十のお題:「しっ…声が大きい」
「なぁ刀鬼、本当にやるのか?」
「しっ……声が大きい、気付かれたらどうすんだ」
「でもやめておいた方がいいって、マジで」
「大丈夫だ、死にはしない」
そう自信ありげに笑う刀鬼の手には怪しげな小瓶。
久っちと刀鬼は今調理場にいた。
ワイルド系は席を外し、魔女はディアルをDr.のいる地下へ連れて行った。
刀鬼のターゲットは調理場の隅に置いてある樽。
中身は今日採って来たきのこ。
そこへ何か入れようとしている刀鬼を、久っちは必死に止めようとしていた。
多分魔女もこんなノリで鍋に何かを混入し、あげくにあのアメーバができたのだ。
ここで止めなきゃまた同じような騒動が起こるに違いない。久っちが説得できる言葉を模索しながら口を開きかけたその時。
「いやだぁぁあああああああああああああああああ」
「!?」
屋敷に響いた絶叫にパッと刀鬼が顔を上げる。
小瓶から意識が逸れた瞬間、当人に気付かれる事なく久っちは小瓶の回収に成功した。あれは生涯で五指に入るいい仕事だったと後に久っちは語ったとか。
「な、なんだぁ?」
「なんだろ?」
台所から出ると、なにやらぎゃあぎゃあと言い争う声。
「ワイルド系、そいつはお前の母さん・イリアを襲った男だよ!」
「何ぃぃぃぃぃ!!!」
「ひぃいぃぃ!!」
絶叫とともに気配が遠のく。
「イリア?」
刀鬼が気にしたのは絶叫ではなく、魔女のセリフの中に出て来た人の名前だった。
「ワイルド系の母親の名前」
「見たい!!!」
目を輝かせて両手を挙げる刀鬼。
(何か違う想像してるよな)
多分すごいガッチリした感じの、男勝りな女のイメージが刀鬼の頭の中には浮かんでいるだろう。
(だけどきのこは守れたからよし)
「こっちこっち」
「おう」
何せあの容姿には久っちも未だ不慣れ。
初対面の刀鬼がどんな反応をするかちょっと楽しみである。
だが久っちは忘れていた。
刀鬼がワイルド系と始めた会った時、普通に会話をしていた事を。
下記よりお題を拝借
▽創造者への十のお題
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