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悪役令嬢サリエルの夢  作者: マロン株式
第1章
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第12話 ラウルとお出掛け③

 ふぅん…と、ラウルは相槌をうった。


 けれど、次の瞬間には何か思いついたように身を乗り出す。


「親にバレないように抜け出すってのはどうだ?」


…大人しそうな顔してなかなかやんちゃな事言い出すのね。


「でも、そんな事してバレたら…」


「バレたら、俺が無理矢理連れ出したんだって謝ってやるから!

それに、いつもサリーの両親は帰りが遅いんだろう?」


 ん?両親共帰りが遅い事を何故知っているのかしら。お父様はともかく、お母様は…


 それについては、ラウルは失言したと少し顔を強張らせているので、追及しないことにした。



 どうしてそんなに私を連れ出したいのか、そんな疑問を浮かべるが、ラウルもきっと、子供だけでサーカスを見に行きたいのだろうと納得する。


「でも…使用人達から直ぐに話が伝わるわよ」

「…そうだよね…」



 先程までとは違い、少々しおらしくなったラウルを見て、そんなにサーカスに行きたかったのかとちょっと可哀想になってきた。


 ラウルも友達を作れる環境にないのかもしれない。


 当初会った時の印象は、歳にしては随分大人びていると思った。

 比較対象は現世でいないけれど、前世での記憶に残る6歳児を思い浮かべる。

 男の子なら尚更、友達と走り回ったり、ゲームをしたりしているものだろう。


 けれど、ラウルには兄弟が居ない。一人っ子だ。

 母親はラウルが産まれると同時に他界し、愛妻家だったサリアロス公は、後妻を娶らなかった。



 私には兄が居て、この屋敷でそれが心強かったのを覚えている。


 私が現世で物心ついた時は既に父は仕事で私が寝静まった頃に帰宅し、

 母は父よりも帰りが早いものの、夜老けてからの帰宅だった。


 使用人達だって仕事があって、使用人達の仕事を手伝おうとしても〝お嬢様にそんな事させているのが知れたら…〟と気を遣わせる始末だ。


 私は兄のいる部屋に本を読んでほしいと口実をつけては会いに行った。


 何時もいる訳でもないけれど、居る時は快く側に居させてくれた。



「やっぱりサーカスは私も行ってみたいわ」


 明るいサリエルの声に、しょんぼりと落としていた目線をあげるたラウルは、「いや、でも…」と、何か言いかけた。


「大丈夫よ、

サーカスの公演時間は40分と書いてる。

貴方のお父様が遠いところに子供と従者のみで行かせると思えないから、そう遠いところでは無いんでしょう。


2時間弱くらいで帰って来れるなら、使用人達にもばれないわ。」


 私専属の侍女やメイドは居ない。


 私の動向を屋敷内では把握はしているだろうが、屋敷の外に出たら別だ。


 サリアロス公爵邸からラドレス公爵邸は馬車で往復し2時間程度。


「サリアロス公爵邸に行く。3時間程で戻るわ」と言えば、ラウルの従者に私を預けてくれる可能性は大いにある。


 この屋敷は人手は必要最小限にされているし。


 そして何より、サリアロス公爵邸仕えの従者と、ラドレス公爵邸仕えの使用人がわざわざ、主人はどこへ向かったなどの情報共有はしないだろうと思う。




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