人間関係がうまくいかない
『SINOさん、よろしくおねがいします!!!』
え~、隆君だよぉ。高君もいっちゃんもみんな頭下げてる。
何プレイ?
怖くてランキング見てない間に、私はどこまで祭り上げられてるのだろう?
「はい、よろしくお願いします。私は曲担当ですので、出来ればみなさんと短時間でも個別でお話させてもらえれば。その上で曲を作ります。」
『はい!!』
うわ~凄い。
にやけてくる。まさかこんな日がくるなんて。
この業界に顔出して1年。
だいぶこの芸能界に慣れた…こともなく、マイペースで曲を作り続ける私は、あんまりなじめずにいた。事務所自体は居心地がいいんだけど。
だから、こんなトラブルに巻き込まれると本当に困る。
「うん、だからつきあって欲しいんだけど」
「はあ」
最近よく曲提供している哉が言い寄ってくる。
竣といい、どうして芸能関係はこうも非常識が多いのか。
BOUNDSの皆様は常識的なのに。ぷんぷん。
「どうかな、とりあえず食事でも」
「お断りします。私は事務所とスタジオ以外では皆さんと会わない契約していますし、変な噂たつのは本意でありません」
「大丈夫だよ。車で行くし会員制の店だし」
人の話聞かない人がいます。
竣並にうっとおしいですね。
俊といえば、最近は疎遠になっている。
というか、私が嫌なのだ。
平気で身体に触ってくるし、私を自由に使おうとするし、わがままで、こっちの都合なんて聞きもしない。
おっさんがいてくれるおかげで、なんとかなっているが、本当は関わりたくない。
「SINO!」
わ、竣だ。走ってくるし。
「次の曲は?」
「う~ん、芳しくないね。微妙だね。いつまでも待つといいよ」
「おおぉい!!」
「面倒くさいの。絡むな」
竣をしっしと追い払う。
「…お前な、お前だから許すものを、お前以外がそんなこと言ったら…」
「絶交と言うことで。じゃ。」
とっとと帰るよ。
「待てっ!!」
引き留められる。腕捕まれそうになるのでさっと避ける。
うん、慣れてきた。
「まあ、実際4曲ほどはできてるんだけどね。パンチが無いんだよ。アルバムには入れられるかも知れないからとりあえず聴いとく?」
「…ああ、そういうことか。いや、まとめてでいいよ」
練習しろ、という罵詈雑言を飲み込んで今度こそ帰る。
全くもう。
面倒だなぁ。
業界に入れてもらった恩義はとっくに返してるつもりなんだけど。