司会ってすごいよね
平日にも関わらずおっさんに呼び出される。
珍しい、なんだろうか。
「SINO、お願いがあるんだけれども」
「なんでしょうか」
「テレビに出てもらえないだろうか?」
「…誰が?」
「君が」
「なんでですか」
「君のことが噂になっている、それもまずい方向に」
「なにがです?」
「実在を疑われているんだよ」
「…架空でいいじゃないですか」
「複雑なうわさでね。このままだと、うちの事務所関係が疑われるんだ」
「いやです」
「そこをなんとか」
「ふざけんなです」
「気持ちはわかるんだ。でも必要な事だ」
「しつこいと嫌われますよおっさん、です」
「いやいや、まだまだ若いよ~」
そこじゃないだろ。
全く困った。このおっさんは決めたことはなかなか曲げない。
ということは、行くことになりかねない。
「何のためにプロフィールをあやふやにしたと思ってるんですか?これを避けるためですよ」
「それは承知してるよ。ただ、このままじゃマスコミ連中の無粋な暴露が先だ。それは双方まずいのは理解してもらえると思う」
むう、私だけの被害じゃ無いと言うことか。
それにしてもなぁ。
でも、おっさん、絶対曲げないし。
大きくため息。
「…わかりました。私も迷惑かけるのは本意ではありません。妥協しましょう」
「おお!わかってくれるか!」
「ただし!!!」
ダン!!と机を叩く。
「専用のメイクさんを呼んでもらいます。それも相当腕のいい人を」
「OK。飯田さんにすぐ連絡を取ろう。私が紹介できるNo.1の人だ」
「イメージ変えてください。元に戻るならガングロでも可」
「ふうむ」
飯田さんはかなり横に大きいお姉さんだった。
でかいね。
「面影残らないぐらいがいいので派手なのがいいです」
「ふ~む」
考え込む飯田さん。
その間にも色々な道具を取り出していく。
「面影が無くなればいいと」
「はい」
「逆に清楚すぎるのもあり?」
「面影さえ無くなれば何でもいいです」
「インディアン風味とか」
「最高です。それで行きましょう」
「できた!!」
「できられた!!凄い!!!」
いや~凄いな。飯田さん天才だ。
あのおっさん、本当に人を見る目あるな。
「お待たせしました」
『………は?』
全員がこっちを見る。
うむ、良い反応だ。これならいいでしょう。
「…い、いや、本当にSINOさん?」
「SINO…面影無さ過ぎだろ…」
「……ああ、飯田さんの悪い意味での才能が爆発してる。これじゃ影武者立てるのといっしょじゃん…」
おっさんがうなだれる。
そうだよ、影武者で良かったじゃん。
「この恰好したら曲浮かんだよ。早速作ろう」
『………はあ』
「あんたがSINOさんか!!」
「はい。初めまして」
変装が長引いて楽屋挨拶もしてないから本当に初めましてです。
「なんか、凄い恰好やなぁ。普段からそんな恰好してん?」
「気合い入れてきました!!」
爆笑。皆さん簡単に笑いますね。
「作曲家だよね」
「作詞と歌に才能がないと判断されて、作曲しかさせてもらってません!」
また爆笑
「歌下手なんか!」
「元々歌のコンテストに出たんですよ!作詞、作曲、歌全部一人で。その結果、作曲家として採用ですから!」
すごい笑われてる。大丈夫か、私
「作詞もしてるんちゃうの?」
「作曲は300ぐらい採用されているのに、作詞は10個です」
爆笑。なに言っても笑うのでは?この人たち
「歌は?」
「バックコーラスしたら、そのパートだけ使われませんでした」
この会話で笑いがとれてるの何なんだろう。
司会の人がうまいんだろうな。きっと。