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夜明けと共に消ゆる  作者: 結城コウ
9/16

7

俺達はただ呆然としていた


目の前の事実を受け止められずに


そして


俺達はある勘違いをしていた事に気付いた


勘違いと言っても

明確な勘違いではない


雰囲気的にそう思っていた


俺達は伯父さんを殺した人間は


伯父さんだけを殺すモノだと思っていた


だから、詩都葉さんを一応拘束して


特に何の対処もしなかった


しかし


隼人さんが殺された


つまり


他の人間も殺す気だと言う事だ


これは…俺達の認識が甘かった…



しばらくして俺は今の自分の状態に気付いた


そして、取るべき行動をとっさに判断した


『源吾朗さん!

詩都葉さんがどうなったか心配です!

連れて来て下さい!

政哉さん!

(隼人さんを)調べますから部屋に!』


「か、かしこまりました!」


「あ、う、うん!」



「称お兄ちゃ…お兄様

私も手伝います!」


『何言ってるんだ

君は見ちゃ駄目だ!』


「きっとお役に立ちます!

お願いします!」


『だとしても、駄目だ!』


「…えっとですね…あ!…そこ!

見てください!」


『え?』


アリシアが指を指した場所には携帯があった


-タタッ-


『あ!』


アリシアはその携帯まで

走りよった


「やっぱり…これ…こんなところにあるなんて…おかしいですよ」


確かにその携帯は隼人さんの死体から離れた場所の…


床にあった



そんな場所に置くのは不自然だし


落としたらすぐに気付くはずだ


『確かに…』


「それに何故かマナーモードになってます」


アリシアは俺が教えたのである程度

携帯の知識がある



「マナーモードか…

推理モノの小説や番組によくありそうなトリック…思い出すね…」


『よくありそうな…トリックですか?』


「ドアの内側に下駄箱とかがあってその下駄箱の上に携帯を乗せて

ストラップを鍵に引っ掛ける

そして、電話を鳴らしてバイブレータで携帯を箱から落とし

その重みで鍵をひねる…マナーモードだからバイブ音しか聞こえない


あれ?この部屋でもできるかも知れない…」




(…そういえば

扉を開けた時何かが飛んで行ったのが見えた気がする

もしかして…あれかも知れない……)



「あの…ちょっと待って下さい

ここは電波が届かないのでは…?」


「あ…」


「不可能、ですね」


「いい思い付きだと思ったんだけどなぁ…」


『………』



(何かひっかかるな…?)


『…とにかく、アリシア

これで満足だろ?

凛音と一緒に外で待ってなさい!』


「……わかりました」



アリシアはつぶやく様に言った



俺はアリシアが出て行ったのを確認した後


政哉さんと調べる事にした


『隼人さん…』


一目で解る

即死だ


「銃殺…かな?」


『そうですね…』


確かにあの時


銃声の様なモノが聞こえた


隼人さんの体には無数の…"それ"がある


多分、間違い無い


問題は…


『ところでその銃…

どこから持って来たんでしょうか…』


「…え?」


『だって、おかしいでしょう?

伯父さんの時は撲殺なのに…今度は…』


「あ…うーん…」


ふと、その時


俺は自分に気付いた


政哉の反応が遅い


頭が回らないからだ


何故?


決まっている


肉親が死んだからだ


いや、政哉さんは


まだ冷静なほうだ


まだ割り切ってなんとかしようとしている


なのに、


俺は何だ?


何故…こんなにも…


肉親が死んだのに?


俺は…


どうして…


「称君」


『ッ!?』俺はふと我にかえった

『…あ…ま、政哉さん…』


「…確か父さんは、護身用に拳銃を持っていたんだ」


『拳銃を…?!』


「うん

無許可なんだけどね」


『何でそんなモノを…』


「…自分で自分の親をこう言うのは何だけど

大企業の社長…

今は会長だからね

他企業や内部の人間が謀殺しようと言う考えだって持ってた訳だ」


『そんな事が実際にあるんですか…?』


「あるから、SPと言う職業があるんだ」


『……!』


「でも、父さんはあんな性格だしね

SPだけで安心しなかったし

会長になってからはSPは付けてない」


『だから…ですか?』


「うん、護身用にね

いざとなったら

"自分を殺そうとした人間のを奪って撃った"って言えば正当防衛だし

お咎めもないからね」


『じゃあ…伯父さんが最初に殺されたのって…』


「銃目当て…かもしれない…」


『……っ!』



(…それじゃあ、犯人の目的は…!!)


「…窓、鍵がかかってるね

今回も…」


『…密室…







殺人……』


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