第58章 婚約と婚約破棄の予兆?4
「そうだな…
今何か、望みはないか?」
「望み、ですか?」
サリエルはこてんと首を傾げた。
「そうだ、
あの時の礼に其方の望むことを1つ叶えよう。」
私の、望み…うぅん……
そうだな…出来れば王太子を含む、ヒロイン及び攻略対象者達を私に近づけないでなんて事は言えないし…
趣向品なら公爵家の財産で大体は買えてしまう…
けれど、王太子に願いを叶えて貰うっていうのは、私の断罪間際でも有りなのかしら?
だとしたら、処刑を無しにして貰ったり…いや、この願いを言う時王太子死んでるから無理か。
各パートでの追放…ハッピーエンドを迎えた時、
どの様な罪状で捕まったとしても、牢屋で拷問せずに、罪人としてではなく、ただの平民として何処か安全な地に追放してもらうって事も可能なのかしら。
その際は雨漏りのしない隙間風のない住居の手配と、当面の生活の保障は欲しいわ。
ついでにホワイトな仕事も斡旋してもらえたり…
…1つじゃ追いつかないわね。
「…お礼などと、私などには勿体無いお言葉です。
少し考えるお時間をいただけませんか?」
サリエルは
勿体無いと言いつつも
王太子に望みを叶えて貰えるという事は、使い様によっては自分の命を救うかもしれないので、有り難くお礼を頂く事にした。
「ぁあ。
良いだろう。」
私を見つめるそのまっすぐな瞳、まっすぐな言葉に、自然と背筋を伸ばした。
思えば、あんな一瞬の事を、こんなにも長い間恩義に感じてくれていたなんて。
なんて律儀な王太子だろうか、無事、この国の王になれたのなら、それは立派な権勢を振るいそうね。
「…では、私はこれで。」
話は終わったと、この場を後にしようと踵を返そうとした瞬間、左手首をガシリと掴まれた。
「待て、話は終わっていない」
掴まれた事で、驚き、目を見開いたサリエルに
次の瞬間
更なる驚きの言葉が告げられた。
「本題はここからだ」
「ここから、…ですか」
「其方に、伝えねばならぬ事がある。」
「…火急の用というものの、本題ですわね?」
サリエルの言葉に、王太子はコクリと頷いた。
確かに、お礼だけでそんなに探し回ったりしないだろう。
余程馬鹿正直な人でないと。
王太子はそんなタイプには見えない。
「わたしと
結婚してくれ」




