表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異端の白球使い  作者: R.D
ブロック大会編
345/674

再戦(5)

 サーブ権が、再び、私へと、移る。


 私の、本当の「実験」は、いつだって、劣勢、あるいは、膠着状態から、始まる。


 静かに、私は、次の作戦を、思考する。


(…もう一度、試すのが最善か。)


 私は、天高くに、ボールを、トスし、そして、強い回転を、かけるかのような、大きなテイクバックから、サーブを、放った。


 その、視覚的な、情報量に、桜選手の、集中が、一瞬、乱れる。わかっていても反応してしまう、ミスディレクションのモーション


 私が、そこから、繰り出したのは、超低空ナックルロングサーブ。


 弾丸のような、早さの、そのサーブは、彼女の、バックサイド深くに、突き刺さった。


 桜選手は、それでも、驚異的な、反応速度で、なんとか、反応するも、その、回転のない、ナックルボールを、持ち上げることが、できず、彼女の、ドライブは、台の下を、無情にも、通っていった。


 静寂 7 - 4 青木


 私の、サーブ二本目。


 私は、もう一度、天高くに、ボールを、上げ、大袈裟な、テイクバックを取る。


 桜選手の、思考が、再び、迷路に、迷い込む。


 私が、放ったのは、そのどちらでもない。


 強烈な、下回転の、ショートサーブ。


 なんとか、食らいつく、青木。彼女は、ツッツキで、その、サーブを、返球してきた。


 そこから、短い、台上の、やり取りが、始まる。


 そして、六球目。青木が放った、ストップが、ほんの、わずかに、甘く、なった、その、瞬間。


 私は、その、ボールに、踏み込み、ラケットを、アンチラバーで、相手の、逆サイドに、強引に、叩きつけるように、フリックした!


 ボールは、予測不能な、軌道を描き、追い付けなかった、青木の、横を、すり抜けていく。


 静寂 8 - 4 青木


 ダブルスコア、私の、静かな、そして、残酷なまでの、支配は、まだ続く


 サーブ権が、彼女へと移る。


 彼女は、深く、息を吸い込み、そして、心を落ち着ける、彼女の瞳には爆発するような闘志が、見える。



 彼女が、放ったのは、これまでの、短い、サーブとは、全く、異なる、横回転の、ロングサーブ。


 それは、私を、台から、下げさせ、そして、長い、ドライブの、打ち合いへと、引きずり込む、という、明確な、意志表示。

 やはり、こちらが一番困る選択肢を迫ってくる。


 …相手の土俵で勝てば、流れを、大きく、引き寄せられる


 私は、その挑発に乗る。


 彼女の、サーブを、私もまた、力強い、ドライブで、返す。


 そこから、凄まじい、ラリーの、応酬が、始まった。


 彼女は、左右に、私を、揺さぶって、私の、体力を、奪う作戦だ。

 私は左右に揺さぶられながら、ドライブで左右に揺さぶる。


 青木のスピードを、重視したドライブと、私の、コントロールを重視する、ドライブ。


 フォアへ、バックへ、と、強烈な、ボールが、何度も、何度も、私を、襲う。


 一進一退の、攻防。


 しかし、長い、ラリーの末、最後に、その、打ち合いを、制したのは、やはり、体力で勝る、青木だった。


 私の、返球が、僅かに、ネットを、越えなかった。


 静寂 8 - 5 青木


 青木選手の、二本目のサーブ。


 彼女は、もう一度、同じ展開から、得点を、狙う。


 同じ、ロングサーブ。


 私は、そのドライブの打ち合いで、相手の心を折るのを、諦めた。


 私は、その、サーブに対し、今度は、台から、一歩、下がる。


 そして、カットマンの如く、ボールを、返していく。


 私の、アンチと、裏ソフトから、繰り出される、変化の、迷路。


 桜選手は、その、私の、戦術変更に、一瞬、戸惑いながらも、それでも、強引に、ドライブを、叩き込んできた。


 そして、ラリーの、七球目。


 彼女は、意趣返しのように、奇策として、台上で、止まる、ストップを、放った!


 私の、得意な、戦術を、模倣することで、私の、思考を、乱そうという、意図。


 だが。


 青木が、ラケットに、ボールを、捉えたその瞬間、私は、一気に前に出て、そして、その、甘くなった、ストップボールに、バックハンドスマッシュをお見舞いする!


 ボールは、彼女の、反応すら、許さず、コートに、突き刺さった。



 静寂 9 - 5 青木



 パワーでは私は勝てない。


 奇策ではあなたは勝てない。



 後二点、第一セットはら今まさに、最終局面を、迎えようとしていた。

 いつも『異端の白球使い』を読んでいただき、本当にありがとうございます!


  皆様にお知らせしなければならないことがあります。不覚にも、作者がコロナに罹患してしまいました…。

  熱意は十分にあるのですが、万全の状態で面白い物語をお届けするためにも、今は治療と休養に専念させていただきたく思います。


 そのため、今後の更新がしばらくの間、不定期になるか、数日間お休みさせていただくかもしれません。

  しおりと青木の再戦や、しおりの過去など、ここからの展開を書くのを私自身も楽しみにしています。必ず回復して戻ってまいりますので、どうか心配なさらずに、少しだけ待っていてくださると嬉しいです。


  もしよろしければ、ブックマークで今後の更新をお待ちいただけると共に、ページ下の【☆☆☆☆☆】で作品の評価をしていただけると、回復後の執筆の大きな励みになります。


 皆様も、どうかお体にお気をつけてお過ごしください。


R・D

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ