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シュウマツの窓辺に白百合を〜異世界に「あたし最強!」で転生したのだけど、前世のヨメがいた  作者: 里井雪
リリスとの出会い

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闇魔法の習得

 翌週からリリスとの特訓が始まった。彼女から学ぶ魔法は三つ。


 まずはドルミ。対象を眠らせる魔法。闇属性魔法の中でも非常に有用なものだ。習得できれば、私の魔力の強さからもかなり広範囲の敵を眠らせることができるだろう。


 あとは補助系。テネブス。対象の視界を妨害し、物理攻撃の命中率を下げる魔法。


 最後が、マギラト。相手の魔力を吸い取る魔法だ。相手のMP(マナ)を全て吸い尽くせば死に至らしめることも可能だが、この魔法はそこまではできないようで、しばらく相手が魔法を使えなくする程度らしい。使い所、難しいかなぁ〜。


 ついでに私の重力魔法。モルスのままでは何かと混乱するだろう、当然、この魔法は私のオリジナルだからまだ名はない。「グラウス」と命名することにした。って、分かるかしら? 前世の記憶からラテン語を捻ってみたの。素敵でしょ?


「ルナさん、ミチコさん、リベカさんの三人は特別な存在だと思うわ。潜在魔法だからといっても、無詠唱で使えるなんて聞いたことがない。普通、魔法は詠唱することで、魔法陣、すなわち、神界とのゲートを開いて、その力を行使するもの。無詠唱ということは、三人とも普段から直接神界に手を突っ込んでるってことだから」


 リベカのバードアイついては、魔法の力は使っているもののアビリティーに近いのだろう。ミチコは、治癒魔法などは詠唱しているが、防御魔法だけは無詠唱。で、なかったら、火龍事件でみんな死んでいたかもしれない。そう考えるとゾッとする。


「確かに意識はしていませんでしたが、そういうことになりますね。ということは、まずは、ゲートの開き方からでしょうか?」


「そうね。でも、直接手を突っ込める人が、ゲートを開くのは容易(たやす)いかも。もしかしたら、これ、夏休みまでに三つとも会得できるんじゃないの?」


 こういうことだ。魔法を後天的に会得するのは、とても難しい。なので、ひとまず夏までに手ほどきをしてもらって、後は自習。何年かかかって一つずつ覚えていくというパターンが一般的だし、学園長もそのつもりで、リリスに臨時講師を依頼しているはずだ。


 さらに私の習得を加速させたのは、前世でのRPGの知識だ。魔法を習得するというのは、イメージを頭に描けるか否かという点が大きい。ゲームやアニメの映像を見ている私の頭の中には、何となく「こうだ!」という具体的な概念が、既に存在していたようだ。


 春になる頃に、私は、魔法のゲートを開けるようになっており、競技会の前にはドルミを使えるようになっていた。もう一つ。リリスを驚かせたことがある。ドルミにはドルミドゥという上位魔法が存在する。


「あ、ドゥって二のことかな?」


 言った瞬間に、私は上位魔法を会得していた。ドゥはフランス語で二。RPGの知識から「ナントカ・ツー」という魔法の存在を概念として知っていた私は、ドルミで一分、ドルミドゥを上書きしてさらに一分半。合計二分半、敵を眠らせることができるようになっていた。


 ただ、一点だけ、この魔法にも弱点がある。闇属性を持つ相手、闇に対して対極にある光属性を持つ相手には無効、すなわち、完全にレジストされてしまう。


 だが、同じ闇属性のグラウスには一部例外がある。例えば、闇属性を持った魔族や、光属性である神龍の体内にある心臓を「消す」ことはできないが、彼らの体全体を覆うくらい大きな重力場の球体を作れば、存在そのものを潰す、すなわち消し去ることができるようだ。


 ただこれは、大変危険な行為だ。人族の大きさだと、直径二メートル近い球体を作り、その中にあるもの全てを消し去るということに他ならない。使う場所を慎重に選ばないと、とてつもない副次被害を出してしまう。


 さらに、その対象者が増えれば増えるほど、巨大な球体が必要となり、周りの味方や非戦闘員を巻き込むだけではなく、その場の地形すら変えてしまう。


 とはいえ、私の闇魔法習得は順調に進んでいったし、ミチコとリベカの体術も、エドム、ジャム兄弟の魔法強化も大きな成果を上げていた。


 前から話しているが、実技以外の座学、魔法理論やその他の授業もなかなか興味深い。前世の記憶と比較検討することで、新しい世界が見えてくる気がした。


 この世界に電気はなく、電力という考え方はないが、当然、磁石は存在するし、コイルなども理屈の上では加工可能。発電機を作ろうと思えばなんとかなるはずだ。


 魔法があるが故にその必要性がないということに他ならない。だが、一部の魔法を使った動力を電力に置き換えることは可能だろう。逆に魔法動力を使ったEV車なんて作れるかもしれない。実際、風魔法を使ってスクリューを回す船は存在するのだから。


 さらに。さらに。こちらでは、魔法があることで、精神世界への造詣は前世に比べ遥かに深い。脳科学とは別の観点で、魂の存在が体系的に解明できている訳だ。


 前世で知りうる範囲では、記憶、判断の具現化としての人工知能がやっとだったが、魔法を前提とした量子脳的な考え方。意識、自我とは何か? という研究もずいぶん進んでいる。本物のホムンクルスが創造できそうで、わくわくする。

 RPGみたいにスクロール読んで覚えられれば簡単なんだけど、そうはいかないわ。だけど「グラウス」が闇属性や光属性の体内には無効なのに、「全体」を覆うと効くなんて、ちょっと作為というか、ゲーム的なハンデを感じないでもない。やっぱり、この世界、誰かの意図で動かされてるのかな。


 RPGですと、使う魔法、使わない魔法、使うとしても特殊はボスにのみ有効、この魔法ダレ得?みたいな感じですよね。ルナも三つ覚えますが、使うのはドルミだけかなぁ〜。あとはリリスがいるし。というか「寝かせ」の魔法って有用ですよね。リリスは、デバッファーとしてとても優秀です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 56/56 ・できる事が増えるっていいですね。催眠は使い勝手が良さそう [気になる点] デバッファー、いいですよね。でもテネブスは一回くらいしか出番なさそうな気がします。 [一言] 魂の…
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