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悪役令嬢サリエルの夢  作者: マロン株式
第1章
54/94

第54話 動き出す4




「…わ…私今、良く聞き取れなかったみたいで…」



「男爵令息が良くサリーのペアに選ばれたもんだなぁって」







 ………今日は耳がおかしいみたいたわ。

 ラウルの爽やかな笑顔と台詞があっていないもの。


 まさかラウルが悪役令嬢ならぬ悪役令息みたいな事言うなんてそんなまさか。…まさかを2回言ってしまったわ。




 もう一度聞き返してみようかしら、いやいやでも、聞き返すほどの内容じゃないわね。


 話題を変えましょう。そうしましょう。



「ラウルのペアは誰になったの?」



 質問したものの、私は知っている。


 知っていると言っても名前は知らないけど。





 このゲーム開始のダンスパーティーで、ヒロインはすべての攻略対象と対面を果たす。

 けれど、ペアになれるのは1人だけだ。


 この時は攻略対象の中でもパッケージの真ん中にいた王太子殿下がヒロインのペアのはず。


 悪役令嬢にえげつない末路を歩ませるやつほどストーリーがドマラティックだからだ 。


 王太子殿下はヒロインと一曲踊ると、従者に呼ばれて一度画面から消える。





 その時、ラウルにヒロインを託すのだ。



 因みにラウルはモブキャラの女の子と共にいたが、ヒロインに意地悪を言うモブキャラをラウルがうまく追い払い、2人きりで話す……




 って感じだったと思う。記憶が正しければ。



「……バルダロス伯爵覚えてるか?」




「覚えてるわよ、貴族の風上にも置けないような人ね」



「…バルダロス伯爵の令嬢が、今回俺のペアだ」





 あの人、娘いたんだ…

 てっきり、いてもお孫さんかと。


 名の無い意地悪なモブキャラが、バルダロス伯爵の縁者だなんて、なんて偶然。





「ペア…か……」




 サリエルが衝撃を受けて考え込んでいる姿を見つめながら、



 誰にも聞こえない声でラウルはポツリと呟いた。





「サリーは、俺の婚約者なのにな…。」









 この時の私は


 前世の記憶がある事の傲慢ゆえに


 自分の事ばかりで、多くのものを見落としていた。







 私はこの世界について全くの無知である事




 その手にあるもの



 大切な者の心






 けれどー




 何か1つでも見つけていたなら


 どうなっただろうか。





 知っていても抗えなかったであろう運命の波が待ち受けているのを






 知る由もなかった。


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