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異端の白球使い  作者: R.D
全国大会
505/674

疲労困憊

 私の頬を一筋、熱い何かが、伝っていく。


 それは、私がずっと、忘れていた「嬉しい」という名前の、感情だった。


 私の新しい物語は、今この光の中で、確かに始まろうとしていた。


 表彰式が終わり、私たちは、興奮冷めやらぬ体育館を、後にした。


 アドレナリンが切れた途端、私の体と、そして、隣を歩く部長の体に、凄まじい疲労感が、襲いかかってきた。


「…やべえ。足が、動かねえ…」


「…同感です。私の身体パラメータも、完全に、レッドゾーンを振り切っています…」


 結局、私と部長は、ボロボロの状態で、あおと、未来さん、そして、あかねさんと先生に、両側から支えられるようにして、なんとかホテルに戻り、それぞれの部屋のベッドへと、倒れ込むようにして、深い深い眠りに、ついた。


 一夜明けても、その疲れは、全く取れていなかった。


 体中の筋肉が、悲鳴を上げている。


 顧問の先生が心配して、私たちの様子を見に来てくれたが、そのあまりの消耗ぶりに、苦笑いを浮かべていた。


「はっはっは。まあそうなるだろうな。あれだけの、死闘を演じたんだ。無理もねえよ」


 先生は、そう言って、私たちに告げた。


「結局、東京観光は無理そうだな。 今日はゆっくり、新幹線で帰るとするか」


 あかねさんとあおは、少しだけ残念そうな顔をしたが、すぐに笑顔で頷いてくれた。


 そうだ。


 観光なんて、またいつでもできる。


 今はただ、この勝利の余韻と、心地よい疲労感に、浸っていたい。


 私たちはそうして、東京を後にし、それぞれの帰路へと、ついた。


 そして、季節は、巡り。


 短い、冬休みが、終わりを、告げ、三学期の、始業式の日。


 三学期が始まる。

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