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甘くないドーナツ

大型スーパーにたどり着いた快音(かいん)はまず遅延損害金(ペナルティ)のドーナツを買いにマスタードーナツへ向かった。


平日の午後、夕方と呼ぶには早い時間にも関わらず幾つかある席はほぼ満席だ。

子連れの母親グループや真理と然程(さほど)変わりがない高校生の姿もちらほら見える。


店員も含めてその場に女性しかいないというのは中々居心地が悪い。さっさと目的のものを買って帰ろうと陳列棚を見ると、真理から指定された《ショコラオニオンリング》と《エンジェリックカカオ》の棚が空っぽだった。


「スイマセン。《ショコラオニオンリング》と《エンジェリックカカオ》ってもうないんですか?」


「あ、ごめんなさい!今作っている所なので二つともだと二十分程お待ちいただくことになっちゃいますけど……」


申し訳なさそうにアルバイト店員がそう告げるのを聞きながらどうしたものかと思案する快音(かいん)

二十分と言うのは非常に中途半端だが、買ってくるものを指定されている以上別のものを買って帰ったのでは死を覚悟する必要があるだろう。


「分かりました。じゃぁひとまずアイスコーヒー下さい」


「かしこまりました! 百七十円です! 二百円お預かりで三十円のお返しです。オーダー頂きました! コキュートス ワン プリーズ!」


『ヤー!』


この店のネーミングセンス絶対おかしいだろう。


地獄の名を冠したアイスコーヒーを受け取り席を探し、窓際の一人用の席につく。

平日の昼間からドーナツ屋でコーヒーを飲む唯一の男性客である自分を皆がチラチラ見ているような気がして居心地が悪い。


何をするでもなくボーッとしていると人の気配を感じて振返る。見覚えのある制服を身に付けた見覚えのない女子高校生が飲み物を片手に後ろに立っていた。

後ろを通るには十分なスペースがあったが通り抜ける気配はなくニコニコとしている。


「……何か?」


黙っていても動かなそうなので何か用かと尋ねる。


「あの、もしかして真理ちゃんのお兄さんじゃないですか?」


「え?あ、はい。そうだけど……君は?」


予想外の発言に混乱しながらどうにか返事を返して記憶を探る。

化粧気はなく短い三つ編みを両肩の上に作りにこにことしている素朴な顔はやはり記憶にはなかった。


「あ、ごめんなさい!私、真理ちゃんと同級生の《五十川(いらがわ) 詩衣(うたい)》と言います。お兄さんとは小学生の時にあったことあるんですけど……忘れちゃいました?」


そう言われて目の前の女子高校生をじっくりと見ると目元に見覚えのある泣きボクロを見つけた瞬間に思い出した。


「あ! もしかして『泣き虫しいちゃん』?!」


「そ、そのあだ名は言わないで!」


持っていた飲み物を溢さないようにカウンターに置いてから、両手で俺の腕にポカポカと力ない拳骨を浴びせる。


「あはは! ごめんごめん。いや、だって真理の後ろにいつもくっついてたあの《しいちゃん》が、こんな可愛らしくなってるなんてビックリだよ! しかもこんな場所で会うなんてね」


小学校低学年の頃の話だからもう七、八年になるか。

それだけ会わなければ女の子は見分けなんかつかないだろう。

というか、真理とは違いかなり自己主張の強い胸が余計に幼い頃の彼女と結び付かない。


「わ、私はちゃんと分かりましたよ。だって……ゴニョゴニョ」


いくら知り合いとはいえ男と話すのは恥ずかしいのか、顔を赤らめて下を向いて何事か呟いているがよく聞こえない。

この辺りの仕種は小さい頃と変わらないなと懐かしくなる。


「うたいー!うちら先いってるよー?」


少し離れたテーブルに座っていた女子高校生のグループが帰り支度をして店の出口へ向かっていく所だった。


「あ、ごめん! 今行く」


そう返事を返してこちらへ向き直り、おもむろにペンを取りだし紙片に何か書いて俺に手渡してきた。


「あの、私大体放課後あれなのでもし良かったらまたお話ししてください! コレ連絡先です!」


そう一気に言うと顔を真っ赤にして振り返ると小走りで友達の方へ向かっていった。


「あ、」


その道すがらきちんと足下を見てなかったのか机の足に躓いて盛大にずっこける詩衣。

転んだ拍子に制服のスカートがぺローンと捲れて淡いイエローの下着が顔を出す。


「だいじょう……」


最後まで言い終わる前に詩衣はガバッと起きて、ばばばっとスカートを直すと涙目で振り返り一言


「……見ました……?」


周りの視線が俺に集まる。ママさん達がニヤニヤしながら事の成り行きを見つめ、子供達は「パンツー」と指を指して笑っている。

もうやめてあげて! 詩衣のSP(羞恥心ポイント)はゼロよ!


どう答えても悲惨な結果しか生まないと考えた俺は諦めて素直に答えた。


「ごめん。ちょっと見えた。いや、でも詩衣ちゃんに似合ってたよ!」


「う、うわぁぁん!」


最後の一言が余計だった。なんであんなことを言ってしまったのか。


周りからは「あーあ」「そこは『見てない』じゃないフツー?」や「似合ってるとかキモい」等と好き勝手な感想が聞こえてくる。

見てないと言っても詩衣の性格上「嘘だー」となると思うから、あの場面に遭遇した時点で俺は詰んでいたんだ。


詩衣の友達が笑いをこらえながら「大丈夫?ぷぷ……」と声をかけていたが、一人が堪えきれなくなって爆笑すると全員笑い出し益々詩衣は赤くなり一目散に出口へ向かっていった。


俺が呆然と立ち尽くしていると店員が声を張り上げて言った。


「《ショコラオニオンリング》と《エンジェリックカカオ》出来立てでーす!」


一刻も早くその場を退散したい俺は、渡りに船とばかりに出来立てのドーナツを二つずつ買ってその場をあとにした。

新キャラ登場です!

個人的には巨乳は得意でないんですが表現の幅を増やすために巨乳になってもらいました。

大人しい娘が巨乳とかテンプレ過ぎですね。


爆発しないのは性的に興奮していないからだと思われます。


お使いイベントはそろそろ終わりにしないと……


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