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【ショートショート】

銀杏幽霊

掲載日:2025/11/27

「お、おい、お前、姿が見えないぞ!」

「え?あなたこそ、声しか聞こえないわ」

 亮介と美優は、近所の公園に銀杏を拾いに来ていた。だが、拾った銀杏をテーブルに置いた途端、姿が消えてしまった。

「な、なんで?」

「分からないわ」

 互いの声がする方を見ながら会話をしたが、その姿は目に入っていない。

「オレ、いい事考えた」

 亮介は、美優を連れて高級腕時計店へ向かった。

 店員の前を通り過ぎても、誰も見向きもしない。

 亮介は、ニヤリと不適な笑みを浮かべた。

「美優、前から欲しかった腕時計、もらって行こうぜ」

「フフフ、いいわね」

 こうして二人は、高級腕時計を腕に付け、店を出ようとしたその時、目出し帽にサングラスの男がその腕時計を掴んで走り出した。

「イテテテテテ」

「キャー」

 亮介と美優は倒れ込み、男に引きずられて行く。

「助けてくれ〜」

「助けて〜」

 二人は大声で叫んだが、その姿は見えず、誰も助けには来なかった。

 男は、亮介と美優が銀杏拾いをしていた公園まで走って来た。

 すると、急に突風が吹き、銀杏がどさっと落ちてきた。

 そして、亮介と美優は解放された。

 見ると、目出し帽の男が倒れている。サングラスのレンズが割れ、目の周りが血だらけになっていた。

「窃盗の現行犯で逮捕する」

 高級腕時計を付けた、亮介と美優は、駆けつけた警察官に逮捕された。

 目出し帽の男は、救急車で運ばれた。

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