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異端の白球使い  作者: R.D
全国大会
473/674

電光石火への対抗(2)

 静寂 1 - 0 竹村


(あなたのその、新しい「解」この短い時間で、閃き実行する、その対応力は素晴らしい。だけど、私の前では、意味をなさない)


 私は静かに、そして冷徹に、次の一手を思考する。


 この試合の結末は、もう、私には見えている。


 私の完全なる勝利、という結末が。


 竹村選手は、再び私を、前後に揺さぶる戦術を、展開してくる。


 ロングサーブからの、ドライブ。


 そして、ラリーの中での、ストップ。


 その竹村選手の戦術は、確かに有効だった。


 私の体力を削り、そして、思考のリズムを乱そうとする、その意図。


 だが、その戦術は、あまりにも付け焼き刃だった。


 彼女のストップは、時に甘く、浮き上がる。


 彼女のドライブは、時に、コースが単調になる。


 その隙を、私は決して見逃さない。


 彼女のストップが、甘くなった瞬間。


 私は、台に深く踏み込み、チキータで、彼女のバックサイドを撃ち抜く。


 静寂 1 - 1 竹村


 彼女が、ドライブで攻めてくれば、私はカットで、粘りそして、カウンターのチャンスを窺う。


 そのラリーの中で、彼女の焦りから生まれた、甘いボールを、私は、冷静に、そして無慈悲に仕留めていく。


 静寂 4 - 2 竹村


 戦術を看破され、そして、ポイントを重ねられていく、その事実に、竹村選手の表情に、焦りの色が浮かび始める。


 彼女は、もはや自分の、土俵であるはずの台上の捌きあいでも、そして、奇策である緩急をつけた戦術でも、私を上回ることができない、という現実に、直面していた。


 その焦りが、彼女のプレーを、さらに狂わせる。


 サーブミス。


 レシーブミス。


 そして、ラリーでの、凡ミス。


 スコアは、一方的に、私へと傾いていく。


 静寂 8 - 4 竹村


 ネットの向こう側で、竹村選手が、膝に、手をつき、肩で、大きく、息をしている。


 その瞳は、状況とは裏腹に、闘志の光が輝いている。


 それでも、この状況はどうにもならないだろう。


(…もう、終わりだね)


 私は静かに、そして冷徹に、そう結論付けた。


 この試合の結末は、もう変わらない。


 私の完全なる勝利、という結末へと。

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