巫女と魔法使い
霊夢「これは、東方projectの二次創作小説です」
魔理沙「登場する人物、団体、その他名称はいっさい関係ありません」
一方そのころ、霊夢と魔理沙は。
「ちょ! ちょっと! 待って!」
「悪いな霊夢、さっさとやられてくれ!」
魔理沙は、隠し持っていたマシンガンを乱発している。霊夢はそれをなんとか避けている。
「調子にのって、てゆうかどこに隠してたのよあれ! 霊道ノ五十六・樹海生」
霊夢が言い終えると、回りの木が、急に意思を持ったように動き始めた。それが盾のように霊夢を守る。
弾丸は木に阻まれ、霊夢には当たらない。
「やってくれるぜ。でも……」
魔理沙はマシンガンを打つのを止めて、右腰にぶら下げているショットガンを持って、トリガーを引く。
霊力―――もとい、魔力を限界まで注ぎ込んだ霊弾は、樹木の盾に風穴を開けた。
「もう一発!」
リロードを済ませて、開けた穴から霊夢を狙おうとしたが。
「いない? やべっ!」
左の方から銃声と共に、銃弾が魔理沙の頭を狙う。が、なんとか避けようとして、上体を横に反らそうとするが、頬をかすった。体力が7も持ってかれる。
「つぅ〜〜」
少し涙めになる魔理沙。かなり痛かったようだ。
つうか、かすっただけで7も削れるなんて、本当にあの銃なんなんだよ。
魔理沙は、いまだに銃を構えたままの霊夢を見た。その手には、コルグレイスが握られていた。
「やっとまともに撃てた。なるほど、こうやって霊力を注ぐのね」
ゆうに十発近く撃っている霊夢。それなのに、ちゃんと撃てたのは、これが初めてだ。
「コツは掴んだわ、もう反動で倒れたりしないわよ」
コルグレイスから薬莢を取り出して、新しい弾を装填する。
やれやれ……やっぱり霊夢の相手は骨が折れるぜ。でも。
「こっちの仕込みも終わったところだ。一気にクライマックスといこうぜ!」
そう言って、魔理沙は手を横に切るように振った。すると。
「連鎖式術式・50〜58!」
一つ目、50式魔道・ミストラルエッジ。四方から迫る風の刃を、霊夢はバックステップで避ける。
二つ目、56式魔道・バーストボール。強力な炎弾が、上空から霊夢に降って来た。それをサイドステップど躱す。
三つ目、52式魔道・スプラッシュポール。何もない地面から、強い勢いの水柱が立つ。霊夢はそれに飲み込まれたが、周囲結界「霊道ノ二十三・空断」を張って、難を逃れた。
だが魔理沙にとって、霊夢に結界を使わせることに意味があるのだ。
四つ目、57式魔道・ガストハリケーン。砂塵の竜巻が霊夢を包む、だが結界がそれを阻み守る。
五つ目、55式魔道・トライグレイブ。三つの地頭が飛び出し、ついに霊夢の結果を壊す。壊された瞬間、霊夢は跳んで、攻撃を躱す。
「跳んだな……」
「!!」
六つ目、51式魔道・ダークネスホロウ。黒炎が、真っ直ぐに霊夢を狙う。
「くっ! 霊道ノ三十三・断崖結界」
霊夢が言い終えると、透明な四角い箱が、霊夢を中に捕らえる。ダークネスホロウがそれに当たるも、霊夢には当たらない。
七つ目、53式魔道・アイシクルロック。巨大な氷塊が、結界に当たる。だが、破壊は出来なかった。
八つ目、58式魔道・ライトレース。光撃が、当たると同時に弾けた。それにより、結界が壊れる。
結界が壊れた衝撃で、仰け反った霊夢
「しまっ!!」
「終わりだ!!」
魔理沙はウッドチェッカーを構えて、トリガーを引く。
轟く銃声。銃弾は真っ直ぐに霊夢の頭に向かった。
当たる!
魔理沙はそう思った。実際この状況を見れば、誰もが当たると思うだろう。だがそうではなかった。
「えっ?」
銃弾は霊夢の頬をかすっただけだった。
何で? 確実に当たる位置だった、私があの場面で外すなんてことはあり得ない。何が起こったんだ?
「霊道ノ七十・霊威回避」
「霊威回避?」
なんだそれ? 初めて聞く霊道だ。
「私から発せられる霊力を、霊域みたいに使って回りに循環させる。すると、私を避けるように物は飛んでいく」
「……つまり、私が撃った弾は、自動的に霊夢に当たらなくなるって事か」
「簡単に言うとそうよ」
おいおい、流石にこれはヤバイんじゃないか? あの霊道が発動している間は、私が撃った弾は略間違いなく当たらない。となると、遠距離攻撃はダメだな。
「また術式の組み直しだな」
「させないわよ」
霊夢はコルトソウルを抜いて、魔理沙に乱射する。魔理沙は、木の影に隠れる。
「逃がさないわよ、魔理沙」
霊夢は弾を装填し直して、リロードをすませる。
「逃げれないな、流石に」
影から霊夢の様子を伺う魔理沙、額からは冷や汗が流れている。
どうすっかな……また連鎖術式を組むには時間が足りない。かといって、単発じゃ勝ち目がない。どうする。考えろ……考えろ……。
……駄目だ、なんも思い浮かばない。作戦をたてるのは得意な方だが、ここまで思い浮かばないのもひさしぶりだな。
たしか、前はそういう時は、力ずくでやったな。懐かしいな、パチュリーに負けそうになって、マスパでごり押ししたんだっけか。
「……」
なんだよ……答えなんて、とっくに出てるじゃないか。
腹を括った魔理沙は、ウッドチェッカーを握り直した。左手で術式を組む。
勝負は一瞬。霊夢との距離が、略0になった瞬間だ。
魔理沙に緊張が走る。一度大きく深呼吸をして、心を落ち着かせる。
こんな作戦で、霊夢に勝てるとは思っていない。でも、隙が生まれれば。
勝機はある!
足音が近くなる。
もうちょい、もうちょい近くに。
足音がさらに近くなる。
今だ!
魔理沙は木の影から体を出し、唱えた。
「96式魔道・アクアエリス!」
強力は水烈砲が霊夢を襲う。水烈砲は、霊夢だけではなく、周りの木々も巻き込んで、数10mの距離を更地にした。
「……やったのか? 霊夢はどこだ?」
「霊道ノ九十二・一人かくれんぼ」
魔理沙は戦慄した。後ろで霊夢の声がしたと思ったら、銃を頭に押し付けられていた。
「九十番台の霊道は、初めて見るな」
魔理沙は前を向いたまんま、霊夢に言った。
「私も、魔道の90番台は見るのは初めてよ」
霊夢は魔理沙に銃を突き付けたまま、魔理沙に言った。
「どうゆう霊道なんだ?」
私のアクアエリスを避けるくらいだ、強力なものなのはわかる。けれど、仕組みがわからない。
「一人かくれんぼは、もう一人の自分、分身を造る霊道よ」
分身を造る霊道。魔道にはないやつだな。
つまり私は、分身の霊夢に、まんまと騙されたって訳か。
「やられたな……今回は私の敗けだ」
魔理沙は、いっそ清々しい表情をして、敗けを認めた。
「あんたの代わりに、優勝してくるわ」
霊夢も優しい表情になり、引き金を引いた。
◇◇◇
「あんな霊道も使えたんだな、霊夢は」
レミリアは少し不機嫌そうな表情で言った。
「九十番台の霊道は、見たことがないからね」
紫は冷静に、スキマに映された霊夢を見る。そこには、魔理沙が倒れた姿があった。
「霊夢さんは、九十番台以降の霊道を嫌っていますからね」
レミリアの隣に座る早苗がを言った。
「なぜですか?」
映姫は疑問を投げ掛けた。確かに、その点についてはよくわからない。なぜ霊夢は、九十番台以降を嫌っているのか? 興味があるのは映姫だけではない、その場にいる全員が疑問に思っていた。
「九十番台以降の霊道は、とても人に使う霊道じゃありません。相手を精神的に壊す力が多いんです。ですから、霊夢さんは極力使わないようにしているんです」
「なるほど、人徳に反するということですね」
映姫は頷き、納得したようだった。
「確かに、霊夢はそうゆうのは、一番嫌うからね」
紫も同様に頷いた。
「私はそれよりも、あの霊道の方が気になります」
「あら、起きたの」
隣に部屋から出てきたのは、咲夜に負けたウドンゲだった。紫は、負けたウドンゲを直ぐに回収して、部屋に寝かせていた。頭を撃ち抜かれたショックで、先程まで気を失っていたのだ。
「霊威回避、あれはなんですか? あんなものがあれば、弾幕も容易に躱せるでしょう」
立ちながら腕を組、少し苛立ちをみせるうどんげ。
霊威回避は、霊夢の回りを霊力が循環するというもの。確かに、それなら弾も簡単に躱せる。
だが、そんなウドンゲの苛立ちも、早苗の一言で治まった。
「それは無理です。霊威回避は、一定の方向にしか霊力を循環させられません。四方八方から飛んでくる弾幕相手には、まったく意味をなしません」
「……そうなんだ」
「お菓子なくなっちゃった」
幽々子は、お菓子の入った袋を引っくり返して言った。空気の読めなささに、皆若干引いている。
「台所に茶菓子があると思うわよ」
紫が台所の方を指差す。
「私が取ってきます」
立っていて、直ぐに動けるウドンゲが取りに行った。
「お茶もお願い!」
「……はい」
ここでも世話役の性質がでてきたみたいです。
「妖夢たちの方も、終わったみたいね」
「あら、本当ね」
スキマから映される映像を見ていたレミリアが言った。それに釣られ、紫もその映像を見る。早苗も一緒に見て、言った。
「これは……決勝は凄いことになりそうですね」
霊夢「次回は」
魔理沙「白銀戦争!」