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シュウマツの窓辺に白百合を〜異世界に「あたし最強!」で転生したのだけど、前世のヨメがいた  作者: 里井雪
ジャンとの出会い

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ロルムの冒険者

 さて。さて。ロルム領を管轄するギルドのエージェントが、迎えにきているはずだが。あっ、いた、え? あれ? どこかで見たような顔つきだ。砂色の短髪に、アンバーアイ。イケメンといえばそうだが、えええええええ!!! ジェディー??


「ああ、その、皆様のお顔。私の弟が大変なご迷惑をおかけしたらしく。私の方からもお詫び申し上げます」


と言って頭を下げた。ああ、兄さんね。通りでよく似ている。


「私は、ジェディーの兄。ジョヴァンニと申します。この名前、ある聖人に因んだ命名らしいのですが、少々、大仰で恥ずいですし、ジャンと略してお呼びください」


 うん。この世界、ヨハネが聖人って?? エージェントが用意してくれた二頭立ての馬車で、火山の山麓にある宿に向かった。道すがら、彼が語るところによると。


「いやぁ〜。私、ゲニスブルク公爵家の放蕩息子で、名を馳せてしまったんですけどね。決して、放蕩なぞしておりませんよ。放浪はしましたが。まぁ、格式ばった家が嫌で、飛び出して勘当されて、冒険者。こんな兄のとばっちりで家を継がされた弟。彼の性格が曲がったのは、私のせいでもあるんです。根は決して悪いヤツでもないんですよ。許してやってくれとは、言いませんが」


 丁寧に詫びているが、多弁で、どこか口調がチャライ。というか、イタリア訛り? うーーん。このユーロ連邦が一つにまとまる前は、やはり、多数の言語が存在していたようだ。


「おおお、そういえば、ミチコさんと仰るのでしょうか? フヨウのお生まれとか。実は、私、かの国に憧れておりまして。数ヶ月ではありますが、旅したこともあるのです」


「そうなのですか! それは。それは。で、フヨウのどちらに?」


「いやぁ〜。実はですねぇ。ゼンというものがあると聞きまして。ユーロ連邦から見ると、全くの異文化。異世界の風習に映りました。是非、学んでみたいと遥々旅したのですが。行ってみると、ニンジャという存在を知りまして。結局、イガに三ヶ月でした」


 前世の日本好き外国人のステレオタイプみたいなヤツだ。でも、コイツ、ミチコの肩に手を回して話すのは、なれなれし過ぎ。


「おっと! ルナさん。そんな怖い顔で見ないでくださいよ。これ、ロルムでは、親愛の証みたいなものですから」


「フヨウでは、過剰な身体の接触は良しとしない伝統がございまして」


 やんわりと、ミチコはその手を払った。うーむ。さすが、大人の女。と、白い壁に煉瓦色の屋根。石造りの家が立ち並ぶ街並みの向こうに宿が見えてきた。同様の配色の二階建ての立派な建物だ。温泉付きらしい。


「あはは。これは。これは。ああ、宿に着きました。少し早いですが夕食の準備はさせております。食されたら打ち合わせを。問題ないようでしたら、長旅でお疲れかと思いますが、明日、朝、早々にミッションと考えております。ガーディアンの数が日に日に増えてきておりまして、急を要するようになってまいりました」


 急に真顔になった。彼が胸に下げている冒険者の認識票は? うん? これ?? RPGと同様、冒険者にはランクという概念が存在する。一般には五階級で一番上がゴールドだ。


 だが、限られら人数の特別な冒険者という隠しランクというものを聞いたことがある。プラチナ? 認識票、小さな長方形のペンダントのようなものだ、ゴールドまではメッキだが、プラチナは本物の貴金属らしい。パッと見はシルバーに見えたのだが、この輝きは本物だ。


 ああ、そうそう。冒険者の「ランク」はいいわよね。RPGに限らずゲームではよくある設定。受注可能なミッションも、このランクによって決まる。認識票の方は大丈夫かしら? ゲームというより軍隊用語ね。兵士の個人識別用のタグ。アメリカ軍のスラングでは、ドッグタグ(dog tag)と言うこともあるわ。


 映画なんかで兵士が四角いプレート状のネックレスをしてるの、見たことがあるかしら? 名前や血液型など個人情報が書かれた札。大怪我をして当人の意識がない時にどの血液型を輸血するか? みたいな実用的な使い方をされたり、戦場で死んだ兵士の遺体を連れ帰れない場合、戦友がこれだけ持って戻り、弔うという習慣もあるみたい。

 

 一般に、冒険者になってゴールド階級に到達するまでには、二十年を要するとも言われている。ジャンは、どう見ても二十代半ば。五年やそこらでゴールドを超えるなど例外中の例外だろう。コイツ、本当はとてつもなくデキるヤツに違いない。

 これも意図されたことなのかしら。今後、縁、浅からぬ人との出会い。最初は向こうも遠慮してたし、彼、独特のテレかな。チャラさを装っていた。だけど、この男、とんでもなくデキルヤツだったわ。


 それと認識票。もともと大きな戦争なない世界だけど、冒険者は場合によっては、傭兵となることもあるの。だからなのかな。前世の軍隊風のものが使われているわ。


 えと。前作を読んでいただいた方にはお馴染み? 自分の創ったキャラで気に入った人は、位置づけを変えて再登場させちゃってます。性格なんかも微妙に違いますけどね。FFのシドみたいな感じ? ジョヴァンニはイタリア語だとジョンなんですが、異世界ってことで。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 68/68 ・チャラ男に見せかけて有能、こういうの割と好きです。 [気になる点] 百合の間に挟まる男はうおおおお!!!!! [一言] やべ、前作の記憶が薄らいでる…ジョン…やべえ
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