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君と過ごす学園生活  作者: チル兄
アイツとの再会、始まる変化
4/11

4月6日 決意?

夏樹は極度に無口ですが喋れないわけではありません。

卓郎は付き合いが長いので何を言いたいのか分かります。




 HRが終わり、一時間目の授業である

 日本史が行われていた。

 一時間目ということもあって居眠りする者は居らず、

 真面目に教科書と向かい合っていた。



 「くかー」



 ただ一人、彼を除いては。

 卓郎は基本的に授業を寝て過ごす。

 その理由は単純明快、勉強が大嫌いだからだ。

 当初はそれを咎める教師が居たが、

 今では彼を起こそうとしようとする教師は居ない。


 卓郎は一度眠ってしまうと特定の人物

 (家族・龍星・夏樹)以外には起こすことが出来ず、

 自分から目を醒ますまでひたすら眠り続けてしまう。

 過去に冥が無理矢理起こしたことがあったが、

 起こされた卓郎がブチギレて大暴れしてしまった。

 それ以来面倒を避けるために睡眠中の卓郎を

 放置することが暗黙の了解となり、

 誰も卓郎を起こすことが無くなったのだ。

 因みに殆どの授業で居眠りをしているため

 成績はブッちぎりの最下位であり、

 進級が危ぶまれている。



 「……(カキカキ)」



 そんな彼を夏樹は呆れた目で見つつ、

 ノートを取っていた--様に見せかけて

 ノートに日本史の担当教師の似顔絵(本人に瓜二つ)を

 書いていた。

 勉強が嫌いなのは卓郎だけではないようだ。

 卓郎とは違い起きてはいるものの、

 授業を真剣に受けていないために成績は

 地を這うが如く低い。

 あと、どうでもいいことではあるが、

 卓郎を呆れた目で見る資格は彼女には無い。





 「……(ユサユサ)」


 「……ん?……もう昼か?」


 「……(コクリ)」


 「おーそうか、起こしてくれてサンキューな」



 夏樹に身体を揺すられて目が醒める。

 机から身体を起こして大きく伸びをすると、

 身体からパキパキと音が鳴った。



 「うぃ~良く寝たぜぃ。やっぱ授業中は寝るに限るな」


 「……」


 「授業中は絵を描くに限る?馬鹿言うなよ。

 そんなことしたら疲れちまうだろうが」


 「いやいや!?授業は真面目に受けようよ!?」



 俺達の会話を聞いて、クラスメイトの雨宮つぐみが

 鋭いツッコミを入れてくる。

 相変わらずちっこいな……



 「……今何か失礼なこと考えなかった?」



 「気のせいだ。……それにしても

 ナイスツッコミだったぞ雨宮。

 流石はツッコミクイーンと呼ばれることはあるぜ」


 「……(ビッ!)」


 「私、ツッコミクイーンだなんて

 呼ばれたこと無いよ!?

 古咲さんも満足気に親指立てないでよ!」


 「知らないのか?雨宮はツッコミクイーンとして

 有名なんだぞ?……俺と夏樹の中では」


 「二人の中だけなの!?」


 「雨宮には俺達だけのツッコミクイーンで

 居て欲しいのさ……」


 「良いこと言ったみたいな顔してるけど、

 全然良いこと言ってないからね!?」



 俺のボケに雨宮は流れるようにツッコミを

 入れてくれる。いやぁ……スゲーありがたいわ~

 雨宮は芸人殺しならぬ芸人生かしだな。

 その後、気が済むまで雨宮の前でボケて、

 俺達は学食へ向かった。

 ツッコミ続けた雨宮が、随分疲れた顔をしてたが……

 まぁ、楽しかったから良いや。





 さて、俺達は学食まで来たのだが……



 「混んでるなぁ」


 「……」



 学食は飢えた生徒達で溢れていた。

 うわぁ……スゲェ人の波。近寄りたくねぇ……

 だが、あの波を越えないと俺達は食事に

 ありつくことは出来ないのだ。

 俺達は無言で見合わせ--



 「「じゃんけんポン(……)!」」



 波の中に突っ込んでいく勇者を決めるため、

 じゃんけんをした。

 その結果--



 俺→グー


 夏樹→パー



 「……(ニヤリ)」


 「ぬうあぁぁぁ!また負けちまったあぁぁぁ!」



 俺はじゃんけんは敗れ、床に崩れ落ちた。

 畜生……何でじゃんけんでコイツに勝てないんだ。

 もう何回負けたのかも覚えてないぞ……



 「なぁ、やっぱり--」


 「……(ギロッ!)」


 「……はぁ~分かったよ。行けば良いんだろ?

 行けばさぁ……それで?ご所望の品は何ですか?」


 「……」


 「あ~はいはいネギトロ丼特盛ね?

 それじゃ、いってきま~す」



 俺はそう言って人の波に飛び込んだ。

 さて……上手く行けるか?





 「美味いなぁ」


 「……(コクリ)」



 俺達は人の波を越えて手に入れてきた

 料理を堪能していた。

 いや~本当、死ぬかと思った。

 波に紛れて散々蹴られるわ殴られるわ……

 身体中、至るところが痛いぜこんちくしょう。

 まぁ、その分飯の味は格別だけどな。

 因みに俺はカツ丼を食っている。



 「……(スッ)」


 「代金?良いよ。今日は俺のおごりだ」


 「……?」


 「アレだ、進級祝い。なんとか二人共

 進級出来たからな。その祝いだ」



 俺の言葉を聞いた夏樹が苦笑いする。

 去年は本当ギリギリだったからな。

 俺達の成績はかなり低い。

 だから、去年は進級が危ぶまれていた。

 まぁ、二人共補習試験を受けてなんとか進級出来たが……

 あんな目に遭うのはもうごめんだ。



 「今年は真面目に授業受けないとな」


 「……(コクリ)」



 俺達は昼食を摂りながら授業を真面目に受ける

 決意を固めるのだった。



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