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シュウマツの窓辺に白百合を〜異世界に「あたし最強!」で転生したのだけど、前世のヨメがいた  作者: 里井雪
異世界人の遺産

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遺跡の調査依頼

 そんなこんなの学園生活が続いたが、時は流れ、まもなく冬休み。そういえば、去年、忘れていたことがある。というか、去年の今頃は、パーティ編成あり、火龍事件もありで、バタバタしていたのだから致し方ない。


 リベカ、と、エドムとジャムについては、夏と春にケーキを焼いてお祝いしたのだが、私とミチコの誕生日。予想されたことだろうし、クラス五十人もいれば同じ誕生日のカップルは一組くらいはいるはずだ。十二月二十五日。そう。それが、私たちの誕生日。私は十七歳に、ミチコは二十歳になった。


 この世界での誕生日はそんなに大仰なことはしない。ケーキを焼いて、いつもの五人で食していた。


 と、その時。ちょっと嫌な予感がした。龍王との連絡用として持たされていた指輪。一年もそのままだったが、突然の連絡、通話が入ったのだ。


「やぁ、ルナ。一年ぶりだろうか。久しいなぁ。実は……」


「ああ、冬休みの前だから、何かミッションかしら? 報酬はたんまり、いただけるんでしょうね?」


 学生の特権でもあるお休み。ゆっくりしようと思うと、どうも、こういう巡り合わせになる。自覚はしていて改めようという気がないわけではない。だけど、やっぱり、気持ちがすぐ発言にでてしまう。不機嫌モロダシの返答になってしまった。


「まぁ、そういうな。君たちはこの世界にとっての最重要人物。どうか、我の願い、聞いてはくれまいか?」


「龍王様。その物言い。大人な感じがしてイヤかな。smarmy(慇懃無礼)って言うのよ」


「うはは。一本取られたな。率直に言い直す。実は、今、起きている異変の手がかりが見つかったのだ。太古の遺跡。すなわち、魔法史以前の唯一の遺跡を、皆で調査してほしい」


 こういうことだ。この世界は三千年ほど前に魔法がもたらされたと言われている。魔法は数々の魔法的な生物を産み、原始的な生活をしていた人類は、魔法を知ることで急速に文明を発展させた。


 すなわち、文明の起点はその辺りということになる。従って、原始人の残した洞穴レベルではく、立派な建造物としての遺跡で、魔法有史二千七百年より古いものは、基本存在しない。


 だが、世界で唯一の例外。これを遡ること数百年前と思われる遺跡がある。ペリノ遺跡。ここから船と陸路で一週間はかかるから、冬休みは全てつぶれてしまう。もう今回は、帰省を諦めるしかないだろう。マリアにはお詫びの手紙を書いておこう。


「そこに何が?」


「うむ。未だ、遺跡の最深部に入った者はおらぬ。だが、ルナなら、入れるのではないかと思うのだ。おそらく、遺跡には、先史の民が作った何かがある。彼らは今を予見し、未来に託したと思うのだ」


「私が御使なら、その鍵を開け、彼らのメッセージを受け取れると?」


「ずいぶんと、書物を漁ったが、断定はできぬ。だが、おそらく、そういうことになるだろう。我も同行したいのだが、何分、体が大き過ぎて遺跡には入れぬのだ」


「ならば、私一人で行けばいいのでは?」


「いや。そうもいかない。先史民族は、その設備を盗掘から守るためのトラップを仕掛けており、それはルナが解除できるだろう。だが、やっかいなことに、少し前まで盗賊団が遺跡の入り口付近を不法占拠していたのだ。大きな危険はないと思うが、念のため仲間と行ってほしい」


「小さな危険は、あるかもしれないってことよね。ギルドマスターも龍王様も、どうして、みんなを巻き込むの? 危険な目に遭うのは、私だけでいいじゃない?」


 ああ、どうして私はこうなのかしら。折角、ジャンが仲間を信頼することを教えてくれたのに。だけど、どうしても、みんなに危険が……って思うと、冷静な判断ができなくなる。


「まぁ、まぁ。ルナ。みんなを心配してくれる気持ちは、よう分かる。ありがとう。でもな。水臭いわ。私ら一心同体やないの? うーーん。そや、こうしたらどや? 今回は、ミチコと二人で行っておいで。そやけどな。約束してほしい。今後は、基本、みんなで行動を共にすると。パーティになると決めた時から、生きるも死ぬも一緒や思てたからな。ま、今回は新婚旅行として許したるわ」


「リベカさんの言う通りです。ルナさんが勧めてくれた物語。『同年、同月、同日に生まれることを得ずとも、同年、同月、同日に死せん事を願わん』憧れます」


とジャム。


 ああ、そこの君! 「三国志」くらい読んでおきなさいよね。各所で、ネタになることが多いから、知らないと読書やアニメ鑑賞などの楽しみが減ってしまうわ。


「リベカさん、兄さんに同じ。でも、僕たち、新婚さんに同行するような無粋をしないほどに、常識も持ち合わせていますけど」


 エドムのやろぉ〜。


「ルナ。リベカの提案で行きましょう」


とミチコ。


「分かったわ。でもね。私、ずっと友達がいなかった。せっかくできた仲間、つまらない事故で失いたくないの。それは。それだけは分かって」


「その気持ち、嬉しいし、光栄だわ。だけど、ルナ、その逆。私たちの気持ちを考えてくれたことはあるかしら? もし、その、つまらない事故で、貴女に万一のことがあったら、私たちはどう思うのか?」

 

 ミチコは、例の事故のことが頭をよぎったのだろう。反論は許さぬという口調で、キッパリと言った。


「危険を伴うミッション、学生の皆に依頼するのは申しわけないと思っている。これは衷心からじゃぞ」


 龍王様も、なんだかんだ言って「大人」だ。


「さっきのは欺瞞もあったってこと? ごめんなさい。言い過ぎました。分かった。みんなも、龍王様も、というか負けたわ。今回も、これからも、みんなの言う通りに」

 私の性格の問題だと思う。理屈としては分かってはいる。ジャンにも教えられた。だけど、折角、折角できた仲間に危険があると思うと冷静ではいられない。ミチコの言う通り、それは、私が自己中だということなのだろう。それも分かってるんだけどね。


 すぐ不機嫌になったり、泣いたり……。感情の起伏が激しいのも何とかしたいと思う。これは、私の心が弱いことが原因だから、なかなか難しい。


 今まで、仲間がいなかったルナですから、大切に思ってはいますが、その意味がまだ十分に理解できていないようです。ジャンに示唆され、今回のミチコの一言で、以降、大丈夫かな。


 誕生日については、二人は救世主かも? ということに因んでいます。だけど、十二月二十五日って? 後に、蘊蓄入れます(笑)。


 で、この世界、三千年ほど前までは、人類といっても原始人レベル。魔法がもたらされたことにより文明が急速に進歩し、二千七百年前からは歴を刻めるレベルになったということです。だから、ピラミッドのように四千年前の大建造物なんてないのです。ということで、しばらく、ちょっとSFっぽい? 展開。次回の説明回を挟んで「星を継ぐもの」あるいは「時の車輪」風。

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[良い点] 81/81 ・なんか好きですこういうの。友情の表現として良いと思いました。 [気になる点] こういうの、女性らしさ、なんですかね? でも男がこのセリフ吐く事が多い気がしなくもないです。 …
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