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5.Encount

なぜか投稿をめんどくさがって変に書き溜めてしまいました・・・

いつ完結するんですかねぇコレ笑

壁から降りてすぐに追撃の部隊がやって来た。

数は7機、先程撃ち落とした脚のない機体はなく全機が五体満足だが内2機は黒い煤がついており、さっきの爆発に巻き込まれた機体だろう。

やはり有効なダメージにはなっていなかった。

7つの光線が僕たちを貫かんと向かってくるが、それを3次元的に空間を使って躱す。

壁の中と違い障害物のない拓けた空間であるため先程よりも速度を上げる。


「ぐぅっ」


切り返す度にローランの加速力に体が置いてかれそうになる。

アリアンツよりも大きい筈のこの機体は、ブースターの出力の差か加速力が高く、クイックブーストを織り交ぜた動きに相手はまだ対応できていない。

しかしそれも時間の問題だろう。

故に街の廃墟までの道を急ぎたいが7機のFHから撃ち出されるビームがそれを阻む。

こちらからの攻撃は避けることに手一杯で有効打は与えられていない。


「あともう少しーーーーっ!」


廃墟が近づきそっちに意識が向いた瞬間一筋の閃光が僕を貫かんと目前まで迫ってきていた。

ギリギリのとこでそれを横にクイックブーストすることで避けたが、今のでコンデンサに貯められていたエネルギーを使い切ってしまい、再びジェネレータがブースト分のエネルギーを生み出すまでクイックブーストが出来なくなってしまった。


「ーーーーーっ」


縋るようにエネルギーを示すメーターを睨むがまだたまらない。

複数の赤い線がこちらに向かって伸びている。


ーーくそ!まだ、ぼくは!こんなところでーーーっ!


その瞬間、背後から極光が伸び、FHに襲いかかった。

背後へ振り返る、そこには紅のFHがいた。

全体的に曲線的なフォルムをしたその紅のFHは肩に、先ほどの攻撃をしたものか、バズーカを担ぎたたずんでいた。


「だ、誰だ?」


それに答えるように通信が繋がり向こうから女の声が聞こえる。


「そこの白いFH。こっちだ、ついて来い。」

「あ、ああ。」


それだけ言うと翻り廃墟都市の奥へ進んでいく。


「エ、エリカ・・・」

「追いかけるの?」

「うん、行ってみよう。」


前方からはまだ7機のFHが追って来ている。逃げるにはあの紅いFHを追うしかない。


「わかった、行こう。」


僕も身を翻し急いで後を追う。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


錆つき、朽ち果てた街並みの間を縫って進む。

紅いFHはこちらへの配慮など無く、待つ事なくどんどん奥に進んで行く。


「どこまで行くの・・・」


独りごちたエリカの声が聞こえる。

その懸念はもっともだ。

もしこれが何かの罠だった場合、地形を全く把握できていない僕らに逃げ道はない。

ビルの合間を抜けると中庭のような場所にでる。

そこに紅いFHが片膝をついていた。格納庫などの設備のある場所以外での搭乗、降機の体勢だ。

それにともない僕も降機の準備をする。何が起きるかわからない以上、すぐに動けるように起動状態を維持したままハッチを開け、ヘッドセットの右耳を覆う方についているボタンを押す。すると鼓膜を守るために密封されていた耳あて部分に隙間が空き外の音が聞こえるようになる。

ハッチから這い出て、後からくるエリカを引っ張り上げる。

ハッチの近くにある手摺を掴んだまま紅いFHの開いたハッチをみる。

すると中からパイロットが軽やかに姿を現した。


「ふむ、2人組だったか」


そう呟いたのは、機体と同じ紅い髪をした女だった。


「あなたは?」

「ーーああ、そうだな。イーディスだ。レジスタンスのリーダーを務めている。・・・こちらから名乗ったんだ、これで少しは警戒を解いてもらえるか?」

「レジスタンス?一体なんっーーーー⁉︎」



なんで自分達を助けたのかと聞こうとして発した声は空気を揺らす爆発の音に遮られた。


「な、なに⁉︎」

「イーディスさん⁉︎」


突然の事態に、状況を知っているのかイーディスに聞こうと呼びかける。

しかし、彼女は僕たちではなく、どこか違うところに目を向けて誰かと通話していた。


「そうか。作戦はそのままだ。追う必要はない、迎撃に専念しろ。・・・・仲間がお前達の追っ手を1人撃墜したらしい。」

「ーーー味方がいるんですか?」

「ああ、まあな。詳しい話は中でしよう。・・・着いてこい。」


そう言ってハッチの近くにあるパネルを操作して乗降用のロープをだし、ロープの先についた三角の足場とグリップを掴んで紅いFHから降りていく。

それを見て僕たちもローラン降りていく。

地面に降りて近くの建物に入っていくイーディスの後を追う。



建物の中は瓦礫と雑草だらけで、人がいなくなってからの時間を感じさせる。

廊下の先にはビルの最上階までの吹き抜けの広い空間にでた。

そこの真ん中に、火のついていない焚き火の跡とその周りに拾ってきたのかボロボロの2人掛けソファーが2つある。

イーディスはソファーの1つに座り、顎でもう1つのソファーを指して僕たちに着席を促した。


「さて・・・、何から話すべきか・・。そうだな、何が聞きたい?」

「そうですね・・。まずは助けてくれた事へのお礼を。」


エリカと共に感謝の言葉と頭を下げる。

イーディスは驚いたような顔をすると満足げに笑みを浮かべる。


「なんだ、思ったより冷静じゃないか。もっと混乱しているかと思った。」

「ええ、まぁ。迷ってもいられないですから。それで、今の状況は?追っ手は大丈夫なんですか?」

「ああ、私の仲間が撃退にでている。とびきり優秀なのがな。」

「すごいですね、味方は何人なんですか?」

「この作戦に参加しているのは私を除いたら、あと2人だ。」

「2人・・相手は7機もいます、僕たちもでた方がーーーー」

「いや、必要ない。」


イーディスは僕の提案を遮る。


「あいつらは優秀だ。地の利はこちらにある。アリアンツ7機程度、押しとどめるのはわけない」

「程度・・・ですか。その後はどうするんですか?ここに籠城する訳には。」

「ああ、キャリアーが〈街〉の反対側に停めてある。」


キャリアーというのは「FHキャリアー」の事を指し一般的にFHを一機以上分解することなく運搬することの出来る乗り物の総称だ。


そして僕たちの顔を順番に見て続ける。


「お前たちはどうする?」


ーーーどうする、それは単に今この場から逃げるのを共にする、というだけではないだろう。

共に逃げるなら彼女は僕たちを戦力として見る、それにさっき彼女は「レジスタンス」と名乗った。レジスタンスと名乗るには人と争っているということだ。そして十中八九、戦っている相手は〈街〉だ。この砂と岩だけの世界で人同士が戦うのに十分な戦力があるとは思えない。

つまり、彼女は僕たちにレジスタンスに「参加」するか聞いていると考えるのはきっと間違ってない。

助けを請うなら仲間になれ、と言う事だ。

エリカの様子を伺うと、同じことを考えていたのか目が合う。

エリカはたぶん戦いを嫌っている。普段からなんとなくそう感じていたし、はっきりとそう思ったのは彼女が「廃棄」になったからだ。エリカは斗出したところは無いが戦闘時に慎重な判断を下すことのできる優秀な兵だった。

そのエリカが「廃棄」になる理由はそれぐらいしか思い浮かばない。

果たして「廃棄」と判断されるほど戦いを嫌う彼女を連れてレジスタンスに参加して良いのか。


「僕らはーーーーー」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いいか?無理に撃破する事はない、奴らを退かせればいい。」

「了解です。」


イーディスが僕に注意を促す。僕らは彼女に着いて行く決断をした。理由はいくつかあるが、右も左もわからないこの外の世界で生きていくには仲間が必要だと思ったのが1番の理由だ。

コクピットに座り、ローランを動させる。次に整備できるのがいつになるかわからないため、なるべく負荷をかけないように工程をふんで徐々にジェネレータの出力を上げていく。

その間に武装の確認をする。イーディスのFHレッドエンプレスというらしいから借りたビームバズーカを左手に、〈街〉脱出時に持ってきたビームライフルを右手に装備している。

先程の戦闘でローランの操作感はだいぶ把握できた。

今まで操縦していたアリアンツは耐久性と機動性の両立を実現させた機体だ。しかしそのため攻撃へのエネルギーリソースが削られている。

それに対してローランは装甲は薄めではあるが高出力のジェネレータを積んでいるためか武器、ブースターへのエネルギー供給が大きく設定されているが、少々エネルギーの不足を感じる。そのせいか先の戦闘ではエネルギー切れという失態をおかした。

次は常に残りのエネルギーを意識して立ち回る必要がある。

ジェネレータの稼働率が安定し、出撃待機状態に固定される。

出撃を告げようとするとエリカから通信がはいる。


「どうした、エリカ?」

「いや、あのーーーー、気を、つけてね、ロイ。」


絞り出すように言葉を放つ彼女がFHのカメラに写る。

その顔を見て気づく。

彼女は僕が戦うのが、戦場に向かうのが自分のせいだと思っているんだろう。戦いに向かう僕に対して負い目のようなものを感じている。

しかし、気づいたところで僕が言えることなんてない。

いや、僕だけじゃなく誰がどんな言葉をかけたところでエリカの心が真に晴れることはないだろう。なぜならそれは彼女の「心」の問題だからだ。どんな理論でも心が感じる事に口を挟むことはできない。

それは時間が風化させるか、彼女自身の納得によってのみ解決する。きっとそういった感情なんだ。

だから僕は日常の一コマのように、気負うことなど1つもないというかのように笑って返事をする。


「うん、いってきます」


改めて操縦桿をしっかりと握りしめて前を見据える。


「フレーム・ヘッド・ローラン、出撃()る!」

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