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突風

音国心です、二作目の投稿をします

一作目、何時終わるんだろう…もうすぐ一年経つのに進展が…

「努力もしないで携帯ばかりいじってるなら、あんたの事寄生虫って呼んでやる!!」

「こっちだって努力してるわ!!見てもない癖に自分達だけが努力してるとか言わないでくれる!?」


これが、一週間前の我が家での出来事。

何時もなら既に冷めているであろう沸点は未だに高いらしく、目すら合わせてくれない状況にある。


八月一日杏那ほづみあんな、17歳、高校生。

母親に金銭面での援助を、拒否された。






「提出物出さないで、勉強しなかった…と?」

「………………」

「……それ、お前がどう考えても悪いだろ」

「言わないできっちゃん、今凄く後悔してるから」


そして一週間後の杏那は夜、親友である北野と帰路に着いていた。

自転車を引きながら、部活で使っている白衣の入った袋を籠に入れつつ言葉を再び紡ぐ。


「聞いてよ……母ちゃん、私と一緒に家事することすら嫌みたい……」

「え、お前の母ちゃんって家出るの一緒ぐらいなんだろ?その間何してんの」

「居間で漫画読んでる」


自分の分のご飯を作ってくれるのは嬉しいが、幾ら怒っているからと言っても家事放棄は親としてどうなのだろうか。

ここ一週間、口を聞いたことは一度もない。


「もう面倒なんだよ……私がいるとさ、口開くな、消えろ、来るなの3Kをオーラで感じるって言うか」

「いい加減仲直りしろよ……お前、県立っていっても専門希望なんだし」

「仲直りするにしても口聞いてくれないから意味ない」


しかも専門学校希望も壁の一つとなっている気がする。

怒られた日、夜遅い部活を辞めてアルバイトをしろと言われ、それを拒否したのだ。


「確かに商業の専門行くから、植物系の部活を辞めろっていう理屈は分かるんだよ。でも知能危ないのにバイト始めたら勉強出来なくなるじゃんか。只でさえあんまり勉強しないのに」

「背水の陣ってやつだな。お前生きていけるのか?」

「頑張ってる」


そこで一旦、会話が途切れた。

横の道路を走る車の音を耳に入れながら、再び口を開く北野。


「何って言うか……意外に苦労してるよね、お前って……」

「きっちゃん、女子らしく口調直したら?」

「今更すぎる。……じゃあ私ここで」


十字路で、杏那とは反対の方向に自転車を進ませる北野。

少し歩いて立ち止まり、振り返って杏那を見た。


「さっさと仲直りして、親のスネかじらないと進学できないぞ」

「…………分かってるよ」

「嘘吐け……また明日部室でな」


そして今度は去っていく北野の背中を見送り、杏那も歩き出す。

そんな事は自分でも分かっている、確かに携帯ばかり触っていたが部室ではわざわざ母から出された宿題を持ち込んでやっていた。それについては部活仲間や顧問も驚いて感心してくれた。応援もしてくれた。

それなのに勝手に努力していないと勘違いして怒って、挙げ句の果てに寄生虫扱いされた。


ー……家での味方は、頼りにならんおっさん一人。

ー……しかもバイトしろ言われると、つい求人表が目に入る…。

「………ドーナツ店、時給700円で3時間勤務……まだこの先にある肉料理店の時給820円の方が良いな………」


学校帰りの道には、見事に様々な店が建ち並んでいる。

一番近いのは、自宅から川を挟んで立つコンビニエンスストアだろうか。因みに給料は時給が安すぎて話にならなかった。

そんな重い空気のまま、家の物置に自転車を置いて家に入った。


「ただいまー……ん?」


そして、首を傾げる。

何時もならテレビの音が聞こえてくるのだが聞こえてこない、不思議に思って居間の襖を開けると机の上に一枚の紙が置いてあった。



“眼鏡買いに行ってきます、夕飯は勝手に買って食べて“



眼鏡買いに行くといっても8時を過ぎているし、そもそも母は明日が休みのはずだ。明日行けばいいのに何故今日行くのだろうか。


「……正確なテキスト言語とかけて、家庭教師と解きます。その心はどちらもおしえるを基礎としているでしょう……-50点……」


一人で出題するなぞかけっぽいものが、心に突き刺さった。

北野からも言われた……「それ、なぞかけになってんの?」と……。

ひとまず父が帰ってくるのを待つのも面倒なので、一人でコンビニに行くことにした。

面倒なので荷物を詰めたままのリュックを背負い、再び外に出る。


ーはぁ……鬱になりそう。

ー………来年までには収まるか、それだと遅いけど。

「きっちゃんから貰った消しゴムはんこ、何彫ろうかな……家紋でも彫ろうかな……」


気分晴らしにと、わざと口に出して呟く杏那。

そして……冷たい夜風が、吹いた。




「よぉ餓鬼、遊ぼうぜ」

「ーーーーは?」




声がしたかと思うと、髪の毛を強く引っ張られて体が斜めに傾く。

それに耐えきれずそのまま、橋から、落ちた。

景色がゆっくりと移り変わっていくのを、どこか客観的に捉えた。


ー……あ、これって……トーマソーってやつかな……

ー取りあえず、もし死んだとしたらーーーーー

「母ちゃんが漫画と小説を全部売りたくなる呪いかけてやる」


そして目を閉じて……水の衝撃が体を包み込んだ。

なぞかけの説明

正確なテキスト言語:OCL

家庭教師:教える


違う……何かが違う……!

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