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ふと、天井を見上げてみた
この部屋には例の通気孔が無い
窓も前回同様
鍵がかかってる
ドアも鍵が…
『!!
そうだ!鍵は!?』
「え?」
『鍵が見つからなかったんでしょう?
なら、犯人が持って…』
「あ!」
『だから…』
俺が言葉を話そうとした時
政哉さんが何かに気付いたようだった
「称君…もしかして、あれ…」
政哉さんが指差した場所には
ベッドの隣の
電気スタンドが置いてある小さな机
机の上には鍵があった
『…試してみましょう』
その鍵はドアの鍵穴とぴったりあった
どうやら空振りのようだった
……
詩都葉さんを連れて源吾郎さんが帰ってきた
どうやら、詩都葉さんは無事だったようだ
例の如く
今回も
各個のアリバイを聞く事にした
俺と政哉さんはと一緒にステンドグラスの前で話しをしていた
お互いがお互いの証人となる
凛音は自室に居たらしい
銃声が聞こえて
聞こえたほうに向かったそうだ
アリバイは無いに等しい
アリシアも凛音と同じ
よってアリバイは無い
源吾郎さんは夕飯の片付けをしていたそうだ
同じく銃声が聞こえてこちらに向かった
直接的なアリバイは無い
詩都葉さんはと言うと
例の部屋に閉じ込められていたので
部屋に抜け穴でも無い限り
一人の力では無理だ
つまり、アリバイがあるのは
俺、政哉さん、詩都葉さん
無いのは
凛音、アリシア、源吾郎さん
となる
……
『…どうしてこんな事になったんだろう…』
あの後、俺達は政哉さんの提案で三人一組で居る事にした
俺、凛音、アリシアと
政哉さん、詩都葉さん、源吾郎さんとなった
こちらのほうが話しが合うだろうと言う配慮だろう
「…称ちゃん…」
「…称お兄ちゃん…」
『…本当に何でこんな事になったんだろう…』
そのまま誰も何も言えなくなってしまった
………
『ちょっと外の空気吸って来る』
「え?
でも、危ないよ?」
『大丈夫だよ
…それより、少しの間
アリシアを頼む』
「…う、うん…」
「………」
俺は外を出て少し歩いた
屋敷から少し離れた…
星の綺麗な場所で立ち止まり
考えにふけった
(…でも、本当に何でこんな事に…
俺達はただ里帰りに…
ジュリアさんの墓参りに…
そういえば、結局
まだジュリアさんの墓参り…出来てないなぁ…)
そんな事を考えていると
-ブンッ-
-ビシィィィッ!!-
頭を駆け巡る激痛
朦朧とする意識
俺はその場に倒れた
どうやら、後ろから鈍器か何かで殴られたらしい
俺は僅かに残った意識で首を捻り
後ろを見た
そして、俺を殴った人物は…
『……リ……
……ン………
…………ネ…』
…俺の意識はそこで潰えた
「………ごめんね、称ちゃん…」
………
…朝
『う…うん……』
頭が痛い…
ズキズキする…
『…!!
ここは…?』
俺は状況が判断出来なかった
どうやら、ここ小さな洞窟…
海と繋がっているらしい
『ん…!?
船が…繋がれてる!』
どうやら、無くなった船はここに移したらしい
(この事、皆に…知らせないと…)
俺は出口を探した
海とは反対方向から漏れる光
それを頼りに外に向かう
…
外に出てみると比較的屋敷に近い場所に出た
どうやら死角になっていて外から解りづらい場所みたいだ
俺は屋敷へと向かおうとした時−−−−
俺が見たものは…
『……凛……音……』
凛音は倒れていた
……いや、
『凛音……』
(様子がおかしい…
何でこんなところで寝ているんだ…
…寝ている?
…違う!!)
俺は彼女の傍に駆け寄った
『…そんな……マジ……かよ……』
凛音の体には
一発の弾丸が通過した跡が…
凛音は…
…そう
『…あ……あ…ああ…
…う
うわぁぁぁああぁぁぁあぁあぁあぁあああああああぁぁあぁぁあぁああぁぁぁあッ!!!』
…死んでいた
-問題編終了-