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異端の白球使い  作者: R.D
ブロック大会編
331/674

部長VSサウスポー

Bコート、俺は、ネット越しに北園学園の主将、空知と、向き合っていた。

いよいよ俺の二回戦が始まる。


確かに葵の言った通り、サウスポーだ。体格も良く、いかにもパワーがありそうな、雰囲気。


試合開始の、コールが、響く。

「「よろしくお願いします!」」


俺のサーブからだ。


 俺は、葵からもらった情報を、信じることにした。


俺は、相手のバックサイドを、徹底的に狙う組み立てを、意識した。


下回転の、サーブを、バックへ。


空知は、それを、ツッツキで、返球してくる。


その返球を、俺は再び相手のバックサイドへと、力強い、ドライブで叩き込む!


空知は、その、俺の徹底したバック攻めに、明らかに、戸惑っている。


葵の言った通り、彼のバックハンドは、ブロック主体で、攻撃的な、威力はない。


俺は、何度も何度も、その一点を、攻め続けた。


そして、ラリーの末、空知の、ブロックが、甘くなった、その、瞬間を、見逃さず、フォアサイド、オープンスペースへと、強烈な、スマッシュを、叩き込んだ。


部長 1 - 0 空知


続く二本目、俺はパワーサーブをフォア側に放つ、空知はバックに来ると構えていたが、予想が外され、俺の切り札を見送る事しか出来なかった


部長 2 - 0 空知


相手のサーブ、上質な下回転のサーブ、そのサーブをドライブでひたすらバックを攻める、空知は中々切り返しが出来ず苦しそうだ。


この戦術でいける。そう、確信した、その時だった


空知が、戦術を、変えてきた。


彼は、俺のバック攻めを予測し、回り込み、そして、その体勢から、得意のフォアハンドでの、カーブドライブを放ってきたのだ!


「なっ…!?」


ボールは、俺の、予測とは、全く違う、外側へと、大きく、曲がる軌道を描く。


俺の、ラケットは、空を切った。


部長 2 - 1 空知


(…これか、葵の、言っていた、いやらしい、カーブドライブってのは…!)


一度、その、軌道を見せられると、今度は、それが、頭から、離れない。


俺の、バック攻めが、逆に、相手の得意な展開を、作り出してしまう。


まずい。このままでは、相手の、ペースだ。


俺は、そこで、思い出す。


俺だけの、新しい、「引き出し」を。


しおりとの、練習で、俺が、学んだ「緩急」という、武器を。


ラリーが、始まる。


俺は、再び、相手の、バックを、攻める。


空知が、回り込み、カーブドライブを、打つ、体勢に、入る。


「来た!」と、空知が、思ったであろう、その、瞬間。


俺は、それまで、ドライブを、打ち続けていた、大きな、モーションから、一転、全ての、力を、抜き、そして、ラケットの、面で、ボールの、下を、鋭く、切る。


強烈な、下回転を、かけた、ショートプッシュ。


相手は、完全に、意表を、突かれていた。


彼の体は、カーブドライブを、打つために、後ろに、下がっている。


慌てて、前に、駆け込むが、もう、遅い。


俺の、その、下回転の、罠に、かかった、空知の、返球は、力なく、ネットを、揺らした。


猛 3 - 1 空知


(…どうだ!)


俺は、心の中で、ガッツポーズをした。


葵からの「情報」。


しおりから学んだ「緩急」。


そして、俺、自身の「パワー」。


この、三つが、組み合わさった時、俺の卓球は、新しい、次元へと、進化する。


「ナイスです、部長先輩!」


ベンチの、あかねの、声が、聞こえる。


俺は、ニヤリと、笑い、そして、次の、サーブへと、入った。


もう、この試合、俺が、負ける、気は、しなかった。



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