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学園の悪癖

今まで一番長く書きました…正直つかれた。

王立魔法学園

グラン帝国初代皇帝が人材発掘為に設立した学園であり例え普通科で卒業した者でもそれなりの生活が保証される。

今現在世界で活躍している騎士、冒険者、錬金術師の多くはこの学園の卒業生であり例え劣等生として卒業したとしてもそれなりの社会的立場にある仕事に就くことが出来る。

学園と名のブランドなのである。

だから産まれた子供に魔術の適性があれば此に入れようと躍起になる。

この物語の主人公であるカーマイン・クラウンも例に漏れず入学させられた口である。

しかし、彼の場合すこし事情が違い自分の意思で此に来たのである。

彼の生まれ育った村は帝都グランと商業都市フランの間にある山脈の中腹にある村でかつては帝都からフランに向かう為の宿場として栄えた村でありまた涌き出る温泉で旅人達の疲れを癒す場所として珍重されてきたのだ。

しかしつい最近帝国が開発した魔導技術の結晶飛行船が出来てしまった為に客足がとうのいてしまったのだ。

わざわざ危険な山道に行かずとも飛行船に乗れば安全にフランに行けるようになった為に客足がとうのいてしまったのだ。この一年…とうのいてしまった客を呼び戻す為に遠出から来た客にチラシを配り此に温泉がある事を客の地元住民伝えて欲しいと頼んでみたりしたりして村の住民総出で頑張ってきたのだがそれにも限界がある。行き詰まった村の状況を打開するためにある結論に達したのだ。飛行船の発着場を作る事だったのだ。 飛行船の発着場を村に作る事が出来れば帝国の民だけでなく他の国の民も客として呼び込める為村全体に収入が見込めるのだがそんな物を作る金などない。このままでは村が潰れてしまう。全てを諦めかけた時カーマインに錬金術の高い素養がある事が解り父、母、兄、村全体の後押しもありここ王立魔法学園に来たのだが…。

「はぁ…。どうしてこうなった…。村の皆にどう言えばいいんだよ…。」


時は少し遡る…


村から出て馬車に揺られる事数時間

やっと帝都に着いた。

「ここが帝都グランか…。数時間馬車に乗ってたからまだ穴がいてぇ。いてて…。それにしてもこの服…。親父の奴こんな服着せる必要なかったじゃないか。明らかに周りから浮いてるぞ。」

村の出発前親父から……

「おいっ!カーマ(主人公の愛称)そんな田舎臭い服で魔法学園に行くつもりかっ!」

今着ている服は

全く色のないT シャツに 旅人用の長ズボンに全く飾りのないバルックのついたベルトに肩から下げる事が出来る帯がついた手提げ鞄……確かに田舎っぽい格好である。間違っても魔法学園にいくような格好ではない。

「この服で十分だろ。あまりに派手な服は好きじゃないんだ。」

「いくらなんでもその格好は駄目だ。近所の魔法学校の学長にわたされた服があるからそっちに着替えろ。」

「わたされた服?」

「ああ、お前には言ってなかったな。服てっのはその学校から出た事を示す学校使用の服だ。ついでに背中部分に校章のついたマントもわされる。」

「…服ってそんなのあったんだ。」

「まぁな。他の国でどうやって人材発掘しているか知らないが帝国では20に分けた区域に魔法学校を建ててその地域の子供達を学校に呼び集め魔法学園に入学、または編入させる為に頑張ってるのは知ってるな。」

「ああ。」

「服はその学校の出身である事示すのと同時に編入させられるだけの人材を送りましたよ、と学園と帝国に対するアピールするための物だな。」

「はぁ?アピール!?」

「地方にある魔法学校ってのはそこに通う生徒の親の金で成り立っている。しかしそれだけで学校を維持するのは難しい。そこで帝国は送った生徒の数だけ援助を出す事にしたんだよ。一人送れば金貨100、二人送れば金貨120といった具合にな。一種のパラメーターになる訳だ。ここ数年この区域の学校から学園編入者がいなかったから学長も気合いが入る訳よ。」

「でも、それって生徒を送れば送るほど金がねずみ算式に増えてくんじゃ…」

「帝国も馬鹿じゃない。確かに生徒を送れば援助は出してくれるがもし送った生徒が退学になれば金は還さなければならない。だから学校側も下手な生徒を送れないんだ。それでもお前を送るって事は学長はそれだけ期待してるって事だ。それを裏切るなよ。」

…気合いれて頑張らないとな。

「で、その服はどこにあるんだ?」

「隣の部屋に置いてあるからそこで着替えろ。」

「はぁ…わかったよ。」

ドタドタドタドタドタ!

《……ぅぉおい、何してるんだカーマお前を見送る為に皆が村の出入口でまってるぞ。》

ガチャ(扉を開ける音)

「兄貴っ!」

「はぁ…はぁ…何してるんだよ。全く…。」

「いや…親父が学校使用の服があるからそっちを着ろと言われてな。今から着る所だ。」

「じゃあ早くした方がいい。」

「おう、向こうの部屋で着替えてくるわ。」




《げっ!なんだこりゃ!これを着ろってのかっ!?冗談じゃないこんな派手な服っ!やっぱりこっちの服でいいっ!》

《馬鹿言うなっ!今さら何してるんだっ!そういう規定なんだ仕方ないだろっ!諦めてさっさと着ろっ!》

ドタッ!バタッ!

《こらっ!暴れるなっ!》

《その学校の出身だとわかればいいんだろ!?だったら校章のついたマントだけでもいいじゃないかっ!》

《駄目だ。諦めて着ろ。》

「何してるんだ…あの二人は…。」



ガチャ!


「おう待たせたな。暴れるから着せるのに苦労したぞ。」

「……。」

「兄貴?」

兄貴は口をひくつかせ目尻が上がり涙を目にためている。笑いをこらえようと耐えているが遂に堪えきれずに爆笑した。

「な、なんだよっ!その格好は!?どこぞの魔導師かなにかか!?笑かすーーぅ!ぎゃはははははぁ!ひーぃ、ひーぃ、」

どこぞの魔導師かときかれればそう見えるかも知れない。下はヒラヒラした灰色の長ズボンに(袴のような物)

上は襟のない黒色の長袖…極め付きに襟がつき首もとでボタンで止める事が出来るマント…カーマを知らない者が見れば確かに魔導師と見られそうな格好である。

「そんなに笑うなよっ!俺だってこんな格好したくなかったよっ!学校使用の服って言うから仕方なく…。」

「す…すまん、すまん。あまりにおかしな格好だったからつい笑ってしまった。」

「くそっ!やっぱり脱ごう!」

「脱がなくていいっ!」

ゴンッ!

「いてぇ!頭を殴る事ないだろっ!親父っ!」

「せっかく着たのに脱ぐんじゃない。お前もあまり笑ってやるなクレフ。」

「す…すまん。」

「ふん…。」

「そんな事より皆が村の出入口で見送りに集まってるんだろ?さっさと出るぞ。」

「わかった。行こう。」



ざわ…ざわざわ…。

村の皆が俺を見送る為に集まってきてる。

それにしてもここまで集まるとはな…。魔法学校の生徒だけでなくその親まできているぞ。

軽く100人はいるんじゃないか?

「お前の学園編入が決まったからのう。皆見送りにきたんじゃよ。」

「学長…。」

バサラ・ラングレー

王立魔法学園卒業生第一期生。

今や召還術があるのが当たり前の世の中だがその昔天使、魔神、幻獣達を従える事に躍起になっていた魔導師達

の間でただ一人異議を唱え今の召還術を生み出した天才…のはずなのだがどう見ても好好爺にしか見えない。

だがその見た目に反して凶悪な戦闘力を有してる。以前見た目に騙された盗賊を返り討ちした所を見た事がある。

「儂の…いや儂らの魔法学校を救える生徒を送り出せる。皆お前に期待してるんじゃよ。カーマ。」

家を出た後に親父から聞かされた話だが…現在の村同様に俺の通っていた魔法学校も窮地に立たされている。帝国がより多くの人材を獲得するために援助制度を打ち出したためどの学校が多くの生徒を送り出しているかが明確にわかるようになってしまった。当然子供の将来に期待する親達は評判のいい学校を選ぶ。それによって本来得るはずだった生徒を他の魔法学校に奪われてしまい最低規定人数(帝国が定めた魔法学校のボーダーライン)を割れる事態に陥ってしまった。俺は失った生徒を取り戻す切り札として見られているのだ。

「学園でしっかりと学べ。卒業して戻ってくる事を期待しておるぞ。」

(学長…。)

「そうだぞ。お前は俺達の希望だ。期待してるぜ。」

(親父…。)

「ここから出る生徒はあなた一人だけど気落ちしないでね。」

「俺達がいる事を忘れんなよ。」

(皆…。)

「おぅいっ!馬車の業者が早く乗れと言ってるぞ。」

「すぐ行くよ親父、兄貴、学長、みんな、それではいってきます。」


『頑張れよーーーーぅ!期待しているからなーーーぁ!』


「…いったか…。大丈夫かな…」

「まあ、カーマなら問題ないじゃろう。問題があるとしたら学園のほうじゃろうな。学園には妙な噂があるでの。」

「噂っ?なんです?その噂というのは…。」





「それは本当ですか!?その噂はっ!」

「あくまで噂じゃよ。しかしそれが事実ならカーマは…。」

「そうならない事を祈るだけですよ。そうなったら不幸になるのはカーマじゃなくて学園のほうですから…。」

「うむ…。」





「 と…耽ってる場合じゃないな。学園に行かないと…学長の話じゃ学園は帝都の中央にあるそうだからな。宮殿みたいな建物で言われないと城と勘違いするような作りらしいからな。それにしても学長がいっていた学園の悪癖と言う話は本当だろうか…。」

中央に向かって道を歩いていくと次第に道幅が広くなり俺と似たような格好をした者が増えてきた。…なるほど先程帝都の住民に奇異な目でみられた理由がこれか。学長の話では学園の学園編入者は入学式と同時に行うらしい。学園は初等部3年間、中等部3年間、高等部3年間で構成されており学園編入者の他に幼い頃より英才教育を施した子供を初等部から入学させる方式も取り入れている。

それらの大半は貴族か商人である。初等部から学園に入っている貴族と学園編入者とでは力の差が歴然で最初から学園編入者を見下している。

当然学園の貴族とって邪魔な存在でしかなく学園で年に2回行われる大会で追い出されるのである。

(一度目は学園編入者の追い出しを兼ねた生け贄大会、たまに返り討ちにあう場合もある。2度目は本命。)

噂はまだある…入学式の後もう一度行われる適性検査で本来入るはずだったクラスを無理矢理変えられた事もあるそうだ。あくまで噂の域がでないが…


(もし、噂が本当なら全員捻り潰してやる…。)



「ここが王立魔法学園か。」

中央に巨大な塔が建てられており(研究所)それを囲むように建物が建てられている。よく見れば至る所に金細工が施しである。宮殿とはよくいったものだ。

学長の話では学園の校門潜った先に大きな入口があり入った先に二階に通じる大きな階段がありその階段のすぐ横に学園案内をしてくれるカウンターがあるそうだ。そうして中に入っていった。


「…おいおい外側だけでなく内側まで宮殿みたいな作りをしてやがる。この学園を作った奴、一体どういう神経しているんだ。ここまで来たら悪趣味だぞ。」

あれが学園案内を兼ねた受付嬢がいるカウンターか。…なにやら怒っているみたいだが大丈夫かな?

「最低っ!何なのよあの男はっ!貴族だから幸せにできる!?お呼びじゃないのよっ!あんたは私の好みの180度違う位置にいるのよっ!あのくそデブっ!」

あの女性…随分乱暴な言葉を使ってるな…あの女性の気分が落ち着くまで待っている時間ないが…周りを見渡すと待っている者達がいる…なるほど…近づけないでいるんだな…俺もこんな所で時間をとられる訳にはいかない。少し怖いが言葉を選んで話しかけてみよう。

「あの…。」

「なによっ!ってあ…あなたは?…」

女性が呆けた顔をしている…それもそのはずである。

カーマは端正な顔つきをした少年である。身体の方はローブのような服を着ているせいでわからないが恐ろしく均衡をとれた身体をしているのである。

「入学式にどういけばいいのかな。」

「あ、はいっ!編入者の方ですね。そこの階段をのぼって右側に大きな扉があります。その中の講堂で入学式をやる事になっているいます。ついでにこの紙を持っていって下さい。その紙は自分の履歴を証明する物になりますのでなくさないで下さい。」

「ありがとう…。ついでに後ろの奴らにも紙を渡してやってくれないか。あんたが怒っていたから近づけずにいたんだ。」

女性は自分の失態に気が付いて顔が真っ赤になった。湯気がでるほどである。余程恥ずかしかったんだな…。


「おぉーい、待ってくれ!」

ん、なんだ?

「お前、編入組だろ?」

「そうだが、そういうあんたも編入組ようだが…。」

「おう!そうだぜ。帝都の南にある海岸沿いに位置するベーゼの出身だ。名はアラン宜しくな。」

「…宜しく。」

なんか…なれなれしいな。警戒しとくか…。

「…俺になにかようか。」

「ようとはご挨拶だな。同じ編入組なのに、それに例の噂が事実なら仲良くする事もいいとおもったまでよ。」

こいつ…。

「噂?」

「なんだ?しらねえのか?学園の悪癖だよ。本来入るはずだったクラスを変えられたとか大会を利用して袋叩きにあい追い出されたとかそう言う噂だよ。」

こいつの魔法学校でもその噂が?だったら真実か?いや…一人だけだと解らん。

「噂か…。だったら後ろから来ている奴らにも聞いてみようぜ。」

「後ろ?ああ、あいつらか。わかった。じゃあここであいつらが来るのを待って…来たら例の噂を聞いてみよう。」



「…うん…そういう噂は私の通っていた魔法学校にもあったわ。」

「僕の所にも…。」

「俺の所もだな。」

…こいつらの所にも例の噂が…いよいよ信憑性が増してきたな…。

「…俺の所も噂はあったよ。」

「およ?俺の話信じてなかったのか?」

「あのなあ…お前は会ったばかりの者の話を信じられるのか?ましてや学園の中だぞ。」

「……すまん。」

「俺やアラン、他の者の学校にも例の噂があったと言う事はその噂は信憑性があるという事だ。」

「じゃあどうするんだ?」

「奴らに対してどうもしない。」

「え?やり返さないのか?」

「意味が無いからだ。ここの貴族と闘って返り討ちにしたとしてその後どうする?」

「どうする……って、え?」

「ただでさえ不利な立場のにそんな事したら、最悪…退学になるぞ。それに学園の悪癖が半ば放置されている所を見ると殆どの教師が貴族に抱き込まれてるだろう。平民の言葉なんて殆どとうらないはずだよ。」

「じゃあどうすりゃいいんだよ…。」

「今は何ともいえないな…。」

「なすがままにされろってのか!?」

「そうは言っていない。ようは公式の場であれば良いんだ。決闘や魔術大会なら遠慮なくやれる…それまで耐えればいい。」

その時には捻り潰してくれる……。











主人公の落胆の理由が次の話でわかります。

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