第49話 学園生活スタート6
自然と足がその集団の方に歩き出していたけれど、
次の瞬間屋上の扉が勢いよく開き、目の前に現れたジルヴァン・モルストの漆黒の瞳と一瞬目があったその時ー…
「可哀想ぶらないでいただける?
卑しい産まれの人間はこれだから嫌なのよ!」
苛立ったようにそう声を張り上げた女の声にバチンと何かを叩くような音がして、
弾かれたように走り出したジルヴァン・モルストは集団に向かって声をかけた。
「何をしている」
低い声が、ヒロインを取り囲んでいた少女5人の視線を集めた。
「ジル…」
叩かれたのか、赤くなった頬を手で押さえて、ヒロインがそう呟くと、1人の少女の目が険しくなり、再び右手を振り上げる。
その腕をジルヴァンは掴んで少女達を睨む。
「貴様ら、俺様のお気に入りに手を出すとは、
全員死にたいようだな」
ジルヴァンを中心に禍々しい黒い紋様の魔法陣が広がる。
ザワリと嫌な風が魔法陣から吹き出して、少女達は恐怖に顔を引きつらせた。
「やめて、ジル」
ヒロインの呼びかけに、答えるつもりはないと言うように闇が少女達の足元に絡みつく。
「やめて!」
もう一度、そう叫んだヒロインの呼びかけで、
風は静まって行き、絡みついた闇も小さくなり魔法陣の中にシュルシュルと戻っていった。
足の自由が戻った少女達は、腰が抜けてしまったのか、その場にへたり込む。
私もついつい見入ってしまった。
魔法陣での魔法を見たのは初めてかもしれない。
これが魔法かぁ…
そんな事を呑気に考えている時、ヒロインとジルヴァンは何やら話を進めていた。
「貴様ら、メリルに嫌がらせをしていただろう。」
「私は大丈夫だから、ジル」
「おまえはそんな事だからこんな奴らに舐められるんだ。
その気になればこんな奴ら…」
「彼女達を責めないであげて、彼女達もこんな事したかった訳じゃないのよ」
ヒロインの言葉に、へたり込んでいた少女達はキョトンとした表情を浮かべながらも顔を上げる。
そして続けてこう言った。
「自分よりも高位貴族に命令されたのであればどうしようもないわ」
そう言ったヒロインの目線は
何故か
私の方を真っ直ぐに見据えていた。




