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悪役令嬢サリエルの夢  作者: マロン株式
第1章
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第64話 婚約と婚約破棄の予兆?10

「側室と子を設けたのも、王妃を疑念による糾弾から守る為に、身を切る様な思いでの事。


故に王妃を深く愛し、信じていた王は人知れず、


疑心暗鬼になって行き、先程の惨劇へとつながりました。



結果、身の危険を感じた

第4王子は継承権を放棄し、第4王子の母君 は身をお隠しになり、


アーサー殿下が王太子となりました。」








 サリエルは手が震えてるのを抑えるように、膝の上でぎゅっと握る。







「公女様?」



「…それで、どうして私と…」



「それは…」



 言い淀むセドルスに、それまで口を閉ざしていた王太子が答えた。


「王家は今かつてない程に揺らいでいる。


王家の権威が地に落ちている今こそ実権を握ろうとする者がはびこり、




それらは今、内乱の種を其処彼処にばら撒きはじめた。



わかるか、これを鎮めるには、


王家が権威を取り戻さねば無ければならぬ。


それが出来ねば、この国は再び戦火に包まれるだろう。」






 皆を鎮める権威…







「ラドレス公爵の後ろ盾があると、周りに知らしめたいのですね。」




 お父様は一度、第一王子との婚約話を断り王家の争いに関与しない事を示したと聞く。


 だから今、私に交渉しに来たのだ。




 一度王家への不介入を示されている手前もあり


 娘の私からお父様に願い出て欲しいと言う事だ。



 ラウルとの婚約を


 公に宣言するのは16歳で社交界デビューする時だ。


 今の段階ならギリギリ婚約解消による私やラウルへのダメージは何とでもなると踏んでいるのだろう。





「そうだ、


ラウルも貴族の端くれだ。

王家の内情を、理解すれば


サリエル嬢との婚約を解消する事も承諾するだろう。」





 確かにラウルにしてみたら、私とは親同士との政略結婚によるもので、好意などなかったはずだ。


 だからこそ、ゲームでもサリエル1人が熱を上げて、終いには…



 サリエルは瞼を閉じて、幼い頃の記憶を辿っていた。







『よろしく、婚約者殿』





『元来た道を全力で走れ!



そうしたらレイ達がいる!』




『サリー』




 そっと、瞼を開いて


 王太子を見据えた。






「申し訳ありませんが…「王妃になれば」






「サリエル嬢.願いがあるのだろう、

王妃になれば、1つとは言わず、


どの様な願いも叶えられるぞ。」





「1つだけ願いを聞くと申されたのは、

私の反応を見て、

それを図る意味もありましたか……」




「そうだな、通常のサリエル嬢ならば、


あの場面、こちらへの礼儀を込めて断っただろう。



だが断らず先送りにしたと言う事は公爵令嬢の其方では叶えられぬ、それも複数の願いがあるのだろう。」



 この王太子、油断ならないわね。

 少々侮っていたわ。


 今度からもう少し気をつけましょう。


 まぁアホみたいな人にやられて、断罪されるよりは良いけれど。



「…そうですわね。

当たらずと雖も遠からず。ですわね。」




 ここでラウルと婚約を解消出来ても

 王太子と婚約するなんて言ったらそれこそ王太子ルートになる可能性高いじゃないの。



 望みから正反対に向かっちゃうじゃない。

 それに王妃なんか興味ないわ。


 権力や富はあるに越した事ないけれど、それは幸せになる為の手段でしかない。


 それと引き換えに幸せと平穏と自由と……


 取り敢えず、多くのものを犠牲にしては意味がないし本来の望みは叶わない。


 私はサリエルとして、平穏に生きて老後を迎えるつもりなのよ。



「……王妃では、叶えられぬ、か。」





「…。」



 目を伏せて、紅茶をすするサリエルに王太子は軽く息をついた。


「そうか、今日は事を急いてしまったようだな、」



「…紅茶も飲み終わりましたので、

私はそろそろ……」



 そっとカップを置いて、立ち上がるサリエルを王太子は何も言わずに見上げた。


 その瞳と目が合うと、何も言わず、ただ真っ直ぐにサリエルを見据えている。


 スカートを摘んで頭を下げたサリエルは

 沈黙を肯定と捉えて、出口へと向かった。


ドアノブに手をかけた瞬間、

王太子は再びサリエルに声をかけた。



「サリエル嬢」


 サリエルは振り返らないまま、ピタリと動きを止める。


「何でしょうか?」


「…ー」



「……ここで伺ったことは、

一切他言致しませんわ。」




「ー…サリエル嬢、其方は


この国に大切な者はいないのか?」








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