読んだサリエルは窓辺を蹴り、届くように手を伸ばしながら自らも、外へと身体を投げ出した。
ーー刹那、マリエッタの手を掴むことができたので、そのまま勢いをつけて教室に投げ入れる。
サリエルはマリエッタの無事を見届けて安堵し、表情を和らげた。
男達が予想外に時間を食った事で、ある確信を得たけれど
まだ〝来ていない〟のに残して行く事に一抹の不安も同時に抱きながら
(あとは…)
離れていく景色にーー…
(信じる事しか、出来ないけれど)
今、思い出せるのは
宙に浮いたような感覚と
「サ…
サリエル…さま、サリエルさまぁぁ!!!」
遠くになって行く、マリエッタの叫び声。
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