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私は寄生虫が大嫌い

三人を同時に連れて歩いた記憶はないのだが、噂話が飛び交う芸能界では、あっというまに広まる。


鈴、愛、そして芸能人ではいが、やたらそばにいる環についた名前らしい。

この三人の特徴が、やたらもてる点だ。


そして

「答えていただく必要はないのですが」

「ええ」愛が聞いてくる。


「枕営業ってやったことあります?」

「私はおっさんの下でしかいないからね。ないよ」

「…社長はそういうのやらせないですよね。それでいいならいいんですが」


「才能なければなんでもすべきでしょ?芸能界なんてウンとコネの部分があるからね」

「…わたしは、いいんでしょうか」

愛は本当に自信が無い。作詞家としてヒット作を複数出した今でもそうだ。


「そもそも作詞家の枕営業ってなにしてくれるのよ」

「…ふむ?」あまり考えてなかったらしい。

「…実は誘いが多くてですね」顔をしかめる。


「誰よ。おっさんに全部報告しなさい」

「…いいんですか」

「出禁にして、汚らわしい」

「…さっき、才能がなければ、なんでもやれと…」


「才能がなければね。既に結果を出している作詞家に枕?そんなの騙してるだけじゃない」

「…本当にそういうの嫌いなんですね」

感心したように見つめる。


「…すみません、知らぬとは言え」

「…なにが?」

「初対面の時、枕を疑いました。でもそういうのとはぜんぜん違うのはよくわかりましたので」

「…あなたに枕なんて求めてないだけで、枕の有用性は否定しないわよ」


「…うーん」

腕組みする愛

「私、もてるんです」

「まあ美人だからね」

「私、好みのラインには乗らないんでしょうか?」

マジマジと愛を見る。


「…同じ大学内の友達なら意識したのかもしれないけれど、会ったときからビジネスの関係だからね…」

「なるほど、そういうところがしっかりしてるんですね」

ほっとしたようにため息をつく。


「その気はないですが、眼中無いと言われるのも悲しいなと」

「複雑ねぇ」

まあ、そういうものかもしれない。そんなことをしている間に


「んで、できた?」

愛は雑談しながら作詞をしていたのだ。

今日はそれに曲をつける。


「詩先ってむしろ難しいです」

「なれて」


ふたりで色々作っていると

「お姉さま、スタジオあく時間ですよ」

「ええ。分かったわ」

今日はこれぐらいでいいだろう。

「お疲れ様、愛。今日はここまでとしましょう。また明日」

「ありがとうございました」


部屋を出ると

「高屋敷…」

「なに?」

「あいつ、すごい言い寄られてます」


「さっき聞いたわ」

「1人、特にやばいのがいまして…安藤君津。有名な業界ゴロです」

「そう…わかったわ」

電話を取り出し


「どうした、SINO」

「おっさん!今どこだ!愛が安藤とかいう変なのにたかられてるぞ!!!ちゃんとガードしろ!!!」

「な、いきなり」

「私は寄生虫が大嫌いだ!!!」

ぷちっ


「これで大丈夫」

「…お姉さま、相変わらず、凄い」

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