第2章12話 契約と作戦と金
あれから3時間半が過ぎ、よーやく洞窟が見えて来た!
「そろそろ着く!もう少し我慢してくれ」
到着したと同時に荷台から、3人が降りる!
何とか振動は少なくしたつもりだが、やはり全ては無効に出来なかったのであろう!お尻をさすっている!
俺は奥から、柔らかな皮を重ねた敷物を、3人の前に置き、くつろぐ様に指示する。
その後は今後の話をする前に、先ずは飯を食わせてやろうと、肉を準備し何時もの焼き場にて、焼いていく!
シンプルに塩のみだが!中々美味いはずだ!
焼き上げた肉を、葉っぱの皿に乗せて、木で作った爪楊枝と共に3人の前に並べる!
「熱いから、この木に突き刺して、ゆっくり食べてくれ」
3人はビックリしてこちらを見ている!
俺はその顔を無視して、水を入れてある筒から木のカップへと水を注いで、3人の前に置いてゆく!
「これは何でしょうか?」
「ん?肉だが?嫌いなのか?」
3人に問いかけるとブンブン首を振る!
なら何故質問してきたのだろうか?
「まさか生きてオーガから食事を振舞われる事になるとは・・・人生何があるかわかりませんね!」
ミランダが笑みを浮かべて言う!
あ〜成る程!ま〜そりゃそーだな!なんて何故か納得できてしまった。
「冷めたら美味しく無いから、食べてくれ」
「ではお言葉に甘えて頂きます。」
3人はお腹が空いていたのか、ガツガツと肉を食べていく!
このままだとすぐに無くなると思ったので、追加で何枚か焼いて肉を足してやる!
程なくして、お腹をさすっている3人の前に、お金の入った袋を置く!
「金貨300枚ほど入っている!」
3人は目を見開いてこちらを見る!
「これで君たちを雇う!街に行って生活を安定させてくれ!」
「このお金の価値を主人は理解していますか?」
「いや!わからんね!ただ今の俺には価値は無いから、どちらにせよ活かせる場所で活かすべきだと思うんだが!」
「そーですか!でも一応価値について説明しときます。」
銅貨100枚で銀貨1枚になり
銀貨100枚で金貨1枚になります!
最後に金貨100枚で白金貨1枚の価値があります。
「そして最後に、次に街の宿屋の価格ですが!平均銅貨5枚で一泊食事付きに泊まれます。」
「ですから、銀貨1枚で約20日宿屋に泊まれる計算になります。これを踏まえた上で、この金額で私達を買ってくれるのですか?」
「ああ!もちろん構わない!」
3人は一斉に頭を下げた!
「ありがとうございます」
「それでこの金額なら、街で生きて行けそうか?」
「可能ではあります!ですが一生とはいかないでしょう!」
「それはそうだな!なら商売をしてはどーだ?」
俺は自分の中の計画を話す!
「先ずは商店付きの家を買う!そしてその商店には俺が加工した薬草や武器等を売る!それなりの値段にはなると思うぞ!」
「後は商品の受け渡しだけ考えれば、なんとかなりそうなんだが!」
「ここまで考えて頂き感謝します。」
「何!こっちにも目的があるんだ、問題無い!」
「あーそうそう!こっちの世界にマジックバッグってのは有るのか?」
ミランダが答える!
「主人が言ってる物か分かりませんが、鞄の中身が異空間に繋がっていて、荷物をかなり入れられる物なら存在してます。」
「有るのか!ならそれを1つは手に入れないとな」
ミランダが言いにくそうに答える!
「えっと少々申し上げにくいのですが、その鞄は特殊でして、金貨100枚程出さないと手に入りません。」
「なら少し待っててくれ」
俺はまた奥へ姿を消すと、お金を保管している袋から金貨を取り出すと、別の袋に入れていく!200枚程入れたら、それを持って先程の場所へ戻る!
「これで2つ程用意してくれ!」
お金の入った袋を置く!!
ミランダはビックリした顔をすぐに潜めて!
「わかりました!直ぐに用意致します。」
なんか大変優秀な部下を持った気分だ!まー前世では働いて無いから、同じ感覚かはわからんけども!
「おし!なら3人を街の近くまで送ろう!」
「了解です!街に移動しだいこの子達と商店付きの家を探します。なので8日後の朝にまた別れた場所に迎えに来て下さい。」
「了解した!」
リアとファングに留守番を頼み!
荷台を引きながら、街道を目指し更に、街方向へ移動する!
出発して5時間程した時に街の灯りが見てた!
これ以上近くに行くと危険な気がしたので、ここから先は3人で進んで貰う事に!
別れる前に、ミランダから奴隷契約をお願いされた!
何でも契約か契約後解放されていなければ、また奴隷商に見つかると、捕まってしまうらしい!
契約をする紙等も各奴隷が持っているのが普通なようなので、とりあえずは3人と契約し!2人は解放する方向にして、ミランダのみ契約を残す!
この契約でよーやく残りの2人の名前がわかった!
リリとララと言うらしい!
無事契約と破棄が出来た事を確認した後、その場にて解散する!
ミランダとリリとララが深々と頭を下げた!
俺は手を振りその場を離れた!
それから8日たった朝!
ミランダを迎えに、1人で売れそうな商品を荷台に乗せこの前別れた場所にやって来ていた!
正直来ない確率もある話なのだが!
そんな事になる気はおのずとしなかった。これも俺の持つ直感スキルの感覚なのだろう!
程なくして、ミランダが街道に現れた!
俺は森から顔を出して、ミランダの周りを確認してから、声を掛ける!
「ミランダこっちだ!」
「主人を待たせてしまい申し訳無い」
「いや今来た所だから大丈夫だ!あーあと主人って何か変な気分だから、カズマって呼んでくれ!」
「わかりました!ではカズマ様とお呼びします!」
「いや!様は要らない」
「それはいけません!様だけはつけさせて頂きます。」
・・・断固拒否された!・・・
「様の件は後だ!少し移動するから荷台に乗ってくれ!」
「わかりました!」
なんとか素直に乗ってくれたな!ちょっとホッとした。
少し話が出来そうな場所で、ミランダと打ち合わせする!
「それで、家は見つかった?」
「はい!立地もそこそこの良い物件が金貨80枚程で手に入りました!」
「そうか!では鞄の方はどうだ?」
「鞄はこちらに!」
50㎝程の鞄の中から、同じ鞄が現れる!
「やはり便利だな!」
「正直!手に入れるまでこの鞄の価値を理解出来てませんでした!入口の3倍ほどの物まで入りますよこの鞄」
まーそらそうだろう!こーゆう物は基本的に金額が高いのと、中々見る機会も少ないのとで、一般人にまで認知がほとんど無いのだろう!
「知識として知っていただけでも、凄いと思うぞ!俺のは前世の知識だからな」
・・・褒めておいた!・・・
「そしてこの鞄があればここらで商品の受け渡しはできるから助かる!」
「早速だがここに傷薬と毒消しを10個ほど作った!持っていってくれ。品質については俺はできないのでそちらで頼む!値付けもミランダにまかせる。」
荷台から荷物を取り出し、ミランダに渡す!
ミランダが鞄に荷物をしまいながら訪ねる!
「カズマ様は私達を疑ったりなさらないのですか?」
「元々が無理なお願いなんだ!正直こんなに上手くいってる今のがびっくりしてる!そのうえで裏切られたのなら、それは仕方ないって思っているって感じかな」
「今のは意地悪な質問でしたね、申し訳ありません!」
「いや!構わない!こーやってお互いを確かめていくことでしか、信頼は生まれないと思っている」
「よっぽど世の貴族より、カズマ様の方が立派に思えてきました。今後ともリリとララ共々頑張ります」
「よろしく頼む!」
「まだ商売するには準備も必要だろうし、また8日後に商品を持ってここに来るよ!」
「わかりました!8日までには商品の売れ行きを報告できるように努めます」
程なくしてミランダと別れて、帰り道に薬草や毒消し等を採取して、手に入れた鞄に入れて洞窟へと向かうのであった。
11話目から2章に変更しました!