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シュウマツの窓辺に白百合を〜異世界に「あたし最強!」で転生したのだけど、前世のヨメがいた  作者: 里井雪
王都の休日

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魔法のアイテム

 しばらくは王都観光の日々になった。王都ヴァーベノーブルは歴史ある街だ。有名な観光スポットの一つに地下宮殿というものがある。この地域は、千年ほど前には北方の人族が支配していた。


 五百年ほど前、現在の南方からの民族支配地に変わった際、商業活動に使われていた地域を解体して貯水池にしてしまった。今でも現役の貯水池として利用されているものだが、地下の不思議な回廊として観光客にも開放されている。


 もともと、北方民族と南方民族、前世で言うとケルト、ゲルマンなどのアングロサクソン系の人族とアラブ、ユダヤなどのセム系人族は、三百年前の魔族との戦争がなければ、未だ相い争っていたのかもしれない。


 共通の敵というものは、究極の劇薬として世界平和をもたらすこともあるようだ。ちなみに、この世界では、アラブ、ユダヤ系は近しい人種として仲良くやっているらしい。


 それはそうだろう。この世界にはアニミズムといった原始的な霊魂を崇拝するという意味での宗教は存在するが、三大宗教のような体系だった宗派は存在しない。魔法があり、神が近しい存在である世界で、宗教が果たす役割はないということのようだ。宗教が存在しないということは、異教徒を敵と見做す考え方もないということだ。


 この世界にも人というものの有り様として差別や偏見がないわけでない。だが、宗教対立といった、人と人の間に超えられぬ断崖絶壁を築くようなものが存在しない世界は、まあまあ、平和であると考えていいのではないか。


 王都は人口百万の大都市。地下宮殿のような珍しい施設や歴史を示す博物館、屋台のお店ではお肉や魚のサンドが売られている。私は海産物一択になるが、二人は珍しい肉料理も堪能しているようだ。


 この街での一番の注意は絨毯屋だ。田舎者と見ると親しげに声をかけ、超高価な絨毯を売りつける。父からよく聞いていたので、その手には乗らない。


 街の中央にはグランドバザールという大きな商店街がある。タイル装飾が美しいアーチ状の屋根があり左右に多数の店が並んでいる。まずは実用品から。


 私はオベロン一本で何とでもなるのだが、ミチコとリベカは魔道具、防具を買い足すことになった。さすが、王都、魔道具は充実している。


 ああ、そうそう。王様、さすがに勲章だけくれたわけではなく、報奨金もついていた。主旨が主旨だけに大した金額ではなかったが、二人分の防具を揃えるには十分だ。


「いいから。いいから。龍を倒せたのは二人のお陰だし、お小遣いに困っているわけでもなし。有効に使えばいいのだから」


として、二人を王都一番の防具屋に連れて行った。


 まず、ミチコ。盾がいいのではないかと思った。盾といってもそれ自体で剣を防ぐものではない。直径十センチくらいの丸盾がブレスレットに付いているというような物だ。


 アダマンタイト製の丈夫な魔道具で、治癒魔法の詠唱時間を短縮したり、物理・魔法防御壁の防御力を上げてくれる。ここまで強化し、ミチコの潜在魔力を勘案すると、人族としての彼女は最強級のプリーストと言っていいのかもしれない。


「名前が必要だったわね。ルナお願い」


「盾と言えば、ゲンブかな」


「前世の知識?」


「うん。都を守る伝説の四獣の一。亀さん」


「なんだか、防御力高そう」


 リベカにはバングル状の小手。箙に次々供給される矢の出現時間の短縮と、なんと、射る矢に火属性を付加する優れもの。使い所に注意が必要だが、アンデッド系など火弱点の魔物への効果は絶大だ。


「さてさて、名付け親さん、どうぞ」


「あはは。もちろん、スザク」


「さっきの四獣の一、火の鳥」


 この種の防具は総じてお値段が張る。大したことはないとはいえ、大王国の王様からの褒賞。それでも、二つの魔道具でほぼ全額を使い果たした。まぁ、友達はいなかったけど、お金に困ったことはない私だから、金銭感覚は結構ザルかもしれない。


 ちなみに、この世界にも銀行はある。魔法の力で出納帳は支店で書き換えれば、本店の原本が書き換わるし、計算も自動だし、オンライン化されているのと変わらない。さすがにクレカはないけど、小切手は存在する。


 報奨金といっても現金で金貨ジャラジャラもらったわけではなく、銀行の私の口座に振り込まれ、防具屋で私は小切手を切ったということ。

 やっぱり、パラレルワールドということかしら。前世の歴史にとても良く似ているわ。


 今回は、世界観説明が中心となります。元ネタは、リアルのイスタンブールの歴史や風物です。地下宮殿やグランバザールはまんまだったり。絨毯屋もホントの話ですよぉ〜。


 ドラクエの銀行、不思議なんですよね。別の街でもちゃんと残高を把握してる。魔法の出納帳みたいなのの存在は不可欠かと。あと、この世界には投資という考えはないので、銀行もお金を貸して利子を稼ぐくらいしか、していない模様です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 50/50 ・歴史かぁ。考えといたほうが深みがありますね。 [気になる点] 防具に全額使うの分かるw [一言] 確かに! ドラクエの銀行わけわからんですね
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