十のお題:「さよなら…」
それじゃ。と言って女が刀鬼を見た。
「帰るかね」
「おう」
女の言葉に刀鬼が大きく頷く。
「んじゃなみんな、楽しかったぜ」
「俺も楽しかったよ」
ようやく前に出て来た久っちが刀鬼に笑顔を投げる。
魔女と魔女の家族全員と目を合わせると、刀鬼は人懐っこい笑顔を浮かべた。
「行くよ」
「うん」
女が地面に魔法陣を描くと、魔法陣から空に向かって光の柱が現れた。
「さ、行こうかね」
先に女が光の中に入り、続いて刀鬼も光の中に入った。
「さよなら…」
最後に小さく呟いた刀鬼の表情は、どこか淋しげなものだった。
「また来るね」
「来なくていい!」
思わずツッコミを入れた久っちだったが、その瞳にはうっすらと涙が滲んでいたとか。
「不思議な冒険は楽しめたかい?」
「うん、すんげ楽しかった」
「それは良かった」
「また行きたいな」
「いいけど……アルディナには言っちゃだめだよ」
「え? なんで?」
「喜んで向こうに遊びに――って、ああああ、克に口止めするの忘れてたよ!」
目を見合わせた二人は、慌てて魔女の館へとすっ飛んで帰ったとさ。
こうして本家主人公・刀鬼のディアル物語内での冒険は、とりあえず幕を閉じた。
おしまい
お読みいただきありがとうございました。
下記よりお題を拝借
▽創造者への十のお題
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