表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異端の白球使い  作者: R.D
全国大会
477/674

灯された炎(2)

「――タイムアウトをお願いします」


 俺は、ニヤリと笑った。


 面白い。


 どこまでも、やってやるぜ。


 この試合の主導権は今、完全に、俺の手にあったのだから。


 ベンチに戻ると、あかねが、目に涙をいっぱい溜めて、駆け寄ってきた。


「部長先輩!すごい、すごいよ!大逆転だよ!」


 彼女はそう言って、新しいタオルとドリンクを、俺に手渡す。


 その手は興奮で、微かに震えていた。


「任せとけ」


 俺はそう言って、彼女の頭を、わしわしと撫でた。


「ここから、一気にまくってやる」


「…でも、部長先輩」


 あかねが少しだけ、不安そうな顔で、言った。


「あの選手、なんだかしおりちゃんに、似てません? プレーの、感じとか雰囲気が…」


 その言葉に、俺は頷いた。


「ああ。似ているな。 俺もそう思ってた。相手の一番嫌なところを、的確に突いてくる、あのえげつなさは、確かによ、だから俺は、勝てるわけがないと、最初から諦めちまってたのかも知れねえ、…実際中学三年生になったしおりに勝てるイメージ、湧かねえしな」


 だが、俺は続ける。


「でもなあかね。あいつの分析能力は、しおりより低そうなんだ。」


「え?」


「まだ試合が続いているのが、その証拠だ。もしあいつが、しおりと同等の力を持つ、中学三年の男子なんて化け物だったら、俺はもう、とっくに負けてる。」


「奴は分析が出来ても、足りていないんだ、自ら攻めるという意思を感じない、相手の嫌がる所にボールを放ち、ミスを誘う、しおりなら、少しでも甘いボールが来たら決めきれる、だが奴は決めきれる力をもっていない」


 俺はそう言って、笑った。


「なるほど!確かにそうですね!しおりちゃん、部長と練習していたとき、私には隙にも見えないような球を、隙があると言って部長先輩のことボコボコにしてましたし!」


 その容赦のない言葉に、苦笑いを浮かべる。


「確かにそうなんだが…、隙って言ってもあいつの場合数ミリ単位を要求してくんだよ!仕方ないだろ!」


 言い訳の様に俺は言葉を並べていた


 俺は、観客席のしおりの方を、ちらり見る。


 彼女は相変わらず、涼しい顔で、こちらを見ている。


 …あなたにはその相手に負ける理由がありません


 そんな言葉が聞こえてくるようだった。


「安心しろ。勝つためのルートは、俺の中のしおりが、ナビしてくれた。」


 その瞳の奥で、俺を信じてくれているのが、分かった。


「だからあかねは、俺の応援を頼むぜ。うちのチームは、観察(しおり)と、分析(みらい)しか、しないからな」


 俺のその軽口に、あかねが「もう、部長先輩は!」と、楽しそうに笑う。


 そうだ。


 これで、いい。


 この温かい応援がある限り、俺は負けねえ。


 インターバル終了を告げるブザーが、鳴り響く。


 俺は立ち上がり、コートへと向かう。


 そして最後に振り返り、あかねに言った。


「みとけよ。俺の、大逆転劇をな」


 その言葉には、一点の迷いもなかった。


 俺の体中には、仲間たちの想いという、最強のエネルギーが満ちあふれていたのだから。

 本日、この物語が、一つの大きな大きな目標を達成しました。

 一日のPVが、1000を超えました。

 この1000PVという数値は、私の目標でした、まさかこんなに早く達成できるとは思いませんでした。

 本当にありがとうございます。


 画面に表示されたその数字を、私はしばらく信じられない気持ちで、見つめていました。

 この奇跡は、言うまでもなく、この物語を読んでくださっている、あなた、一人一人のおかげです。

 本当に、本当に、ありがとうございます。


 今日のこの数字は、おそらく、最近、この物語を見つけてくださり、しおりたちの、長く、そして、時に痛みを伴う道のりを、一気に駆け抜けてくださった、新しい読者の方々の、熱量の現れなのだと思います。

 400話を超える、この長い旅路に、最後までお付き合いくださり、感謝しかありません。

 そして、その新しい読者を、日々の応援で、この場所に導いてくださったのは、連載当初から、ずっと、この物語の行く末を、静かに見守り続けてくださっている、あなたです。

 海図も羅針盤もなく、ただ結末だけを目指して、暗い海を漕ぎ続けてきた私にとって、この「1000PV」という数字は、遠い水平線の向こうに、初めて見えた、温かい灯台の光のようです

 あなたの航路は、間違っていないよ。と、そう教えてくれているように感じます。

 

 そして、この場を借りて、特別な感謝を、伝えさせてください。

毎朝4時、更新した直後に、必ず読みに来てくださる方々へ。

 一日が始まる、最も静かな時間に、あなたが、私の物語の、最初の訪問者でいてくれること。その事実が、この暗い海を航海する、私の心を、どれだけ、照らしてくれているか、言葉にできません。


 この光を頼りに、私はこれからも、しおりたちの魂の物語を、紡ぎ続けます。


 もし、この物語の旅路を、これからも共に見届けたい、と感じていただけたなら、ページ下の[☆☆☆☆☆評価]や[ブックマーク]で、その気持ちを、そっと、教えていただけると、これ以上ない力になります。

 最高の景色を見せてくださり、本当にありがとうございました。

 これからも、『異端の白球使い』を、どうぞ、よろしくお願いいたします。


R・D

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ