銀杏幽霊
「お、おい、お前、姿が見えないぞ!」
「え?あなたこそ、声しか聞こえないわ」
亮介と美優は、近所の公園に銀杏を拾いに来ていた。だが、拾った銀杏をテーブルに置いた途端、姿が消えてしまった。
「な、なんで?」
「分からないわ」
互いの声がする方を見ながら会話をしたが、その姿は目に入っていない。
「オレ、いい事考えた」
亮介は、美優を連れて高級腕時計店へ向かった。
店員の前を通り過ぎても、誰も見向きもしない。
亮介は、ニヤリと不適な笑みを浮かべた。
「美優、前から欲しかった腕時計、もらって行こうぜ」
「フフフ、いいわね」
こうして二人は、高級腕時計を腕に付け、店を出ようとしたその時、目出し帽にサングラスの男がその腕時計を掴んで走り出した。
「イテテテテテ」
「キャー」
亮介と美優は倒れ込み、男に引きずられて行く。
「助けてくれ〜」
「助けて〜」
二人は大声で叫んだが、その姿は見えず、誰も助けには来なかった。
男は、亮介と美優が銀杏拾いをしていた公園まで走って来た。
すると、急に突風が吹き、銀杏がどさっと落ちてきた。
そして、亮介と美優は解放された。
見ると、目出し帽の男が倒れている。サングラスのレンズが割れ、目の周りが血だらけになっていた。
「窃盗の現行犯で逮捕する」
高級腕時計を付けた、亮介と美優は、駆けつけた警察官に逮捕された。
目出し帽の男は、救急車で運ばれた。




