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シュウマツの窓辺に白百合を〜異世界に「あたし最強!」で転生したのだけど、前世のヨメがいた  作者: 里井雪
異世界人の遺産

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私の重さ

「ところで、龍王様。貴方が遺跡に入れないほど大きいというので、思い当たったのだけど、魔法を使える者の本体が神界にあるって本当?」


 前にも書いたように、このことは、どんな書物を読んでみても、予想、推測としての曖昧な記述しかない。この世界一の賢人といわれる龍王なら、確かな情報を持っているかもしれない。


「ああ、書物には不確かな記述しかないが、我の研究では、ほぼ間違いない。正確には無意識に魔法を使える者たちのことだな。詠唱して神界とのゲートを開かなくとも魔法を使える者。常に魔法と共にある者という言い方がいいだろうか」


「無意識に使うことができるという意味は、神界の自分から魔法を引っ張り出している?」


「そう考えていいだろう」


「ちなみに、神界側の『実体』の大きさって?」


「うむ。それは、概念として説明し辛いが、仮に、あくまで仮に、重さに換算しみると。普通、神界にある自身の体重は、魔力が大きい者でも、数キロから数十キロといったところだな。我でも数千キロ程度。神界からこちらに実体を移すことなどできぬが、移動できれば、その程度の重さになるだろう、という意味だ」


「で、私は、それがとても大きいと? こちらでの体重が五キロくらいだから、三十キロくらいかしら?」


「いや。そうではないのだ。その程度では、我より軽いではないか? ルナの魔力は、破格と言ったはず。我の数倍、数百倍などと数えられるレベルを超えておる」


「え?」


「あくまで、仮に換算すればということだが、恒星の重量に匹敵するだろう」


「ちょ! それって、私が宇宙を崩壊させるって、そのことなのでは? 龍王様は不可能と言ったけど、なんらかのトリックがあって、私の重力がこの世界にかかったら。少なくとも太陽系は崩壊する」


「いや。それは違うと思うぞ」


「アレ? 妙な断言の意味は?」


「ルナは悪魔に『宇宙』を崩壊させる力と聞いたのだろう? 悪魔という(やから)は、嘘もつくし罠を仕掛けるのが大好きだ。だが、意外と、その言葉の意味は律儀に守るものだ。ヤツら一流のアイロニーだろうがな。『だから、太陽系ではなく宇宙と言っただろう?』というような言い回しは、ヤツららしいと思うだろう?」


「なるほど! でも、そんな単純なものじゃなかったとしても、恒星レベルの力と考えておいた方が、いいのかもしれないわ」


「それは。その通りだろう」


 まったく! 破格と聞いたけど、せいぜい数倍などという単位を想像していたし、それで、ある種、思考停止していた気がする。そうか。宇宙崩壊などというレベルを考えれば、恒星並みは、むしろ、理屈が通っている気がしてきた。


 そして、そのからくりが単純なものでもないのも、その通りだろう。そう。全ては、悪魔の言葉なのだ。彼らはゲームをしている。彼らにとって私たちの命など、ゲームでアイテムを失う程度でしかないのは分かっている。


 だが、だからこそ、龍王の言うことには理がある。縛りプレイとも書いたが、悪魔は自ら定めたルールの中でプレイしている。ゲーマーは、プレイしているゲームの運営会社が定めたルールを、守らなければならないのと同じ。悪魔は、チート行為のようなこと、白を黒とする嘘はつかない。だが、言わない嘘は、たくさんついているに違いない。


 うーーん。やはり悪魔の謀か。詰将棋のように常に王手を指されて、対戦者の思い通りに駒を動かさざるを得なくなっている気もする。だけど。だけど。悪魔だって、全てを見通しているわけではないはずよ! 絶対にそう。


 必ず、いつか、指し間違いをするはずだ。ワンコにも、(Every dog)彼らの日というもの(has his)がある(day)ハズ。いつかチャンスは回ってくる。それを逃しはしない!


 今回の件も、定められし事と感じてはいたが、乗ってみるしかないのだろう。だけど。ならば、私たちが、その命を含む致命的なものをロストすることはない、とも考えられた。


 どこから噂を聞いたのか、ルツも同行したいと言ってきたが、取り巻き連中とパーティを組んでの実習もある。冷たく突き放しておいた。


 「分かりました」


 すごすごと引き上げて行ったが、そこまで落胆した様子でもなかった。彼って、冷たくされるとゾクゾクするタイプの変態なのか、それとも、何か期する所でもあるのだろうか?


 もちろん、学園長にも報告しておいたが、さすがに龍王の意図は計りかねるようだ。それに、先史文明については、まだ一般には知られておらず、学術的なテーマとなったこともない。さすがの学園長も知見がないのだろう。


「とにかく、気をつけて行ってきてください」


 とだけ言って送り出してくれた。


 荷造りをして、翌朝、ミチコと二人で王都まで馬を飛ばし船に乗った。

 ああ、そぅ、私「重い女」よ(苦笑)。恒星かぁ〜。ちょっと驚いた。ちなみに、太陽の質量は約2*10^30kgよ。宇宙には太陽の300倍もの質量がある恒星もあるようだけど。って、さぁ、ふと思ったのだけど、もし、私が死んだら、神界での私の「死骸」ってどうなるの??


 ということで、今回は説明回。ですが、先々に繋がる設定ではあります……。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 82/82 ・宇宙の理論キター! [気になる点] 物理的に重い女、好きですよ? [一言] 死体は巨大化して、物理的に新たな宇宙になりそう。
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