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6.Fork in the Road

手探りで書いているため一人称とか三人称がごっちゃになっていて読みにくいかもです・・・


太陽はすでに真上をすぎ、西側の地平線へ沈む準備をしようとしている時間、放棄される前は人で賑わっていたであろう街のおよそ中心に位置する大通りの真ん中に白き騎士が道を塞ぐように立っていた。

その白き騎士、ローランの中でロイはまだ見ぬ敵を睨みつけるように通りの突き当たり、T字路を見る。


『ごめん!2機街の中に入ってった!』


さっき通信機越しではあるため顔は合わせていないが、紹介されたイーディスの仲間のうちの1人から通信がはいり、緊張感が身を包む。


つい先ほど、イーディスがキャリアーのエンジンをつけた音が鳴ったのをFHのセンサーが拾った。おそらく敵もだろう。

ロイがここで待っているのはその音を聞いた敵がこの道を通ると予想しているからだ。というのもこの街の廃墟は迂回するには大きすぎ、さらにはビルの中からイーディスの仲間2人が攻撃を仕掛ている状況で遮蔽物の少ない街の外周部を行くのはリスクが大きく、また街の中を通るならFHが通れて尚且つ街の反対側に早急に向える道、そしてなによりこの道はメインストリートだけあって他の道からの合流が多く、この街の地形を理解していない追っ手は自然に此処に導かれると予測した。

予測は的中し、FHの駆動音が既に朽ち果てたビルの合間に響いて接近を知らせてくる。

センサーが聴き取った音をもとにFHの頭脳、膨大な量の情報を管理するCPUが敵機の数を2機と推測。

相手の予測侵入ルートに向けて左のビームバズーカを向ける。

2つの紺色のFHが続けて風のように道路上に躍り出る。


「ーーーーっ」


左の操縦桿のトリガーを引く。

ビームバズーカから放たれた極太の光が敵アリアンツに真っ直ぐ向かっていく。しかしーーー


「なっ⁉︎」


当たる直前に横に避けられる。避けられたビームはそのまま進み、後ろに続いていたもう一機のアリアンツの左腕を溶解させる。


「くそっ、タイミングがズレた!」


ロイは必中の攻撃をまさか外したことに独り毒づく。

しかしすぐにヘッドオンのFH戦へと意識を切り替える。

敵アリアンツの持つビームライフル、55式ビームライフルより、今ロイの持つビームバズーカとビームライフル、試作突撃型ビームライフルの方がFHの装甲に対して有効な射程が長いため、距離をとるべく後ろへ退がる。

敵をキャリアーまで連れて行く訳にはいかないため退がりつつ戦うのは短く納めなくてはならない。

ビームバズーカのリチャージに必要なエネルギーが大きいためバズーカの次弾は温存する。

ビームライフルを撃ち続けるが正面から、しかも距離もあるこの状況ではなかなか当たらな。

ロイに焦りが生まれ、足首まで沼に使っているイメージが頭によぎる。その沼に完全に呑まれたが最後、身動きが取れなくなってしまうだろう。

そのためロイは努めて冷静になるよう息を長く吐く。


ーーー距離を詰めなきゃ当たらない・・・でも、この狭い空間で2機と近距離戦闘は・・。分散するしかない!


各個撃破を決めたロイは早速相手を分散させるために、まず自動ロックオンだった照準をマニュアル照準に切り替える。これで狙いをロックオンしたものではなく操縦桿につくスティックで行うことができる。

そしてビームライフルとビームバズーカを五体満足のアリアンツへ向ける、そしてビームバズーカをその手前に向けて撃ち、前進を遮る形にする。それと同時にビームライフルを相手の右側に向けておき回避方向を限定する。

するとそのアリアンツはロイの狙い通りちょうどロイから見て左隣にあった横道へ回避していった。

すぐに戻ってくるだろうが、今ロイの狙った一対一の状況になった。

ロイは思っ切りペダルを踏み込み、後退していた機体の背面にあるスラスターを吹かして隻腕のアリアンツに接近する。

180度の急速な方向転換に体がGで押し潰されそうになるのを歯を食いしばって耐える。


「ーーっ!」


右のスティックを操作して照準を合わせる。この時なるべく直線的に操作する事で相手にロイが自動ロックオンで照準しているように見せる。

そしてピタリ相手に銃口が向けられた瞬間、思っ切り左に銃口を振る。

放たれたビームは回避したアリアンツにちょうどあたり、〈ワーム〉の攻撃すら防ぎ得る堅牢な胸部装甲をいとも容易く溶かし、コクピットを貫いた。

アリアンツを操縦するパイロットは自分がなぜ被弾したのかも分からずその短い一生を終えた。

ロイは今までの訓練の中でアリアンツの搭乗経験があり、さらに今日戦うという形で客観的にもアリアンツの性能を観察することもできた。

そのためロイはアリアンツの動き、クイックブースト時の移動速度と距離、またパイロット自身の反応速度、軌道のクセを戦いの中で学習し、回避したその行き先へ撃つという技をやってのけたのだ。


「敵FH一機撃墜!そっちは⁉︎」


イーディスに報告と状況確認をする。


『エンジンの起動を完了した。これから街を出る、そろそろ合流の準備を。』

「了解!」


返事はしたが同時に容易に合流できない事もロイはわかっていた。

残る一機、初撃を躱された相手に対してロイの警戒は最高レベルまで高められていた。

そこまで警戒するのもロイには嫌な予感とでも言うべき何かを感じていたからだ。

敵の反応速度、操作技術も高い練度ではあるが、そういった理論的なものを超えた第六感とでもいうべきか、ロイの中の無意識が警戒を促していた。

機体の向きを90度左に向ける。

ーー視線を向けたビルの合間に何かが光る。

とっさに機体を捻ると目の前をビームが通り抜ける。

今の回避はロイの直感と窮地における咄嗟の判断力も幾らかの要因ではあれど、偶然と言わざるを得ないものだった。

ロイはその事を自覚して頰を冷たい汗が流れていくのを感じた。

負けじと自らもビルを挟んで撃ち返す。

大通りを走るローランとビルを挟んだ細道でアリアンツが並行して走り、ビルの間から相手を見た瞬間光線が飛び交う。

数回の交差の後、業を煮やしたのかアリアンツが自身のライフルに付いている銃剣を展開してロイの乗るローランに対してビルの合間から野生の猪を連想する勢いで突撃してくる。

ロイはそれに驚きつつも冷静に回避行動をとる。


「なんて速度で突っ込んでくるんだ!今のは、ぶつかったらあなただって!」


相手のその行動に怒声をあげる。

いくら身体が常人よりも強化され、首を守るために首を覆うデザインのヘッドセットをつけ、硬い装甲に守られたコクピットにいようとクイックブーストでの衝突はFHパイロットですら怪我を負う危険性がある。

そんな行動をとる相手にロイは苛つく。


「そんなに命令が大事なのか!そんなに〈街〉が大切なのか!」


怒鳴りながら、通り過ぎた勢いのまま宙に浮き斜め上からこちらに銃を向けるアリアンツに対してロイもビームライフルを向け、そのまま引き金をひく。

奇しくも両者は同時に引き金をひき、その2条の光線はまるで鏡合わせのように同様の軌跡を描く。

そしてまるで両者を繋ぐ糸のように中央でぶつかり合おうとした瞬間ーーーーー互いを磁石のように反発しあい軌道が逸れる。

ビームの拡散を抑制するためビームを覆う磁場が反発し合ったが故の現象だった。

出力の差によりローランのビームはアリアンツのそれよりも照準とのズレは少なくアリアンツの脇腹を大きく抉り取った。

ロイはビームが横のビルの廃墟に着弾したのを横目で確認しつつライフルの照準をアリアンツから外さない。

アリアンツは操作系統をやられたのかまだ動く少数のスラスターで勢いを殺しつつ地面に落ちる。

未だロイはライフルを向けなている。しかし撃たない。

アリアンツの方は銃を上げないのか、あげる事が出来ないのかロイの方を見るだけだ。

ロイの頭の中で、「殺せ。そいつはいずれ僕達の殺すかもしれないぞ。」と囁きかける。

トリガーにかけた指が震える。

アリアンツにこの距離でビームを避けれる機動力はもう残されていないだろう。

撃てば倒せる、撃てば殺せる。ロイが指先を曲げれば無慈悲なシステムは一切のためらいなく相手の命を奪うだろう。


ロイの指先に力が込められる。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アリアンツに乗るレイは純白のFHが背を向けて去って行くのを、ただ見つめる。

何を思うのかただ去っていく背中を瞳だけで追っていた。


「ロイ・・・」


気づかぬうちに口から溢れた言葉が密室の中で反響する。そこに込められたのはどのようなものなのか。

本人にすら知らぬ、その名前を持たない感情の波に揺らる瞳が暗いコクピットの中から友の離反(旅立ち)を見送った。


物心がつくよりずっと前から、共に過ごした友であり、兄弟でもあった2人。

離れることなど想像すらしていなかった2人はしばしの別れを告げる。

この先2人の道は蛇のようにうねり、離れては交わりまた離れる事になる。


これはこの星で永遠と繰り返される戦いの歴史のたった1幕。そしてこの先続くクローン達の紡ぐ戦いの物語の始まりだった。


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