破たんの始まり
帰り、鈴とは会わなかった。
良かった。どう会って話をするかもわからない。
事務所からでようとした途端
「!!!!!!!!!」
ぐいっと、引っ張られ、口をふさがれる。
「…ずいぶん待ったぜ、SINO」
俊だ。手にはナイフ。そしてガラス瓶。
「防音室だから騒いでも無駄だ。安心しろ、痛くする気はない。この薬浴びればぶっ飛ぶからな」
そういってナイフで服を切る。
「!!!!!」
肌までナイフが届いたのか、胸が熱い。
「ん?悪い。深すぎたか。暴れるなよ。また傷つけちまう」
「んん!!!!!!んんん!!!!!」
ふざけるな。必死に抵抗する。
おっさんと、カゲさんは今日の今日だ。
警戒している。
この部屋に気づくかもしれない。
抵抗しよう。
できうるかぎり。
思いっきり手を噛む
「いて!!!」
「ふざけるなよ!!!!俊!!!!」
怒りで顔が真っ赤
「暴れるな、けがしたくないだろ」
「レイプの方が嫌だ!!!」叫ぶ
「安心しろ、これ使えば痛みなんぞねーよ。一度使ったら、そいつ、メロメロだからさ」
なんだ、こいつ。
俊はこんなにおかしい奴だったか。
男はこんなのなのか。
自分の都合しか言ってない。怖い、怖い。
相手はナイフを持ってる、下手をすれば刺される。
とにかく時間稼ぎだ。カゲさんは、おっさんは気づいてくれる。
「レイプとか、頭おかしくなったのかよ、俊」
「おまえが悪いんだよ。言うこときかねーし。身体にきかせるしかねーじゃん」
会話にならない。
そして
「くぅ」
胸の痛み、血が出てる。心臓がバクバクいってる。
「抵抗すんなよ。だったら」
「!!!!!」
後ろのドアが開く
「カゲさん!!!!」
「俊!動くな!!!!」
カゲさんがタックル
「SINOさん!大丈夫か!」
「か、かげさぁん…」
腰がたたなくなる。そのまま座り込む
「ま、まさか!ほんとうに」
おっさんも駆けつける
「おっさん、おっさーーーん」
泣く。もう緊張の糸がキレた。
俊の処分は保留された。
おっさんの判断だから異はとなえない。
それはともかく
「鈴とどういう関係気づくかも困っているので、しばらく事務所には…」
事務所が怖くなってしまったのだ
「…無理もない。そうしてくれ」
「…ありがとうございます」
俊は監禁状態。
まあ、レイプだもんね、あれ。
そうしてくれるか、警察かいかないと私が怖い。
俊のことばかり気をとられ、私たちは見落としていた。
もう一人危険人物がいることを




