18話 ≪緋色の女帝≫対≪深淵の罪人≫
城の中の広場では、朝だというのに騒がしい音が広がっていた。
「ユウマ、その程度で帝国に行こうというのか? この五日間何していたんだ?」
「一応は鍛えてたんですけどね……」
固有武器を構えながらミリアの方に向かってひたすら打ち込んでいるが。
全然効いていない!!
打ち込んでいるのにミリアは片手で弾を弾いている。
「これが全力じゃあないよな?」
「そんなことないですよ!!」
中距離からの攻撃が意味がないのなら、至近距離で攻撃するしかない!!
一時的に速くなるクロナの固有能力で、一気にミリアとの距離を詰めるが。
ゴスッ!!っという音が聞こえ、急に息ができなくなり前のめりに倒れた。
一瞬のことで自分でも理解が追い付いていない状態である。
「ユウマ、そんな分かりやすく前から来たらダメだぞ。それじゃあ殴ってくださいって言ってるようなもんだ。」
今、俺は腹を殴られたのか? 自分でも気づかない一瞬の出来事に驚愕していた。
「マスター、大丈夫ですか?」「ご主人様!!」
後ろの方でシルヴィーとクロナが俺のこと呼んでいる。
「ユウマどうする? もう止めといたほうがいいと思うけど?」
「やめるわけないじゃんか!!」
倒れていたところから起き上がり、後ろに距離を少し取りまた銃を構える。
威力を上げよう、またさっきみたいに撃ってもしょうがない。
イメージを高め魔力を銃の先端に集めていく。
「そろそろ私も攻撃していいかな? まだ一撃しか当ててないのだけど」
ミリアは余裕の表情で話しかけてくる。
これが戦闘経験のあるかないかの差かと心の中で思うが。
「あまり余裕出してると足元すくわれますよ。」
そう言ってからトリガーを引いた。すると今まで溜め込んでいた魔力がミリアの方に向かって飛んでいく。
「っっ!!」
ドゴーーーーン!!と大きな音が鳴り響き
「な、なんだ!!」と城から兵士たちが次々と出てくる。
すこしやりすぎたかな? と思い込んでいたら
「流石に今のは危なかった……」
と煙の中からミリアが現れた。
嘘だろ!! 今の結構本気の一撃だったのに!!
ミリアも無傷ではない感じだが軽傷ぐらいのものだった。
「じゃあ私も固有武器を使わせてもらうか!!」
えっ? 固有武器?
ミリアの手からミリアの身長と同じくらいの槍が現れた。
「ミリア、それはやりすぎよ!!」
横からライラが声を掛けるが
「ユウマだけ固有武器使うのは不公平でしょ? この一撃で終わらせるから」
「ミリアさん、どんなに強い力でも俺は倒れないですよ!!」
と言い切るがあまり確証がなかった。
「言うのは誰でもできるけど、やってのけてからいいなよ。」
こちらに槍を構え先端に赤い光が集まっていく。
「そろそろ、終わりにしようか。」
光が大きくなりミリアがこっちに向かって走ってくる。
もう一度、魔力をためないとだけどもう時間がない。しょうがない魔力解放するしかない。
魔力解放し魔力の蓄積する、スピードを上げ威力を上げる。
そしてミリヤの光る槍と俺の蓄積された魔力の弾が、ぶつかり合い城の広場は光に包まれた。