16話 譲れない思い
「ふむふむ、ユウマはミリタリア大陸を離れている間はその日本という国に住んでいたのか?」
「はい、そうです。」
二人からクロナの存在を信用してもらった後、シルヴィーから俺の今までのことを話されていた。
「それでユウマはその日本という国で学生というものをしていたのか?」
「学生というのは何なの?」
二人とも興味あり気味に聞いてくる。
「学生というのは、俺と同じくらいの年の子が集まって学校という場所で勉強をしたりします。」
「何を教えてもらったりするの? 魔術とか? 戦闘の基礎とか?」
「い、いやそういうことは教えてないですね。 もともと日本という国は戦争とは無縁なので……」
そう言い切ったところで二人とクロナが驚いていた。
「ユウマが前にいた国は、平和だったのね。」
「ご主人様の前にいた国に、私も行きたいです。」
「俺もできたらすぐに戻りたいんだけど……」
すると、話の途中でクロナが重要なことを言った。
「確か前に帝国のお偉いさん達が集まっていた時に、こことは違う世界を侵略するというお話を聞きましたよ。」
俺はその言葉に反応して、いつの間にかクロナの肩を掴んでいた。
「クロナ!! その話本当なのか?」
「は、はい。でもちゃんと聞いたわけではないので本当ことかどうか……」
でもこれが本当のことなら違う世界というのは、日本のことだろう。
そう思い、この場で宣言する。
「今のクロナが言った、違う世界のことは多分俺がいたとこだと思う。俺は元居た世界の帰り方を調べるためにここに来ただから帝国に行こうと思う。」
「ダメよ!!!」
話が終わった瞬間に、ミリアがすごい形相で否定してきた。
「ユウマ!! 分かっているの? 今の帝国に何も考えずに行くのは自殺行為よ。もともとこっちに住んでいたんだから戻らなくていいじゃない。」
止めようとしてくるミリアに俺は。
「ミリアさん……すみません。昔、お世話になっていたかもしれないですが今の俺の居場所は日本なんです。だから止められようと思いは変わりません。」
「そうか……。」
案外、素直だなと思った時俺の考えを打ち破った。
「だったら、私と戦えユウマ。今のお前は平和ボケしすぎている。」
ミリアから決闘を申し込まれた。
「ちょっと、ミリア何言っているの!! 相手になるわけないでしょ!!」
「ライラ止めるな。これは姉としてこいつにわからさないといけない。」
ミリアは本気で帝国に行かせないようとしていた。
「ミリアさん、もしも俺が勝った場合は行かせてもらいますよ。」
「私に勝てたらな。」
「ユウマ、今なら間に合うからやめておいたほうがいいわよ。勝てるわけないわ。」
ライラは必死に止めてくるが
「俺にも譲れないことがある。」
ミリアは前に手を突き出し
「五日間待っておこう。 もし考え改まったら私のところに来るがよい、だが変わらなかったら五日後の朝に王城の広場で待っている。勝手に帝国に行こうとするなよ。」
そう言い残しミリアは部屋を後にした。
少し時間がたち、ライラから寝床を提供してもらいミリアとの決闘のことを考えていた。
今の俺で勝てるのかな。言い切ったけど勝てる見込み見えてこない。
すると、ドアが開きクロナとシルヴィーが入ってきた。
「マスター、五日後のミリア様との決闘勝ち目はあるのですか?」
「まぁ、頑張るって感じ……」
「ご主人様、まだ五日もあるのですから。その間に何かできることがあったら手伝いします!!」
二人とも俺のことを心配してくれてるようであった。
「二人とも、心配させてごめんな。」
「し、心配などしてませんよ。」
「シルヴィーさん、さっきまでものすごく心配してましたよ。」
「ちょっと!! クロナ!!」
二人がとても仲良くしてくれてるようでそれを見ているのが微笑ましかった。
「よし!! 明日からミリアとの戦いまで特訓だ。二人ともついてきてくれよ!!」
「もともと私はマスターを守る身なので」
「シルヴィーさんは、本当に素直じゃあないですね。私はご主人様に一生ついていくのでなんの問題もありませんよ。」
こうして三人は一致団結したのであった。