表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐食の月  作者: 神崎真紅
7/7

act 7 エリカの行方

「おお、エリカよ。どうか私が助けるまで無事でいてくれ。」


王子は祈る様な思いで馬を走らせて行った。

隣りの国エルドラド王国まで…。


----同じ時刻。

エリカは眠りから覚めて仰天していた。


「これは…一体?」

「や、これはこれは姫様、お目覚めで御座いますか。」

「あ、あなた達は誰?わたくしをどうするつもりなの?」

「私共は、エルドラド王国の者。国王の命により、そなたを我が国にお連れ致す。」

「何の冗談ですの?わたくしはもうすぐディノ王子の妃になる身ですのよ?早く帰して下さいませ。」

「それはもう叶いませぬ。我が国の王妃になって頂きます。」


何それ?

て、言うかこれって誘拐じゃないの?

あ…。


『敵国の王には充分に注意する様に。』


王子が言っていたのは、こういう事だったの?

冗談じゃないわ。

そんな知らない国に連れて行かれる訳にはいかないわよ。

でも、あたしひとりじゃ何も出来ない。

王子…。

助けて、あたしはここにいるわ。


「や、今。エリカの声が聞こえた。私に助けを求めている。」

「王子、先刻この道を怪しげな馬車を引いた集団が、物凄い勢いで走り去ったと報告が。」

「それだ!馬車にはエリカがいる。…しかし、なぜむざむざとさらわれたのか?」

「王子、考えてる暇は御座いません。もうすぐエルドラド王国の領地に入りますぞ。」

「おお、そうであった。国内に入られてしまっては厄介だ。」


間に合ってくれ。

エリカ、私が助けに行くまで無事でいてくれ。

王子は風の様に馬を走らせて行った。


「王子、あの馬車が怪しく思えます。」


先に到着していた将軍一団が、一台の馬車とおびただしい数の馬を指して言った。


「ふぅむ…、確かに馬の数が多すぎるな。よし、あの馬車を囲むように兵を配備せよ。」

「御意!」


エリカがあの馬車の中にいるのか?

どれだけ心細い思いをしている事であろう。

今、救い出してやるぞ。

そなたの全ては私のものだと、昨夜この胸の中で誓ったであろう。

じりじりと間合いを詰めていく王子の兵士達。

一気に馬車に乗り込んだのは、ディノ王子。

が、そこにエリカの姿はなかった。


「エリカがいないぞ。あ!こ、これはエリカのドレス。これにエリカが乗せられていた事は間違いない。しかし、これは一体どういう事なのだ?」

「我々の追跡に勘付いたのやも知れませぬな。何にしても姫様の御身が案じられます。」

「くっ…、ここまで来て…。何か手掛かりになる物はないのか?」

「今近隣の捜索にあたっております。」







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ