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俺達は島に着いた
叔父さんは物好きなんだろう
こんな離島を別荘でもなく、
家として買い取るんだから
まともに電波が届かない…
携帯が繋がらないのはもちろん
テレビどころか
(普通の)電話でさえまともに使えない
…何かあった時はどうするんだろう?
そんな事を思ってると小さな女の子とメイドさんがやって来た
「お久しぶりです
隼人お兄様、称お兄様、凛音お姉様」
「お待ちしておりました皆様」
「あ…ああ、久しぶりだな…」
『隼人さん、アリシアと詩都葉さんだ』
「そうだったな…本当にしばらくぶりだ…
…アリシア大きくなったな…」
「ありがとうございます、隼人お兄様」
「ッ!?」
隼人さんはアリシアの冷たいくらいの礼儀正しさに驚いていた
…アリシアは叔父さんの躾によってその礼儀正しさを身につけた
隼人さんはその事を知らない
「えっと隼人さん、源五郎さん、詩都葉さん先に行っててもらえませんか?
あの…アリアちゃんと久しぶりに三人で話したいんです」
「あ、ああ…」
「「かしこまりました」」
…三人が見えなくなると…
-ガバッ-
凛音はアリシアに抱き着いた
「久しぶりー!アリアちゃん!」
「久しぶり!凛音お姉ちゃん!」
…アリシアは叔父さんの躾によって人前に"自分"を出せない
唯一、俺達を除いて
ちなみにアリアとは凛音がアリシアにつけたあだ名みたいなモノだ
『久しぶり、アリシア』
「久しぶり!称お兄ちゃん!」
『少し…みないうちに大きくなったな…』
俺はアリシアの長い髪を撫でた
「う、うん…」
(ジュリアさんに似てるな…やっぱり…この子もあの人みたいに…ならないといいんだが…)
ジュリアとはアリシアの母親だ
…アリシアを産んですぐに亡くなった
『…そろそろ行かないと…待たすのは悪い』
「そうだね…」
「わかったよ…」
俺達は島の中心にある…島の面積の半分は占めてるであろう叔父さんのお屋敷に向かった
屋敷に着くと詩都葉さんが待っていた
ちなみに詩都葉さんは叔父さんの家のメイドさんだ
アリシアの教育係でもあるらしいが
実際にしているのは叔父さんらしい
俺達は詩都葉さんに連れられ、真ん中の1番大きな部屋に向かった
部屋の扉を開けようとすると…
「フザケんな!クソ親父!!」
『!!?』
俺は一瞬たじろいだが、扉を開けた
開けると目の前に隼人さんが
その隣に源五郎さん、
奥に叔父さん、
叔父さんと隼人さんの間に隼人さんの兄である政哉さんがいた
…どうやら、叔父さんと隼人さんが口論をしているらしい
「テメェから呼んでおいて、とっとと帰れたぁどんな了見だ!」
…なんか隼人さんの口調が古臭い
「ワシは貴様など呼んだ覚えはない」
「ンだとぉ…!?
テメェ、ついにアルツハイマーにでもなったか!
ボケジジィ!
こちとらテメェから手紙が来たからわざわざ来たんだよ!」
「隼人、やめないか
お父さんも」
「兄貴!」
「政哉…」
「わざわざ隼人が来てくれたんだ
門前払いもないでしょう?」
「……いいだろう
明日の墓参りには参加を許そう
だが、その後はすぐに帰ってもらう」
「ッざけんな!
そんなに帰って欲しければ今すぐ帰ってやるよ!おい!爺、船を出してくれ!」
-ダンッ-
「隼人ッ!」
-ダンッ-
隼人さんと隼人さんに連れられ源五郎さんが
そして、後を追う様に政哉さんが出て行った