なにげに告白されたのは人生初
次回で最終回です
「こ、小湊さんじゃないですか」
BOUNDSの弟分であったHELL BRESSの小湊さん。
仕事で何度か会っていた。
おっさんの事務所に解散後来ていたのは知っていたが
「お久しぶりです。SINOさん」
にこやかな笑顔。
しかし
「髭、似合いますね」
「そうですか?ありがとうございます。少し顔に迫力が欲しくて」
髭を生やしているのだ。そして唐突に気づいた。
「…あ」
髭。髭だ。
おっさん、カゲさん、リーダー、小早川さん、そして、この小湊さん。
嫌悪感を感じない男性の共通点。
「髭だ…」
なんだ、わたし。髭好きだったのか。
「し、SINO?」
ぼーっとしてるわたしをおっさんが心配そうにのぞき込む。
「ごめんなさい、作曲ですね。早速一緒にやりましょう?」
「え?」
おっさんが呆然としている
「し、しの、いいのか?」
「かまいません。やりましょう。あ、で小湊さん、お願いがあるんですが」
「?なんでしょう?」
自分でもわかる笑顔
「その髭、とてもチャーミングなので、生やして会ってもらえませんか?」
「あいつ不潔ですわ、お姉さま」
「清潔よ」
「髭とか虫酸が走ります」
鈴は嫌悪しているようだ。
そしてなにより
「ししょー。なんでわたしがいるのに、あんなのをかまうんですかー」
愛。最近すごく女々しい。
「作詞に関しては口を挟めないもの」
「さっきょくはー」
「しばらく作詞に集中。両方やらせたら中途半端になるのはよくわかったわ」
「むううう」
「…お姉さま、噂になりかねませんから、関係は程々に」
…
「こういっちゃなんだけど、男と噂あるぐらいが普通なんじゃないの?」
「…ま、まあ。でも影響力ありますから、お姉さまは」
このころには酷い噂になっていた。
美少女を連れてまわす魔王みたいな書かれ方。
なんだそれ。
「…髭、髭ねえ…」
「自分の傾向がわかって良かったです」
おっさんと談笑。
「好意、ではなく、嫌悪感を感じない、と」
「まあ、そういう話です」
「…小湊は作曲活動に真面目で、成果もでている。引き続きやってもらえ得ると、こちらとしては助かる」
「わかりました」
「…髭、髭かぁ」おっさんはうなりながら、自分の髭を触っていた。
小湊さんは、俊や哉とは全く違うタイプだ。
こちらとしてはつきあいやすくて助かっているのだが
「…悪い噂を聞きまして」
「噂話なんて珍しいですね」
この人悪口は言わないのだ。
そういうところがとても良い。
「SINOさんが女性を囲っていると」
「…まあ、意図的な面もありますから。マーケッティングの一貫です」
「芸能界はイメージ商売ですが、生き方まで曲げなくても…」
そういうと
「SINOさん、正直にいいますが、わたしはあなたが好きです」
「…え?」
告白?こんなところで
「告白、ではありません。思いはあっても、あなたは応えない。それは知っています。ただ」
告白じゃない
「あなたに会ってわたしは救われた。わたしは、あなたを助けたい。それだけです」
…
「あの、笑顔で、髭がチャーミングだ、といわれたとき、あれでわたしは救われたんです。SINOさんがいなかったら引退していた。なんでもやります。言ってください。それだけです」
…
「ありがとう、小湊さん…」
「今日はここまでで、取り乱しました」
そういって出て行く
「…告白ではない…」
告白だ、と迫られたらどうなったかな?そう思うぐらいには
「悪くないね、よかった」
わたしは男性も愛せるようだ。気が、とても
「楽になったよ。ありがとう。小湊さん」




