夏空の感傷
空気が重くもたついて
夏のにおいをまとわりつかせる
汗ばんだシャツで立ち尽くす
風を待っているのだろうか、僕は
赤い空の下
また明日ねって言われて
目を逸らしたけれど
嘘でも笑い返すことが正しい世界なら
なおさら、ここに僕の居場所はない
赤い空の下
息苦しいほどの赤い、赤い
そう、美しい世界だったね
「死なないで」と縋り付かれることは
自分を否定されたようで、どうにも
悲しくなってしまうから
誰にも言わずにひとり
高い場所に上っている
この瞬間、誰の世界の中にも僕はいない
だからそれがずっとただ続いていればいい
僕の世界にも誰もいない
赤い空の下
ピンク色の月
どこかに手を伸ばす
誰も間違ってはいないことを知っているけれど
僕の死体を見て悲しむ人は
ただ僕のことを知らない人なんだよ
そう思うんだ




