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銀色と銀色

咲夜「これは、東方projectの二次創作小説です」


妖夢「登場する人物、団体、その他名称はいっさい関係ありません」

 時は少しだけ遡る。それは、霊夢と魔理沙がまだ戦っている最中までだ。


 妖夢の剣劇を、咲夜は二本のナイフを使って、なんとか受けきっている。


 いくら一本、それも小太刀とはいえ、流石は妖夢ね。刀を使わせたら、この子の右に出る者なんて、なかなかいないんじゃないかしら。


 妖夢は刀を振るいながら、少し焦っていた。


 クソッ。うまい具合に受け流されてる。咲夜さん相手に、小太刀一本じゃ力不足だ。これでは、接近戦では勝てない。かといって、遠距離戦闘は咲夜さんの十八番だ。離れる訳にはいかない。どうする。


 刀を振るい、咲夜に離れる隙を与えない。咲夜も、刀を受けきっている。だが、これでは鼬ごっこだ。状況を変えるには、どちらかがアクションを起こさなければならない。だがそれをした瞬間、この均衡が崩れ、確実に起こした方が後の手を取ることになる。それでは自分が不利だ。


 だからこそ、今二人は動けない。動くわけにはいかない。そうゆう状況なのだ。


 だが恐らく、この均衡はいずれ崩れる。なぜなら、妖夢は後、二十分近く刀を振るい続けられるが、咲夜には無理な話だ。純粋な人間である咲夜には、時を止められないこの状況では、休むことはおろか、後五分もすれば限界がくる。それだけ咲夜にとっては、妖夢の剣筋に集中力を使っているのだ。


 だから実は、妖夢が焦る必要はまったくないのだ。それなのに焦る。それは恐らく。


 なんでこんなにも……冷静でいられるんだ。


 そう、咲夜の態度だ。


 この物言わせぬ立ち振舞い。まるで疲労を感じさせぬ表情。その咲夜の全てが、妖夢に焦りを与えている。


 何を考えているんだ? まさか、秘策でもあるのか?


 疑心暗鬼になり、一瞬。ほんの一瞬だが迷ったそれを、咲夜は逃さなかった。


 二本のナイフで、渾身の力を使って妖夢の刀を弾いた。


 上に弾かれたため、腕が上に持ってかれる。


 しまっ!


 身体が無防備になった妖夢は戦慄した、が、咲夜はとくに何かする訳もなく、妖夢と距離を開けただけだった。


 実際、あの状態で咲夜はナイフを振ることはできなかった。渾身の力を使った後だ、腕は弾いた衝撃で、少しの間筋肉が硬直している。もし振るったとしても、速度も威力も半減。故に、妖夢の超反射に防がれたはずだ。


 だからこそ距離を開けた。これが、この時できた最善の策だからだ。


 まったく、やっぱりこの子の相手は疲れる。あのまま近接戦闘を続けてたら、恐らく負けてたわね。


 冷静は振りをしているが、やはり咲夜も焦っていた。当たり前といえば当たり前。冷静に、冷徹に状況を判断できる咲夜は、自分に対しても冷徹になれる。故に、しっかりと自分を観察できる。たとえ自分が負けることが予測出来ても、それをあっさり受け入れられる。咲夜はそうゆう人間だ。


 しかし、ただやられる訳ではない。一様、一通りの策は使う。それが通用しなかった時点で、負けを認めるのだ。


 取り敢えずは、この距離を保ったまま戦いましょう。接近させないように、時間とナイフを有効利用してね。


 とは思いつつ、咲夜は少し不安であった。時間止めのことについてだ。


 咲夜の時間止めは、懐中時計を発動の鍵としている。空間操作はなくても大丈夫だが、時間止めはわからない。もしかしたら失敗する可能性がある。なのに、今懐中時計を所持していない。紫に送られる前に、レミリアに預けてしまったのだ。時間止めの能力が強すぎるという判断のため、紫から、懐中時計を使わぬように言い渡されていたからだ。


 懐中時計がなくても、多分最大で三秒間は時間を止められる。けれど、発動までに時間がかかる。だから恐らく、止められる時間は一秒位だろう。


 だが、それだけあれば充分だ。あれでいこう。


 咲夜は行動を移した。手に持っていたナイフを妖夢に向かって投げ、更に二本出現させ投げる。


 妖夢はそれを小太刀で受ける。次の瞬間、妖夢の視界に飛び込んで来たのは、ライフル弾だった。狙いは肩。


「くっ!」


 なんとか半身の姿勢になって躱す。だが完全に躱したはずなのに、痛みが身体に走った。肩ではなく、背中だ。


 見ると、そこには咲夜がいた。


「なっ!」


 背中の痛みが強くなる。咲夜は押し上げるようにナイフ刺し、妖夢の上体が浮く。体力が一減った。


「はあぁ!」


 そこから更に突き上げた。妖夢の身体が宙に浮く。


 咲夜は右手を引くと同時に、左手を右腰に溜める。そこからナイフを、妖夢の頭目掛けて投げる。


 しかし、妖夢は身体を半回転させて、それと同時に刀を振るい、ナイフを弾く。が。


「ぐっ!」


 右脇腹にナイフが刺さる。あの一瞬に、咲夜は時間を止めてナイフを投げていたのだ。また体力が一減った。


 空中でバランスが取れなくなり、受け身も取れずに地面に俯せに落ちる。


 落ちると直ぐ、頭に何かを押し付けられた。


「The End」


 咲夜は、妖夢の頭に銃を押し付けながら言った。


「終りね……」


「くっ……」


 妖夢は俯せのまま、握った刀を振り上げようとした。が、刀は地面にへばりついているかのように、ピクリとも動かなかった。


 見ると、咲夜がご丁寧に刀を踏みつけいた。


「無駄よ、もうあなたに勝ち目はない」


「……どうやら、そうみたいですね」


 妖夢のその様子に、咲夜は少し違和感を感じた。厳密にどこが変かと聞かれても、恐らく答えることはできないが。だが変と感じた。


「随分諦めがいいのね」


 咲夜は少し挑発するように言った。だが、妖夢はそれに乗って来なかった。


「負けを認めるのも、勇気だと思いませんか?」


 駄々をこねて醜態をさらすよりは、潔く負けを認める。確かにそれは美徳だけれど、あなたには似合わないわよ。


 理解した。なんで変だと思ったのか。


「……詰まらなくなったわね、あなた」


「えっ?」


「昔のあなたは、主のためにがむしゃらに頑張って、子供みたいに負けず嫌いで、誰よりも強い意思を持っていた。けれど今のあなたは、恐ろしい程につまらないわ」


「……」


「あなたが何を考えてそうなったかは知らないけど、そんなあなたに、私が負ける訳もなかったわね」


 少し、過度な考えをし過ぎたかな。もしかしたら、勝てないかもと思っていたのだけど。まったくそんなことはなかったわね。


「それじゃあ、さようなら」


 咲夜がトリガーを引き抜こうとした瞬間、銃身をそらされた。撃った場所は、妖夢の頭ではなく地面だった。


 突然のことで驚いたが、直ぐに足元に目を向ける。だが、そこに妖夢はいなかった。


 前方で銃声が鳴り響いた。咲夜はそれよりも早くに反応して、上体を横に反らす。


 そこから時間を止めて、妖夢から距離を空ける。


「……」


「咲夜さんの挑発かどうかは知りませんが、久々に頭にきました」


 妖夢の闘志が燃え上がった。その手には銃。


 刀は……手離したのか。


 咲夜が先程いた場所には、小太刀が落ちていた。


 再度妖夢を見る。


 冷徹な目をしていた。何者にも揺るがされない、強い意思を感じた。


「バカにされたら、流石に怒るのね」


「そうゆう訳ではありませんけど……いえ、そうゆう訳ですね。普通に頭にきました」


 言葉の一つ一つが、気迫を持っていた。妖夢の覇気に、少したじろぐ咲夜。


「あなたを……倒します」


「そう簡単にいくかしら。私も譲れないものがあるから」


 遠くで轟音が響いた。凄い爆発音だ。


「……行きます」


 妖夢はその轟音を無視して、咲夜に接近する。


 長期戦は部が悪い。一気に決める!


「……」


 一瞬で終わらせよう。本当に一瞬で。


「……時よ」



 ◇◇◇



 次に妖夢が目が覚めたのは、布団の中だった。


「……」


「おはよう、妖夢」


「……幽々子様」


 私は……負けたのか。


 覚えているのは一つ。気付いたら目の前に銃弾があった、その光景だけ。私は、何もせずに負けた。


「すいません、幽々子様。私は」


 言葉が詰まった、言い訳しているようで嫌だった。


「凄かったわよ、妖夢。カッコよかった」


「ですが……私は」


「まだまだ力不足だったけど、あなたの意志は、私に感じれた」


「……」


 情けないな。また、幽々子様に慰められた。本当に情けない。


「妖夢、起きれる」


「……はい、大丈夫です」


 幽々子に手を引かれ、居間に行く。


 私の知る限りでは、負けたのは私、ウドンゲさん、早苗さんの三人。


「よお妖夢。目が覚めたか」


 居間に入ると、魔理沙が出迎えてくれた。


「魔理沙…………霊夢に?」


「まぁな」


 とゆうことは、決勝は。


 妖夢はスキマに映された映像を見る。


 そこでは、霊夢と咲夜が、今にも戦い出す瞬間が映されていた。

咲夜「次回ついにラストバトル」


妖夢「お楽しみ〜」

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