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二人と一人

妖夢「これは、東方projectの二次創作小説です」


ウドンゲ「登場する人物、団体、その他名称はいっさい関係ありません」


咲夜「ですよ」

「咲夜さん発見。行くよ、妖夢」


「……はい」


 アイコンタクトを交わし、咲夜の逃げた方向に走る妖夢とウドンゲ。


「手筈通りお願いね」


 ウドンゲは妖夢にウインクをする。それに対して、妖夢は頷く。


「はい、わかってます」






 なんとか逃げ切れたわね。まったく、霊夢の相手は骨が折れるわ。取り敢えず近くに魔理沙がいたから、擦り付けてきたけど、ゆっくりはしてられないわね。


 咲夜は走るのをやめ、歩き始める。


 早苗や妖夢の動向も気になるし、魔理沙と間接的に組んで霊夢を倒すのも手だけど、一番気掛かりなのはうどんげね。彼女はある意味侮れない、笑顔でしたたかに物事に対応していく。なんだかんだで凄いのよね、彼女。


「取り敢えずは、ウドンゲをターゲットにするか」


 まずは場所取りからかしら。戦いが有利に進む所を選ばなきゃね。


 そんなことを考えていると、ある気配に気付いた。


「これは……」


 妖夢の気配? 真っ直ぐこっちに来てる。逃げてる途中に気付かれたか。


「まあ……迎撃すればいいだけの話だけどね」


 足を止め、膝立ちになって座る。気配のする方向に、出現したライフルを向ける。


「一撃でしとめる」


 場に緊張感が走り、空気が重くなる。その感覚に身を委ねながら、咲夜は妖夢の接近を待った。






 咲夜さんは、そろそろ私に気付いただろうか? とゆうか、気付いて貰わないと困る。でないと、作戦が台無しだ。


 咲夜のいる方向に走りながら、妖夢は色々と考えていた。というより、不安であった。


 この作戦は、妖夢に注意が向いているうちに、うどんげが背後から咲夜を撃つという作戦だ。この場合、もっとも重要なポジションは、背後から撃つウドンゲではなく、注意を向けられる妖夢の方だ。


 咲夜の銃はスナイパーライフル、その射程範囲は1kmにも及ぶ。恐らく、今現在の妖夢と咲夜の距離は500m弱。咲夜にとって、事実上の必中距離に相当する。だが咲夜は、まだ撃たずに期を見ている。運も偶然にも左右されずに、確実に妖夢を仕留めるためだ。500m弱じゃ、若干遠い。


 だがそんなことを、妖夢は知るよしもない。しかし、知ったからといってどうこうなる訳ではない。逆に知らなくていいこともある。今回はそれだ。


 知らなかったからこそ、妖夢は常に警戒を怠らなかった。妖夢の目があれば、真っ直ぐ自分に飛んでくるライフル銃の弾を避けるのは、とても容易なことだ。けど、もし咲夜の必中距離を把握していたら、そこに入るまでは油断していたかもしれない。そしてその間に撃たれたかもしれない。そうなってしまえば、作戦は確実に失敗していただろう。


 だが、それ以外にも、失敗する可能性がある。それは、咲夜が狂気を解除している場合だ。背後から接近するウドンゲの気配に気付き、ウドンゲを始末してしまえば、作戦は失敗、恐らく妖夢もやられているだろう。


 いくら咲夜さんが凄いとはいえ、直接神経に作用する力は気付きようがないはず。でも……なんだろう、この不安感は。


 言い知れぬ不安を感じながらも、作戦通りに咲夜に向けて走る妖夢。まだ姿は確認出来ない。


 次の瞬間、遠くで銃声が鳴った。


 銃弾はこっちには来ていない、じゃあ一体どこに。


「!?」


 ウドンゲさん!!


 最悪の想像をした妖夢は、咲夜の元に急いだ。






 咲夜さんは、どうやら妖夢の方に銃を向けてるみたいね。


 気配を消して、咲夜の背後の木の影から見るうどんげ。作戦通りなら、気付かれず撃ってそれで終わり。だけど。


「そう上手くいけばいいけど」


 息を殺して、静に呟くウドンゲ。


 妖夢に集中している今がチャンスなんだけど、なんだか出るの恐いな〜。でもやんないといけないし。


 心の中で葛藤するうどんげ。だが、尻込みしている暇はない。ウドンゲがやらなければ、妖夢が危険にさらされるのだ。


「よし」


 決心をして、ブラッドホォルスを抜く。木の影から体を出して、その銃口を、咲夜の頭に向ける。


 速くなる鼓動を、深呼吸して調える。トリガーに力を加えて、撃つ一歩手前で、咲夜が動いた。


 妖夢の方向に向けていた銃口を、体を半回転させてウドンゲに向ける。互いの視線が交差した瞬間、同時にトリガーを引いた。


 轟く銃声。


 咲夜は反動リコイルショックにより背中を地面につける。ウドンゲは後ろに吹っ飛んだ。HPが一気に0になる。


「危なかったわ」


 息を吐いて、冷や汗を流す。ウドンゲが倒れたのを確認して、もう一度息を吐く。


 そして再度、妖夢の方向に銃を向ける。ボルトハンドを引いて薬莢を出す。スコープからは、妖夢の焦った顔が見えた。


「……」


 冷徹な目でそれを見据えて、トリガーを引く。






 ウドンゲさん……無事でいてください。


 急いでウドンゲの元に向かう妖夢。焦っているため、躊躇いもなにもない。


 速く! 速く!!


 妖夢の額から、汗が流れる。


 すると、遠くで光点が見えた。進める足を止めずに、小太刀を抜刀する。そして、自分の顔の前に刀を滑り込ませる。


 前方から真っ直ぐ妖夢顔を狙った銃弾は、刀に阻まれ、真っ二つに切れる。






「ちっ……」


 ボルトハンドを引いて、薬莢を出し、戻して次弾を装填する。


 直ぐさま照準を合わせて、トリガーを引く。轟音とともに打ち出された銃弾は、妖夢の心臓を狙う。


 そして、咲夜は素早くライフルをしまい、経過も見ずに移動した。


 遠くで金属音が響く。


 真正面から妖夢と戦うのは間違いね。ライフル弾をも見切る彼女に、普通の策は通用しないか……。


 別のポジションに移動しながら、妖夢の動向を気にする咲夜。恐らく妖夢がいる方向を見る。


 だが予想を大きく裏切り、妖夢は咲夜の行く方向から表れた。


 出会い頭に、妖夢は間髪入れずに刀を振るう。咲夜はナイフを二本取り出して、交差させて刀を受ける。そこから、思いっきり上に押し上げる。


 咲夜は後ろにバックステップして、妖夢との間を取る。妖夢は弾かれた反動を利用し、空中で後ろに一回転して地面に降りる。


「ウドンゲさんは、どうしました?」


 妖夢の冷静な目で言った。それに対して、冷徹な目で咲夜は答える。


「倒したわ」


 その答えを半ば想像していたようで、妖夢はあまり驚きはしなかった。


「そうですか……」


「あまり怒らないのね」


「戦いは無情なものです。他人を気にかけていたら、自分の身を滅ぼす。それに、なんとなく考えていましたから」


「いい顔になったわね、あの時とは大違い」


 あの時……春雪異変。


「あの頃のあなたは、感情に身を任せていたけど。今のあなたは、考える余裕ができている」


「咲夜さんは、相変わらずですね」


 変わってない……あの時からずっと。


 あなたはいつも、見透かしたように人を見る。全てをわかっているような顔をする。それなのにあなたは、わかっていてその心を、平気でへし折る。


 もし私が、今怒りにかられてあなたと対峙しても、あなたは冷徹なその目のまま、私を倒すのだろう。


 変わっていない……本当に……。


「……」


 妖夢は刀を構える。それに合わせて、咲夜もナイフを構える。


 けれど、私はそんなあなたに憧れた。あなたの強さに憧れた。あなたに近付きたくて、必死で修行もした。それでも、私はあなたみたいにはなれない。そこまで冷徹にはなれない。そこが私の弱味でもあるんだろうけど、私は、これを強味に変えていきたい。だから……。


「咲夜さん、私はあなた超えて、変わります」


 妖夢は小さく呟いた。


「魂魄妖夢、押して参る!」


「形式上、私も名乗っておこうかしら」


 咲夜は、少し笑うと。


「十六夜咲夜、来なさい」

 妖夢の目を真っ直ぐ見据えて、自分の名を名乗った。


 互いに相手の目を二秒ほど見続けてから、同時に相手に突進した。

妖夢「次回」


ウドンゲ「予告」


咲夜「主人公対主人公」

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