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第九話 嫉妬の策謀と心がわり
飛燕の周りから、黎明の策謀によって女性や友人が完全に排除された。飛燕は、黎明以外との交流を禁じられ、彼の寝宮に閉じ込められた状態となった。
飛燕は、最初は孤独と怒りを感じた。しかし、黎明の溺愛は、彼の心の虚無感を、温かく満たし続けた。
「飛燕。貴方のために、私が直々に調合させた薬湯だ。貴方の傷を癒し、貴方の肌を、もっと滑らかにするだろう」
黎明は、飛燕の入浴を手伝い、彼の身体を隅々まで愛撫した。
「貴方は、私の唯一の光だ。貴方がいなければ、私はこの玉座で発狂してしまうだろう」
黎明の言葉は、飛燕の献身的な心を揺さぶった。彼は、この皇子の孤独と、自分に対する絶対的な愛情が、戦場での孤独よりも遥かに心地よいことに気づき始めていた。
(私は……私は、本当に女性が好きなのか? それとも、ただ、この皇子の愛の重さに、絆されてしまっただけなのか)
飛燕の心はもはや崩壊寸前だった。黎明の甘く強い束縛は、飛燕の心を完全に絡め取っていた。




